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失恋の最中に。

「俺たち...しばらく距離を置こう」

桜はすでに見頃を迎えたものの、
まだ少し肌寒い風が吹く3月31日。
“それ”は告げられた。

付き合ってからちょうど2年目の記念日を迎える前日。窓ガラスの向こう側には、今にも雨が降り出しそうな灰色の雲が広がっていた。

いまいち状況が掴みきれないわたしをよそに、画面越しの男は続けて口を開く。

「期間は一旦2週間」
「その間は緊急の時以外はメールも電話もしないでほしいんだ」


この1年間、最高でも3日以上連絡を取らなかったことはなかった。
わたしが返信をしそびれていれば、「大丈夫?見れている?」と必ず確認してくれた。

そんなわたしたちが、会うことは愚か顔も合わさず、連絡も取らないなんて・・・。

「場合によっては延長になることもあるから。その時はまた連絡するね」

いつもと変わらない男の優しい表情とは裏腹に、
追い打ちをかけるようなこの言葉が、
わたしにはこの決定を受け入れる以外に選択肢がないことを理解させた。

(つい昨日まで、そんな素振り見せていなかったのに・・・)

喉まで出かかった「どうして」の4文字飲み込み、わたしはただ黙って頷くことしか出来なかった。

***



新型コロナウイルスの影響による休業】


それは、わたしにとっての“社会人2年目の記念日“である
4月1日を前に、会社が下した大きな決断だった。

当初は4月15日に営業再開の予定だったが、
4月7日に発令された緊急事態宣言に伴い
そのまま休業期間も延長された。

現時点でのわたしの次の出勤日は6月1日。

テレワークの勤務や交代出勤で対応する企業も多い中、丸々2ヶ月間の休業となっているのは、飲食店や大型の商業施設で働いている人を除いて友人の中には誰もいない。

有り難いことに、“休業手当”なる国からの保証を使うことにより
雇用と給与を守ってもらっている身の上だ。

さらに、休みたくても休むことのできない医療従事者の皆様やインフラに関わるお仕事をしている皆様がいる中で「何をほざいているんだ」と言われてしまうかもしれない。


それでも、しばらくの“お暇期間”を告げられた気持ちをここに正直に綴るのであれば、それは「休める!」という喜びではなく、失恋にも似たショックと虚無感だった。

“仕事が恋人”

そんな言葉が似合うキャリアウーマンにはもちろん程遠い。

けれど1年間苦楽を共にしてきた仕事は、
例えるならまさにわたしにとって
“恋人”そのものだったように思えるのである。

思い返せば、駆け抜けるような1年を過ごした。

具体的な業務内容は簡潔に説明ができないため割愛するが、営業もやりながら、集客プロモーションのための企画も任された。接客もしたし、力仕事もめちゃくちゃした。振休はもちろん発生するが、本来休みである土日の出勤も多かった。

時にはミスを繰り返し、すべてが上手く行かなくて会社のトイレでこっそり泣いたこともあった。(ちなみに上司の前でも1度思い切り泣いた)

それは理不尽な思いをしたとか、ただ辛いということではなく、
悔しさや自分に対する苛立ちからくるもので、
次の日会社に行きたくないと本気で思うことは1度も無かった。


「どうしてそこまで、がむしゃらに頑張れたんだろうか」

「仕事が好きだったんだろうか」

「好きなら何が好きだったんだろうか」

「そもそも好きってなんなんだろうか」

夜寝る前のベッドの中など、
時間があると答えの見えにくいことを考えたり
過去を反芻するのはわたしの癖だ。

そして、とんでもなく自由な時間が与えられた今、わたしはこの癖に割く時間がとてつもなく増えており、あまりキャパシティの大きくない脳みそが悲鳴をあげている。

そこで自分自身の人生の振り返りや
仕事のこと、趣味のサッカー観戦のこと、最近よく考えることなどを
整理しながらnoteに書いてみることにした。

先に言い訳をさせてもらうと
学生時代にサッカーライターのアシスタントをしていたものの、
執筆経験はほとんどないので文章の作成はど素人だ。

そして、何かを発信するほどの知識もなければ経験もない。

自分の日記や備忘録のような感覚で更新することになると思うので、
どうか暖かい目で見守ってほしい。

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