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『TAKE FIVE 俺たちは愛を盗めるか』で愛は盗めたのか
HuluにU-NEXTにAmazon Prime Videoを契約しているので、いろんなドラマを一気見することになったりしていますが、今回一気見したのはこのドラマ。
帆村正義(唐沢寿明)は東京都内にある大学で心理学の教鞭を執る大学教授。正義が行う恋愛心理学の講義は彼のウイットに富んだ話術で学生たちの間では常に人気を博している。
だが、大学教授というお堅い肩書きを持つ正義には実は周囲の誰もが知らないもう一つの真の顔があった。それは彼が昔、史上最強と謳われた窃盗団“TAKE FIVE”のメンバーであったことだ。正義は父親と共に窃盗団“TAKE FIVE”で“悪い奴らから大金をせしめる!”という風変わりなポリシーで泥棒をしていたのだが、20年前、ある出来事をきっかけに正義たちは“TAKE FIVE”を封印。以来、正義は泥棒と無縁の生活を送っていた。
ある日、いつものように講義を終え、校内にある自分の研究室に戻って来た正義は自分の机の上に置かれた一通の不審な茶封筒に気づく。茶封筒の中身は一枚の絵画の写真で、その絵画は天才芸術家レオナルド・ダ・ヴィンチ作の絵画「ルクレツィアの肖像」。写真を手にした正義がふと研究室から窓外を垣間見ると、大学に不似合いな風貌の一人のホームレスの女(倍賞美津子)が正義を見つめていた。直感的に茶封筒を置いた主がこの女だと察した正義が女に声をかけると、女は正義に渡した写真の絵画が東都銀行という銀行の担保倉庫にあると云う。さらに正義が泥棒だったことを知る素振りを見せて立ち去ってしまう。女が正義に絵画の写真を突き付けた意図は一体何なのか…。
固い決心で泥棒から足を洗った正義は女の口車に乗るような自分ではないと己に言い聞かせつつも絵画の所在を確認したい衝動に駆られ、結局東都銀行の担保倉庫に忍び込んでしまう。ところが、女の情報はガセネタだったのか肝心の絵画は倉庫にはなく、正義はその代わりに自分と同じように倉庫に不当に忍び込んで来た一匹狼の泥棒・新美晴登(松坂桃李)と遭遇してしまう。互いに同業だと察した二人は鳴り響く警報を耳にし、共に倉庫から立ち去ろうとする。
同じ頃、芝大門警察署の刑事・笹原瑠衣(松雪泰子)は部下と共に通りがかった東都銀行に異常事態が発生したことを知り、銀行へ駆けつける。幼少時代に起こった辛い出来事が原因で人一倍窃盗犯罪を憎んでいる瑠衣は銀行内に不法侵入者がいると気付き、捕らえようとするが…。
一方、瑠衣と同じ芝大門警察署に籍を置く岩月櫂(稲垣吾郎)は警察という封建的な組織社会に身を置きながら周囲と同調しない独特な性格と行動力。上司から疎んじられ署内の閑職へと追いやられるが、謎の行動を取り始め…。
一応公式ドラマサイトからのあらすじを転載してみたけど、簡単に書くなら、正義の泥棒軍団が愛を持って盗みを働く物語というところでしょうか。
正義のために、愛のために泥棒を働く5人組の伝説の泥棒達が現代に甦る。
元々泥棒というか義賊の物語は古くは石川五右衛門とか、鼠小僧とか、アルセーヌルパンに、怪人二十面相、漫画ではキャッツアイとかルパン三世とか好きな物語のシチュエーションではあるのですが、そういえば実写ドラマではそうそうなかったような気もします。
最近ではコンプライアンスに厳しくなって、炎上することを考えると悪党や犯罪者を主役に据えてドラマというのはますます作りにくくなっていくんでしょうね。
そういう意味では、よくぞこんなドラマを作ってくれたと思えなくもありません。ただ、この事件に近い盗みがあった場合、炎上バッシングは間違いないでしょうね。
それにしても、元々20年前に活躍していたテイクファイブという大泥棒達の活躍と、20年後再結成されたテイクファイブとはメンバーも入れ替わってますし、ツッコミどころは満載です。
「盗みには愛がなくてはならない」というフレーズを中心に物語は進んで行くわけですが、現代の義賊は、5人のプロフェッショナルというのではなく、偶然の組合せの5人組というか運命の引き合わせの5人組、もっと言ってしまえばご都合主義の5人組です。
そして名前の由来になったテイクファイブというジャズの名曲を聴きながら盗みを働くという謎設定。何故その曲を聞くことになったかというエピソードの一つはどこかで欲しかったですね。
また、これまたお約束と言えばお約束の警察と泥棒との恋ももう一つの物語の柱と言っても良いでしょうが、これまた最後に投げ出された感じです。
泥棒の手口にしても毎回新たな方法が出てくるわけでなく、似た手口で泥棒を繰り返すというのも、警察や警備は何やってんだとも思いますし、主要キャラクターの一人で浮浪者の老婦人も正体がわかっても、だからその人が泥棒がうまいとはならないよねと思ったり、いろいろと言いたいことはありますが、今回のドラマで私が一番良かったことは、ジャズシンガーとしてのJUJUさんを知ったことです。
私の中で女性ジャズシンガーというと青木カレンさんですが、もうひとりJUJUさんが加わりました。
テレビドラマとして傑作で是非観てもらいたいとまでは行きませんでしたが、それなりに楽しめたので、興味を持たれた方は観て頂きたい作品ではあります。
で、結局愛は盗めたかという副題の結末については、それはドラマを観た人だけのお楽しみという事で。