
『超人ロック 聖悠紀』日本SF漫画の頂点にして銀河の歴史の記録
SF漫画と言ってこの作品を思い浮かべない人はいないでしょう。
というか、超人ロックを読んでいない人は、もったいない、損をしていると言いたい。
というか、これから超人ロックを読むことが出来る、ふれることが出来るというのは羨ましいとも言えます。
全巻読めば100冊ほどもあるのでしょうか。
長編漫画としては珍しく、連載誌が休刊廃刊してしまったため、次々出版社も変わってしまい、連続して一つの長編としての連載が出来なかったという事もあります。
だから全部を通して読む事は出来ません。
ですが、ご安心を。
超人ロックは不死のエスパー「ロック」を主人公として描かれているため、人類が宇宙に進出しはじめた頃から、銀河に植民地を作っていき人類が銀河帝国を作り、帝国が滅亡しバラバラになって、新たな人類の住む星々が発展し、また…
それぞれの時代のエピソードに超人ロックが絡んできたエピソードが語られているのです。
銀河における人類の勃興と衰退、更に人類が発展していく姿を永遠の少年である超人ロックを通して知る事が出来るのですが、大きな物語としてはヒットコミックスの連載で39冊にわたって語られます。
ただ、連載誌が変わってからは、一つ一つのエピソードを深く掘り下げて描く形に変わっていき、知っているエピソードがまた違った形で描かれたりするのも興味深いものです。
人類が最初に太陽系の他の惑星に進出した時期の話から、最初の植民星での移民の出来事、移民した惑星の環境が厳しすぎて、その惑星で暮らすために超能力を獲得していく人類、普通の人類から少数の超能力者達への差別と圧政、超能力者達が宇宙海賊として生きた時代も、銀河帝国の秘密部隊として活躍した時代も、レジスタンスとして生きた時代も、探偵助手として生きたことも、50年以上にもわたって描き続けられた銀河の歴史のエピソードを、これを機会に読んで頂きたいものです。
それぞれのエピソードは独立したものとして描かれているものもありますが、有機的に繋がっていたりするものもありますので、そこは大長編の楽しみとして、気が付いたらニヤリと出来るものもあり、あぁ、あの事件のエピソードがこの歴史のこの事件に繋がっているのかと唸ってしまうこともあります。
アニメ映画も数本制作されているので、アニメから見るという手もありますが、コミックで読むことをお薦めしたい。
晩年出版された超人ロックは一つのエピソードが数冊で語られる形式になっているので、3から5冊で一つの物語として楽しむことが出来ます。
連載していた雑誌が廃刊になって連載できなくなった漫画が、後年、何故か二つの雑誌で同時連載されていて、ビックリすると同時に嬉しくなったものです。
アイザック・アシモフの銀河帝国興亡史などが好きな人なら、それらの物語を超人ロックという超能力者が語る銀河空想歴史漫画として読めて楽しめると思います。
銀河英雄伝説のアニメで「銀河の歴史がまた1ページ」というセリフを聞く度に超人ロックにこそこの言葉がふさわしいので、アニメ化してくれないかなぁと今でも思っています。
ちなみに、6月9日はロックの日ということで毎年その日になるとX(Twitter)で何かしら関連のものが流れてきます。
そこで、作者のサイン会の開催を知って、サイン会にも参加できたのは良い想い出です。
横浜の地下街にある本屋に辿りつくまでには道に迷って苦労しましたけど。