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本物の醤油とは。

佐賀市内にある老舗醤油屋【丸秀醤油】さんの醤油蔵を娘と見学させてもらいました。その様子や、こだわりの醤油についてまとめています。

【丸秀醤油とは】
創業1901年。佐賀県内では唯一、天然醸造という昔ながらの製法で醤油作りを続けているしょうゆ蔵です。しょうゆ、みそ、麹など、職人の技を大切に引き継ぎながら100年以上、伝統の味を守り続けている。蔵開き・みそ作りワークショップ・しょうゆ作りワークショップなども随時開催されています。

佐賀市高木瀬の大和工業団地にある「丸秀醤油」さん。

shironeriの姉妹店リライフにて3/16.17の2日間開催する【つかってためせて、食せる、よいくらし】の体験型イベントを開催します。その2日間、丸秀醤油の秀島社長による"醤油づくりワークショップ"を開催できることに。開催前に、いま一度、丸秀醤油さんの素晴らしさを言語化してお伝えしたくてnoteにまとめようと思いました。

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丸秀醤油さんは全国でも数少ない【天然醸造】の製法で醤油作りをしていますがそもそも、
本醸造醤油と天然醸造醤油って何がちがうのでしょうか。

「本醸造」と「天然醸造」は、両方とも醤油の製法を指す場合があるが、微妙な違いがあります。

◉本醸造
・大豆、小麦、塩を原料にし、麹を使った自然発酵を行う。
・本醸造醤油は、熟成が特に強調され、熟成期間が通常数ヶ月から数年にわたる。

◉天然醸造
・大豆、小麦、塩、水を原料にして、自然発酵を促進させて醸造される。
・醸造中に外部からの添加物を最小限に抑え、天然の微生物や麹を活かすことが特徴。
・一般的には製造に時間がかかり、手間暇がかかる。

要するに、本醸造は特に熟成に重点を置いた自然発酵の製法を指し、天然醸造は一般的には自然発酵に焦点を当て、外部の添加物を最小限に抑える製法を指します。どちらも高品質な醤油を生み出す手法であり、好みや使用用途によって選ばれることがあります。

【工程の違いは?】
まず、本醸造醤油は、もろみを発酵させ,及び熟成させて得られた清澄な液体調味料。
工程としては、

①蒸した大豆と煎った小麦を混ぜ合わせる。
②①に麹菌を混ぜる。
③食塩水を加えて発酵・熟成させ、もろみを作る。
④充分に熟成させたもろみを搾る。必要に応じてろ過、火入れをして瓶詰め。

6ヶ月〜2年に及ぶ長い醸造過程の中で、大豆に含まれるたんぱく質が分解されて、旨みのもとであるグルタミン酸などのアミノ酸になり、小麦の糖分が甘みや香りのもとになるのです。

天然醸造は、上記の③の工程の発酵の際に、発酵を促進するもの・保存料・味付けするための添加物を使っていないこと。これを満たすもの、そして、春夏秋冬の四季の移り変わりに任せて自然な環境の温度変化に任せて行う醤油づくりを天然醸造法と言い、昔ながらの醤油は一年から三年かけて麹菌など醸造に利用されている有用微生物(麹菌、醤油酵母、醤油乳酸菌)を活用するという伝統的手法で微生物の代謝及び、つくり出す酵素によって発酵・熟成される。醤油の旨みを深めるには、2年くらいの熟成期間が必要だそう。
丸秀醤油の看板商品でありshironeriでも人気の高い「自然一醤油」。自然一醤油は暑い夏を2回経験させることでじっくり香りを引き出す伝統の2年熟成製法であり、300以上の複雑な香り成分が、食材を引き立たせてくれる香り高く奥深い味わいの醤油です。

ぷくぷくと常に表面が動いていた。酵素が生きている。を目の当たりに。


秀島社長に伺った話によると、醤油づくりで最も重要となるのが、蒸した大豆と炒った小麦、それに麹を混ぜて蒸気釜で3日間麹菌を育てる作業で、この3日間で味が決まる。とのこと。温度や湿度、空気量を調節できる密閉した空間があり、香りの変化や菌糸の伸び具合、繁殖する時の発熱を、五感を研ぎ澄ませた職人さんが注意深く観察しながらコントロールしてきる。麹菌が窒息しないように風を送ったり、菌糸をほぐして風通しをよくしたりと、これが、天然醸造の証。

一般的には大豆から油分を除いた脱脂加工大豆が使われているが、『丸秀醤油』では、じっくりと成分を引き出す、油分を取り除かない丸大豆を使用。その丸大豆を職人の五感と経験により蒸気の色や香りで判断しながら蒸煮釜で蒸す。小麦も天候や季節によって焙煎機で絶妙な火加減を調節しながら、丁寧に炒っていく。

