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#22 水の中を巡る旅 今年も夏の大島海峡①
5月以降、新しい記事をほとんど投稿していませんでした。ちょっと大きな決断をしまして身辺落ち着かなかったためです。そのことは、また稿をあらためて。
それはそれとして、毎年恒例、夏の奄美大島。
今年は海外駐在時からの海仲間D氏との、おっさん2人旅です。
★初日 2024.7.19
◆ 奄美空港から古仁屋へ
7月19日(2024年)、奄美空港の到着ロビーで、セントレアから一足先に着いていたD氏と合流。奄美は初めてというD氏に、どこを観光したいかと尋ねますと「早めにホテルに着いてのんびりしたいな」と、壮年ダイバーの鑑のようなリクエスト。
とはいえ、絶好のドライブ日和。レンタカーを借りた後、まず「あやまる岬」へ向かいます。地名の由来は「ごめんなさい」ではなくて、綾鞠、つまり綾で織ったようなこんもりした地形から来ているそう。
夏の南国らしい、紺碧の海と入道雲。
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昼ごはんは、笠利町の「鶏飯みなとや」へ。
人気店なので長蛇の列を覚悟していましたが、ちょうど昼ピークを過ぎた頃合に到着したので、さほど待つこともなく席に着くことができました。
奄美へ何度も来ている割に鶏飯はそんなに食べておらず、鹿児島空港の「大空食堂」の鶏飯バイキングを除けば最初に来た時以来かもしれません。出し汁がうまい。
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瀬戸内町へと奄美大島を縦断する道へ。
奄美は国内で屋久島に次いで雨が多い地域だそう。途中、山中では一転俄にかき曇り、驟雨に見舞われたりしながら、長いトンネルを幾つも抜けて、大島海峡に面する港町、古仁屋に到着。
初めて古仁屋へ来たのは今から6年ほど前の夏。山の中の長い道を走り続けて辿り着いた港町は、小さいながらも陽光と活気に溢れていた印象があります。
そしてこのところ、4年続けて来ていますが、やはり高齢化と人口流出に歯止めがかからぬのか、シャッターを閉じた店が増え、通りの人影が少なくなり、A-COOPやマツキヨにばかり賑わいが見られる気がします。
数日前の南海日日新聞に、加計呂麻島のある集落では、ついに常住人口がゼロになってしまったとの記事が掲載されていました。人口の少ない集落では電気や上水道、さらに道路などのインフラ維持が難しく、また路傍の下草刈りのような仕事の担い手も不足し、最後に残った一人の住民では集落の維持ができなくなったのだそう。
以前、NHKの「ドキュメント72時間」で、古仁屋と加計呂麻を結ぶ水上タクシーが取り上げられた時を思い出します。加計呂麻から離任する先生を、島の住民が総出で見送るシーンが心に残りました。やがてあのような心温まる光景も歳月に埋もれていってしまうのでしょうか。
…なんて、結婚もせず子供も作らず今日に至っているわたくしが偉そーに言えることじゃないんですが。
◆ホノホシ海岸
ホテルで荷解きして一休みしたい、というD氏を送り届け、まだ陽も高いので、行ったことのないホノホシ海岸まで一人ドライブすることにしました。
ここは、奄美では珍しい、ごろた石の海岸。外洋に面し、強い波に晒されているためか、どの石も丸く削られています。周囲は太平洋の荒波に削られた岩が林立しています。
外海は風が強く、波音が響いていました。
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帰り道は嘉鉄ビーチで車を停めて、仕事のメールに返信しながらひと休み。明日か明後日、ここへ潜りにくるはずです。
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夜は、古仁屋の居酒屋で。D氏はアルコールを嗜まないので、わたしも明日に備えほどほどにして、コンビニで買ったアイスを食べながら埠頭を散歩して帰りました。
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D氏は古仁屋に2軒あるホテルのうち一つに、わたしは過去2回ほど泊まったことがあるゲストハウスに泊まります。宿だけはいつも、それぞれ好きなところを予約しているのです。
D氏と別れて宿へ戻ると、若い経営者夫婦が赤ちゃんをあやしながら、路上に七輪を出して炭火焼きとビールを楽しんでいました。一緒にどうですか?残り物ですけど…と誘って頂き、一人にされるとすぐ泣き出す赤ちゃんと適度に戯れ合いながら、焼き鳥をいただきました。
