十煎目:ぶくぶく茶の仲間:ばたばた茶(富山県)
ばたばた茶って?
ばたばた茶とは、富山県下新川郡朝日町で生産される後発酵茶(黒茶)で、炒った大豆、焙じ茶、茶の花、カワラ茶を煮出し、専用の茶筅で泡立てて飲むお茶のことです。
富山県でもこの朝日町のみで飲まれており、地域の習慣として長く親しまれてきました。古くは、船主の家などで留守を預かる女性たちの集まりとして、茶会など行われていたこともあるそうです。
ばたばた茶に使うお茶
ばたばた茶に使われるお茶は、主に愛媛県で生産されています。このお茶は、茶葉を発酵させる際に、茶葉を「ばたばた」と揉むことから名前がついたと言われています。
ばたばた茶は、2本の筆を並べたような独特の形の茶筅を使用して泡だてます。苦みのある後発酵茶であるばたばた茶は、この泡立てによって口当たりが柔らかく飲みやすくなります。
後発酵茶とは
後発酵茶とは、人工的に付着させた微生物の力で茶葉を発酵させたお茶です。乳酸菌や(コウジ)カビなどの微生物の発酵によって作られます。日本の一部の地域でも古くから伝承されてきた後発酵茶ですが、本場中国や中国と国境を接する東南アジアの国々でも後発酵茶が作られています 。 乳酸発酵によって、乳酸やシュウ酸が生成されるため、酸味があることから「お漬物のようなお茶」と言われています 微生物発酵によって作られるため、腸内環境を整える効果があるとされています。また、ダイエット効果も期待できるとされています。
なお、後発酵茶には、カビによる発酵と乳酸菌による発酵の2種類がありますが、日本では、碁石茶、阿波晩茶、バタバタ茶、石鎚黒茶の4種類の後発酵茶しかありません。製法は大きく分けて3種類あり、カビだけの発酵、乳酸菌だけの発酵、カビと乳酸菌の二段階発酵で作られます。
同じ振り茶を起源としても、ぶくぶく茶とはまた違った発展を遂げた風習なのです。