【神使轟く、激情の如く。】惑星直列が齎す共鳴依存の唄【SYZYGY】
こんばんはひいろです
待ちに待った神激の新曲、タイトル発表から大分経っていて制作サイドからも「難産」であった旨の発言が出ていたほどのある意味問題作
しかし悩み抜いた末に生まれた今作、個人的には神激史上の最高点を更新した会心作だと感じました
それでは共鳴依存を謳う本作について感想を連ねていこうと思います
宇宙的開放感
神激では珍しいオートチューンを掛けた歌い出し
生声の肉感が消える事で演奏の浮遊感あるシンセと相俟ってフワッと宙に浮遊している様な面持ちになります
そこから最後のフレーズで肉声に戻り更にドラムとギターが入る事で浮かんでいた状態から目を覚まし更に上へ、まるで大気圏を突破して宇宙まで飛び立って行こうとするような疾走感溢れるイントロへと雪崩込みます
澄んだシンセフレーズと所謂「宇宙的」ギターなロングトーンとディレイサウンドが主体で、今回全編通してそういう傾向ですが重低音マシマシな音圧感はそれほどありません
手法は全く違いますが、ブラックゲイズと呼ばれるメタルの小ジャンル群において、敢えて肉感を薄くして浮遊感を演出しているのと同じ効果があるなと思います
それがこの開放感を上手く作り出しているように感じました
滑空
Aメロからは淡々とした8分でのベースの刻みに合わせてまるで風に乗って滑空しているかの様な滑らかなパートが続きます
歌声も軽くリバーブがかかって心地よく空を滑る様
たまに入るディレイギターや徐々に主張を強めていくエフェクティブなギターフレーズ、うっすら鳴り続ける澄んだストリングス
清涼感たっぷりです
ドラムも最初はバスドラを踏むだけ、そこからフィルを挟みつつ展開にあわせて手数を増やしていく感じで、滑空しつつ徐々に羽撃きを入れて高度を上げ天へと翔けていっているような印象を受けます
A1メロ→よいこラップパート→A2メロと展開していきますが、歌い方を敢えてリミットして一定のテンション感を保たせているように感じました
そこからいもこのポエトリーパートへ突入します
ここで一旦ドラムを止めているのが、この後の展開への美味しい「溜め」になっています
「結果出なかった努力」が「塵積もって道塞」ぐというワードいいですね
リアリスティックな視線を持っているからこそ、ただ愚直に突き進む事が出来ない人間性が出ていて、しっかり彼女たちに寄り添った詞を付けたんだなと感じます
そこに「でも運命には媚びない 」と繋げる事で、地に足を着けながらもしっかりと上を見据えている様が描かれます
ライブ中のMCを聞いていてよく感じる、彼女たちの等身大感や泥臭さ、パンキッシュなスタンスが簡潔に表されているなと思います
正に神奏曲:ライトニングでも綴られた「等身大で叫んだメッセージ」こそが彼女たちの芯にある魅力なんだと改めて思わされます
そして「お見舞いしてもいいんじゃない?」で締める
これこそ神激イズム、「宣戦布告」から始まる神激チームの当初からの活動スタンスを素敵に表した会心のフレーズだなと思います
このフレーズに載せてスネアロールが鳴り響き爆発感を持ってサビへと突入していきます
宇宙的視座
サビはここまでで神激史上最もエモーショナルと言っても過言ではないかもしれません
ドラムがハーフテンポかつおそらくBPMも落としているのでそれが壮大さとエモさに拍車をかけ、そこにこの泣きのメロディと歌唱が載ることで聴いていて本当に内から熱い思いが込み上げて来ます
そして怒涛の様な「宇宙的」ギターフレーズがこれでもかと詰め込まれています
シンセフレーズも要所に散りばめられていますがここまでギターだけで押し通すのも珍しい気がします
普段の音数ヤバいピアノが鳴りを潜めているのも新鮮です
「君が聞いたらmusic まるで共鳴依存ね」
素敵に詩的な表現
大気圏再突入
イントロと同じフレーズで間奏へ