島のゆる〜い時間。今年も戻ってきたんだなぁ、と実感しながら。
★ダイビング初日 7.20
翌朝、ファミマで昼ごはんを調達して、レンタカーで桟橋へ向かい、DSのオーナーOさんに出迎えられました。ガイドのTさんも顔馴染み。歳とってきますと、こういう馴染みのDSがあるのは貴重になってきます。
本日のゲストはわたしたちを含め5人。体験やビギナーがおらず、皆それなりのレベルということで、これまでは行ったことのない、海峡西側のエリアへ連れて行って頂きました。
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◆1本目 リトルガーデン
潜水時間 45分 透明度 30m
最大水深 22.5m 平均水深 11.5m
水温 29℃
スーツ 5mmロングジョン、2mmジャケット、フードベスト
ボートは大島海峡を西へ向かい、加計呂麻島の入江に投錨。
初めてくるポイントです。圧倒されるようなエダサンゴの群生が広がっていました。サンゴをゆりかごに生きる生物も多様。
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◆2本目 江仁屋離れ
潜水時間 45分 透明度 30m
最大水深 9.4m 平均水深 6.0m
水温 29℃
スーツ 5mmロングジョン、2mmジャケット
大島海峡の西端に近いポイント。大島海峡を代表する「嘉鉄オアシス」を彷彿とさせるような白砂と珊瑚の根、そして透明度の高い暖かな海。
例年より水温が2℃ほども高く、フードベストを着ていると暑い。2本目からは5ミリロングジョンと2ミリジャケットのみ、ウェイトも2キロに減らして潜りました。
根にはスカシテンジクダイが雲のように群れ、岩陰にはキンメモドキやハタ。色違いのハダカハオコゼ2匹、砂地にはガーデンイール。
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◆ 3本目 小瀬
潜水時間 39分 透明度 30m
最大水深 21m 平均水深 13.1m
水温 29℃
スーツ 5mmロングジョン、2mmジャケット
3本目は大島海峡から出て、東シナ海に突き出した岩塊の周囲を潜ります。大物が期待できるポイント。
最高のお天気なので、北の水平線上には、トカラ列島最南端の火山島である横当島が見えます。南には、徳之島の大きな島影が横たわっていました。
大島海峡はカヤックフィッシングなどでも人気があり、水深が90メートルほどの海峡の中央部では、ロウニンアジなど釣れるそう。外洋も期待できそうです。
今回、フィンはスーパーミューのみを持参したのですが、こういうビッグポイントへ来るならバラクーダも持って来たかった、と後悔。
ただ結果的には、残念ながら大物の魚影や竜巻のような魚群は現れず。
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◆ 4本目 陸ダイブ🍲
宿へ戻り、2日分の洗濯をして、人気のない古仁屋の町をブラブラと散歩。
地域社会の担い手不足、というのは全国共通の悩み。地方だけでなく、わたしが住む京都市右京区でも、区政上最大の課題と言っても過言でないようです。
奄美でも、地域おこし協力隊としてマルチワーカーの募集などを目にします。以前は名瀬に日本語学校があり、留学生がコンビニや宿泊施設で働いていたのですが、新型コロナにより閉校してしまったとのこと。
移住者によるスモールビジネスが町を活性化させている事例もありますが、ここ瀬戸内では未だそのようなムーブメントは限られていると見受けられました。
さて、晩ご飯は、元力士が経営するチャンコ料理の店へ。奄美は相撲が盛んな土地柄です。ひとり旅で来る店ではありません(と言っても一度だけ入ったことはあります)が、今回は初奄美のD氏と一緒なので、少し変化をつけています。
瀬戸内町には飲食店が少ないこともあり、この店は予約必須。
アルコールを嗜まないD氏は、食べ物よ嗜好も脂っこいものより野菜や魚、蒸し物などなので、このチョイスは当たりでした。
今宵も月明かりの明るい夜。埠頭をぶらぶら散歩し、酔いを覚ましました。
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▼ 水の中を巡る旅 これまでの記録はこちらです。
私は、2020年に前の勤務先を早期退職した後、関東から京都へ地方移住(?)しました。noteでは主に旅の記録を綴っており、スキューバダイビング旅行の記録のほか、ロードバイクで北海道一周した記録、ブロンプトンを連れてローカル線や地方都市を訪ねる旅、また海外旅行のことなども書いていきます。宜しければ↓こちらもご笑覧下さい。