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三体 完結したと思ったけど、ファンの人の作品で完結だった

SFとはサイエンスフィクションの略称ですという言葉すら通じなくなってきている現在、スーパーファンタジーとか、サイファイとか、SFらしいSFというものがというか、昔ながらのSFと大上段に言えるものが少なくなってきている気がします。
ただ、この作品は大きな声でSFの大作で傑作だと言っても良いと思います。それが、日本の作品でないことが少し悲しいです。
『三体』『三体Ⅱ暗黒森林』『三体Ⅲ死神永世』の三部作に加えて、ファンの一人が書いたのに公式作品として認められた『三体X観想之宙』の6冊で一つの大きな物語として読んで頂きたい。

「三体」は、現代中国を代表するSF作家・劉慈欣による、人類と異星文明とのファーストコンタクトを描いた壮大な物語です。文化大革命期の中国から始まる物語は、やがて宇宙規模のドラマへと発展しますが、過去から現在へVRのかそう現実空間のゲームの謎が、やがて地球と三体文明のファーストコンタクトによる人類と異星人の物語へと発展していきます。
文化大革命のことをあれだけ書きながら中国でも出版されるんだという事にある意味驚きました。
こういうパターンのファーストコンタクトの小説は初めて読んだので、なかなかに面白く、SF好きには絶対に気に入ってもらえると思います。
第2部の暗黒森林ではこの言葉の意味がわかったときには思わず唸ってしまいますが、地球文明がはるかに進んだ三体文明に侵略されないように、地球のあらゆる知恵が絞られ計られます。
異星人と地球人の知恵比べというよりも、異星人側についた地球人と地球人の知恵比べとなっているので、読んでいて読み応えがあります。
あらゆる情報を手に入れることが出来る異星人のテクノロジーに対抗するのが地球人の頭の中の悪知恵で、それに対抗するのが異星人に味方する地球人の悪知恵。
地球侵略を防ぐ鍵が暗黒森林という事で、その正体に関してはじっくり読んでもらいたいものです。宇宙というのが暗黒森林であるという意味がわかったとき、これまでのSFがなんて脳天気なんだと思うことでしょう。
そして、第3部、暗黒森林によって、地球と三体世界が安定していたのに、まさかここから先の物語が地球規模から宇宙規模の話になっていくとは、SFの奇想を見せつけられました。
そして、更に三体世界を描いた作品をファンが続きを書いて公式に認められた『三体X』ここまで読んで、自分の想像力の欠如に気付かされました。
三体世界についてあれほど読んでおきながら、三体人について想像が足りていないことに思い知らされました。
そうか、そう考えれば、三体世界のことをもっと違う視点で納得できるのか、宇宙の姿が暗黒森林の状態が、そう来たか。という感じで、ここまで読んで物語の楽しさを堪能できるのではないかとも思えます。
VRの世界で三体を読んでいるとなかなか馴染めない部分がありましたが、物語の世界にどっぷりとハマってしまいました。
Netflixで三体が映像化されましたが、これを観るためだけに入会するかどうか悩んでいます。

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