レディ・プレイヤー1に見た未来と今
ちょっとしょんぼりしていた時、佐々木さんのこの記事を読んで、『レディ・プレイヤー1』を観に行ってきた。早退してでも!と書かれていたし、すごく気になった。
http://minimalism.jp/archives/3316
ああ、ここまで集中力が途切れない映画はひさしぶり。劇場の中に一人でいるような、全く周囲が気にならない、思い切り現実逃避できる映画だった。
今とても話題だし、テレビでもネットでもCMがたくさん流れているので、いろんなオマージュが出てくるんでしょ?っていうふうに思っている人も多いと思うし、実際いろんな場面でめちゃくちゃ笑った。
1度ではとても追いきれない、2回目・3回目でも楽しめる仕掛けが散りばめられている、とても豪華な作品。
そして、近未来のVRとは、ほんとうにここまでの世界を確立するんだろうなあというワクワク感と、実際にそれを体感できるアトラクションと言ってもいいかもしれない。
でも私がいちばん注目したところは、ゲームという仮想現実と現実世界が交差する中で、時間やお金を浪費し、時に借金をし、しかも死者まで出てしまうというここに描かれる未来を、現代社会のインターネット等に置き換えても、類似するような問題が今既に多発しているという点。
エンタメと社会風刺の交差も、この映画のみどころのひとつだと思う。
現に私は、インターネットでたくさんの有益な情報を得つつも、どっちでもいいところまで深追いしてしまって時間を浪費している時も多々ある。
たくさんの人と繋がれて楽しいけれど、実際自分はどう思われているんだろうとか、無駄なことを考えることも多くなった。
同じようなことを考えている人は、たぶん少なくないと思う。
こんなことはもう、何年も考え続けていることだ。
だけどやっぱり、昔に戻るとか、今ある文明を手放すとか、時代に逆行して生きることを考えるのも違うんだよなあと思っていて
今自分が、こどもの頃はもちろん、10年前でも、5年前ですら享受できなかった新しい技術の恩恵を日々受けながら暮らしていることは、ただひたすらに、ありがたく尊く幸せなことであると思う。
5%~10%くらいの部分で、使いこなせない自分ゆえの弊害なんかがあったりするんだと思う。
私は、基本的には、様々な技術が発展することは、様々な問題はあれどたぶん、社会がより幸せに近づくことなんだと思う。広い意味で。
以前ちきりんさんがこういう趣旨のことを言っていた。
「社会がもう発展しなくていい」というのは強者の論理で、より発展し、あらゆるものが使いやすくなるということは、ハンディを持った人にとっても勿論有益なことであり、健常者が十分だと思うレベルでは、十分でない人が世の中に多数存在する (記憶によるかなりの意訳です。)
自分が「社会の成長とか発展とかもう十分だ」と思っていても、まだまだ、使いづらくて歩きづらくて聞きづらくて頼みづらくて生きづらくて・・・そう感じている自分より体力や気力が弱い人もたくさんいる。
情報が溢れる社会の真っ只中で生きて、何が正しいのか分からないと思うことや、昔は感じる必要のなかった悩みを持つこともしばしばあるけれど、
それでも、出会えてよかった人、知りたかった真実、悩んで向き合えた自分、これが一切無かったことを考えたら、私はやっぱりそれらが存在する今の社会が好きだし、溢れる技術も、いろんな人のためにもっと発展してほしいし、それは使い方を間違えなければ、より多くの人を幸せにするはずだと思う。
「オアシス」の世界にどっぷりはまり、日々戦っては、疲弊したり課金しすぎて借金を背負ってスラム街に住んだり強制労働をさせられたり、あげく命を落としたり、
映画の中ではこういった負の面のリアリティも凄まじくて、とても感心しつつ、未来の社会に対して、背筋がひんやりとするような恐怖も覚えるのだけれど
たぶん、大丈夫なんじゃないかということを思った。人をおとしめるのも堕落させるのも人で、でも人を救うのも人なんだよなあと思う。ハードでもソフトでも。心でも技術でも。
さいきんいろんな人と会って、生活や生き方についてよく話す。
あらゆる方面に対して、批判したいことも、ないわけではないけれど、こうやって語れる人がいる時点で、なんだか大丈夫な気がしてくる。根拠のない、でも自分の中に確実にある安心感。
そんな気持ちを、この映画を観ても取り戻せるなあということを思った。
落ち込んだときも、何かをリセットしたいときも、ただ誰かと楽しく過ごしたいときも、また観に行きたい。
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