十六煎目:世界のお茶にはどんなものがありますか
ほとんどすべて”チャノキ”がルーツ
茶文化は世界中でさまざまな形で愛されていますが、日本茶も紅茶も中国茶も、そのほとんどが「チャノキ(茶の木、もしくは、茶の樹)」という植物が原材料です。チャノキは学名をCamellia sinensisといい、ツバキ科ツバキ属の常緑樹です。
この植物は、野生では高木になりますが、お茶の葉を生産するために栽培されるものは茶園や茶畑で低木に仕立てられ、その葉が収穫されてさまざまなお茶(緑茶、紅茶、ウーロン茶、プーアール茶など)として加工されます。
大きく分けて、そのまま加工されるものと、発酵を経てお茶に加工されるものがあります。また、ジャスミン茶のように、加工した茶葉に香りをつけたものもあります。
さまざまな世界のお茶
緑茶
中国、日本、韓国など:グリーンティーとも呼ばれ、日本だけでなくアジア圏で親しまれています。茶葉を酸化させずに加工するお茶で、さっぱりとした風味です。
中国の龍井茶、日本の煎茶、韓国の緑茶などが有名です。またモロッコではミントを入れてミントティーとしても飲まれます。
抹茶
日本:収穫したままの茶葉を、発酵させずにそのまま石臼などで粉末状に挽いたものです。濃い緑色と濃厚な風味が特徴で、日本の茶道や懐石料理などの伝統的な文化で重用されています。
紅茶
イギリス、ヨーロッパなど:茶葉を酸化(酸素との反応)させることによって作られる発酵茶です。
紅茶はさまざまな品種と産地に由来する茶葉から作られます。一般的な種類には、アッサム紅茶(インド)、ダージリン紅茶(インド)、セイロン紅茶(スリランカ)、キーマン紅茶(中国)、およびアフリカの紅茶(ケニアやマラウイなど)があります。
ミルクを加えたりレモンを入れる飲み方も好まれています。加えるだけでなく、インドのマサラチャイやロシアのサムオワールなど、紅茶をスパイスと牛乳で煮出して飲む方法もあります。
ウーロン茶
中国、台湾:ウーロン茶は、半発酵茶で、緑茶と紅茶の中間の風味を持っています。
台湾の烏龍茶や中国の鐘楼茶が代表的です。
プーアール茶
中国:プーアール茶は、発酵茶で、古い茶葉を使用し、熟成させたものです。
特有の土の香りがあり、脂質を流し健康に良いと言われています。
ルイボスティー
南アフリカ:ルイボスティーは、南アフリカの植物から作られた赤茶で、カフェインが含まれていないため、カフェインを避ける人に人気です。
そば茶
日本:そばの茎と葉を使用して作られます。そば麺を作る際に余り廃棄される部分をお茶とて用いたものです。乾燥させて使用します。
なお、そば茶は「茶」と呼ばれていますが、厳密には茶葉を使用しないため、本物のお茶(チャノキ由来のお茶)とは異なります。
泡を生かしたお茶も存在する
ぶくぶく茶は白い泡が特徴です。前回書いたように泡立てることには口当たりと質感をよくしたり、苦みを緩和する、また温度の保持などの効果があるといわれています。
このような形状のお茶は珍しいとはいえ、この泡の特性を生かしたお茶がまったくないわけではありません。
例えば、モロッコ名物のミントティーも泡を立てて注ぐことで飲みやすくするそうです。ポットに注いだミントティーをグラスに注ぐ際に高い位置から泡立てるよう注ぎ、それを繰り返して泡が細かくなるまで繰り返します。そうすることで味がまろやかに、飲みやすい温度になるのだそうです。
また、千家流に代表される日本の茶道で使用される抹茶は粉状であり、苦みがあります。この抹茶を泡立てるようにして客に供します。そのためか、茶道においては、「茶を煎れる」ではなく、「茶を点(た)てる」と言います。
表千家や裏千家など流派によって正しいとされる泡の量や見た目は異なりますが、これは苦みをまろやかにして飲むという工夫の一つではないかという説もあります。
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