「自然一醤油」は、原料はできるだけ地元のものを使っていて、佐賀・長崎県産の減農薬の大豆と、佐賀平野で採れた小麦は良質なタンパク質を含んだものを厳選。醤油の甘みとコクのもとになる小麦はたっぷりと使うという伝統製法で作られています。

shironeriの看板焼き菓子である塩麹スコーン。その塩麹は丸秀醤油さんの麹を使用しています。
市販されている多くの米麹は、蒸した米の表面に麹菌をつけ、米の表面から外側に向かって麹菌を繁殖させていきます。そのため、綿毛のような白い菌糸が米の表面全体を覆い、きれいに真っ白に仕上がります。
一方で、丸秀の米麹は、原料の米の蒸し方から違います。米の表面の水分をできるだけ少なくしながら、米の内部にはふんだんに水分を蓄えるように蒸すように心がけています。こうすることで、米の表面に付いた麹菌は、水分を求めて米の内部へ内部へと菌糸を伸ばします。麹菌を育てる3日の間も、米の表面にできるだけたくさん風を送ってカラッとさせながら、室(むろ)全体は温度と湿度のバランスを見ながら麹菌が米の中で元気に育つのを見守ります。
そうして3日間かけて麹菌を米の芯までしっかりと発酵させることで、酵素の力の強くとても甘みのある米麹ができあがるのです。丸秀の麹は決して見た目は真っ白で綿毛のようにふわふわとはしていませんが、甘酒や味噌、塩麹などでご使用いただくと、その酵素力の違いは一目瞭然!
※丸秀醤油 販売サイト参照

次に案内してもらったのが、醤油を熟成させる別の蔵。隣の建物に移動すると、また違う香りが漂ってきました。壁も天井も真っ黒!
醤油が入った28本の巨大な樽が並ぶ様子は圧巻の一言。とても静かで、なんだか違う世界に飛び込んだような、ドキドキとワクワクが止まらない。

案内してくださる秀島社長の後ろ姿がかっこよくて思わずパシャリ。

麹菌に長崎県産の天日塩を使った仕込み水を混ぜ込み、ここから2年間熟成。微生物が繁殖しやすい夏を2回経験させる伝統的な方法で
室温も調整しない。蔵見学した時はまだ蒸し暑い夏の終わりで、それはそれは暑かった。菌の添加も一切行わずに、すべて蔵の壁や天井に住みついた微生物だけで発酵させています。

たくさんの微生物たちが、暑い夏に活発に働き、寒い冬に休む。ということを繰り返すことによって発酵が進み、小麦のデンプンが甘味へ、大豆のたんぱく質が旨味へと変化していく。醤油づくりは微生物が主役。秀島社長は麹菌、乳酸菌、酵母が、気持ちよく生活できる環境を準備してあげることが大切なんだよ。と娘に優しく伝えてくれました。

仕込み水を混ぜ込み深さ3メートルの樽に入れて熟成。麹の発酵によって倉庫内の温度が上がり人間が長居するには厳しい暑さ。


秀島社長が『災害が起こりこの蔵が崩壊したらもう同じ醤油が作れなくなる。震災を経験した蔵は微生物が死んでしまい立て直せず途絶えてしまった醤油蔵もある。だけど、菌が生き残って少しでも採取できれば、そこからまた時間はかかるけど復活できる。そんな醤油蔵もあったんですよ。』と話してくれました。  

建物を新しくするということは、住み着いた微生物の環境が変わるということ。そうなると丸秀醤油オリジナルの醤油の味が変わってしまう。残し続ける伝統技法のむずかしさ、大変さ、過酷さは決して私に分かるものではないけども、それを残し続けよう、伝え続けようと社長自ら小学校などに出向き子供達へ味噌作りや醤油作りを行っている事実がある。そのことが、佐賀の誇りだと感じました。

2年の熟成を経た後は、自家製の甘酒を混ぜて程よい甘みを加え、まだ粒が残った状態の醤油を布に包んで絞る。加熱殺菌と調合をして、やっと完成。こんなに長い工程で作られているなんて。娘が『お刺身に使う醤油、もっと少しずつ使う!大切に食べなきゃね。』と。その言葉が何よりも嬉しかった。調味料ができる工程を知る事は、必ず生きる糧になる。そう確信しましあ。

きれーい。これが醤油??と驚く娘。
社長の話を真剣に聞く様子。醤油がどうやってできているのかを知れる最高の食育。


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最後に、、、
日本が世界に誇る醤油。醤油は何にかけても美味しくなる。だからこそ使いすぎてしまっているように感じます。
本来は、素材が引き立つために使用する醤油。
さしすせその最後にそ(しょうゆ/せうゆ)がくるのは、醤油の香りはとても繊細で、長く加熱すると醤油本来の豊かな風味が逃げてしまうから。火を止める直前に少し加えて、ふわっと立てた香りをそのまま食卓へ、胃袋へ運びたい。そんな使い方のできる素敵な調味料です。

丸秀醤油さん蔵体験を通じて、また秀島社長からお話を伺えて、私と娘にとって財産となる体験となりました。

当たり前にそこにある醤油。そんな醤油だからこそ、毎回当たり前に感謝できる醤油。としてこれからも丸秀醤油さんの醤油で胃袋を幸せにしたいと思います。

佐賀の誇り丸秀醤油始め、佐賀の素晴らしい食品をもっともっと地元の皆さんに知っていただける機会を作れる店づくりを目指す。

丸秀醤油の皆さん、秀島社長ありがとうございました。これからもよろしくお願い致します。

イベントでは、社長に皆さん色々質問してくださいね!優しく答えてくださいます。

3/16.17 リライフにて体験型イベント開催!
丸秀醤油の秀島社長を講師にお招きして【プロに教わる醤油づくり】を行います。ご予約受付中です!



#丸秀醤油
#佐賀
#天然醸造

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