
においの神様
あら、なあに。一体どうしたの、そんな顔をして。
会いたい人を探しているけれど、どこにいるのかわからないですって?ずいぶんと途方に暮れているのね。
あなた、その会いたい人の"におい"だけでも、覚えてないかしら?
私は、においの神様なの。どんなものだって、この立派な鼻で見つけることができるのよ。
その人、どんなにおいがするのかしら?
横をすれ違ったときに流れた、風のにおいは?えぇ、えぇ。
不意にぶつかりそうになったとき、ふわりと何か香った?あら、素敵ね。
がばっと立ち上がったときに揺れた洗剤の香りは?いつもよりしゃんとした格好をするときはどんな香水をつけていたか、覚えてる?抱きしめたときに鼻先に触れた髪のにおいも、思い出せるかしら。
.... ふふ。あなた、ずいぶんとよく覚えているのね。おめでとう、見つけたわよ。ほら、ごらんなさい。あそこで、布団に顔をうずめて眠っているわ。
あら?あなたと同じ、洗剤を使っているのね。
・・・
卓上ゲーム「Dixit(ディクシット)」の絵カードをランダムに1枚に引いて、短時間で作品をつくります。
今日のカードはけっこう難しかったです(いつもだけどね)。"におい"に関するアイデアはすぐ出たけど、ストーリーにするための下書きに20分くらいかかってしまいました。「嗅覚は記憶をもっとも刺激する」と誰かが言っていたのを思い出しました。
前回の作品はこちら。