やっぱりこのパートは超高速飛行している様子が聴いていて浮かびます
スターウォーズのハイパースペース航行とかのイメージ
この後またAメロで地球に戻ってきてそうなので大気圏再突入ということにしておきましょう
ドラムがここぞとばかりに疾走していますし相変わらずコスモなギターが心地いいです
疾駆
2回し目のAメロからはドラムがマーチ感あるロールで進み始めるのでここからは飛んでいるよりも地上を駈けるイメージです
天は「翔ける」で地は「駈ける」、読みは同じでも漢字は違う、こういうところが日本語の美味しいところです関係ない話でしたね
ラップは1回し目とは別フレーズです
押韻感心地良い跳ねるようなラップ歌唱でよいこのスキルが光ります
そこから日本語叙情シャウトパートへなだれ込み
前作、黎明ジャンヌダルクでは「誰かと同じが大人なら 少女のままtake to the top」と歌っていましたが今作では「きっといつか訳もわからず皆んな大人になっていく」としつつ、今作では「お利口さんじゃいられない この胸にはまだ風が吹いたまま」「この瞳は未来を見るピーターパン」と叫ぶ。この流れが堪らないですね
ノクチルカでも「瞳」への言及が有りましたが、その眼差しに生き様を宿している様な表現って素敵だなと思います
ここでギターがソロフレーズをウラでこれでもかと弾き倒しているのも新感覚、ノクチルカの方も名フレーズが炸裂していますが今回2作品とも割とギターが主張強く、神激作品の中では割と珍しい部類になっています
宇宙に揺蕩う
オチサビは今作の白眉です
このパートがあるからこの後の展開が映える
薄っすらと載せられたオートチューンとエフェクトによって声の肉感を敢えて削いでいるのは歌い出しと同じ手法で、更にサビメロのオクターブ下で歌う事でこの後に来る展開へ期待感と昂揚感を誘います
徐々にテンションを上げていくビートとショートになっていくディレイタイム、そして最後の1節で元のキーに戻ってガナリを入れた歌唱、ひとつひとつが最後のパートへの布石、最後に鳴り響くスネアの印象的な1打
迸る激情
そのスネア1発と共に一度停まる楽器隊と歌い出すボーカル、このキメ感にやられます
ここで再生バーの残りを見てみるとなんと後1分半も残っています、ラスサビが長い
現状最エモーショナルなメロを歌い上げると再び鳴り響くスネア1発、これがあるから心地良い
ここからが感涙必至の展開
先程サビメロを神激史上最もエモーショナルなと評しましたが、同じ曲中でその最高点を優に超えてきました
高音部に張り付いたまま苦しみさえ感じるような感情迸る歌い上げ
英詞と日本語詞で交互に押韻
ことのさんとTiNAの魅力をこれでもかと引き出しているパートになります
そして恐ろしいことにもう一段次のパートが出現します
最初にここを聴いたとき思わず高嗤いしてしまったほどぐっと来ました
音域の限界を攻めて自分を追い込んでいくようなメロディ、それを求められて応えられるメンバー、6年という活動を経て進化し続けているからこそ作れる最高の曲だなと思います
裏の演奏も徐々にリミットをかなぐり捨てるように手数を増すドラムと弾きまくるギターで圧倒して来ます
先日のZepp大阪公演で聴きましたがここは全身と感情を揺さぶられるような思いを抱きましたね
改めて今作が現時点での最高傑作だなと思います
おわりに
ということで、自分なりの感想ですが神使轟く、激情の如く。の最新作、「SYZYGY」についてレビューしてみました
今までにない曲であり、今までがあったからこそ生まれた曲で、神激の今ある全てを詰め込んだ曲になっていると思います
同時リリースの「ノクチルカ」も負けず劣らない名曲ですので、そちらの方もしっかりと聴き込んでレビューしたいとは思っているのでそちらの記事もよろしくお願いします
ではここまで読んでいただきありがとうございました
おやすみなさい