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【UFC最多フィニッシュ勝利】チャールズ・オリベイラ解説【Fighter's File】
*この記事は執筆者の個人的な考えや推測が多く含んでおり、また格闘技関係者から直接話を聞いて執筆したというものではなくただの一格闘技オタクが書いたものであるため間違った情報が書かれている可能性があります。もし間違いやご指摘、誤字脱字があった場合はコメントなどで教えていただけると嬉しいです。
またこの記事内で選手や格闘技関係者の敬称を省略している場合があります。予めご了承ください。
➀はじめに
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2022年10月22日に行われる「UFC280」は多くのトップランカー同士の試合が組まれたり現修斗ライト級王者西川大和選手がUFCデビュー戦を行うなど今年のUFCでもトップクラスに注目を浴びている大会です。
その大会のメインの試合がチャールズ・オリベイラvsイスラム・マカチェフのライト級タイトルマッチです!
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この記事はそんな大会のメインを務めるチャールズ・オリベイラ選手のこれまでの経歴やファイトスタイルを解説していくものです!
そもそもUFCについてあまり知らないという方は筆者が書いたUFC解説記事を読んでいただけるとこの後の内容がもっと楽しくなると思いますので是非読んでください!
②チャールズ・オリベイラ ”do Bronx"
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チャールズ・オリベイラ選手は現在32歳で主な実績は、元UFCライト級王者、現UFCライト級1位、UFC最多フィニッシュ勝利記録19回、UFC最多ファイトボーナス記録18回、UFC最多一本勝ち勝利記録16回と記録づくめです。
オリベイラ選手はブラジル・サンパウロ州のファベーラ(ブラジルにおいて貧民街やスラムを表す言葉。)で生まれました。幼少期はかなりの極貧生活だったため家族でチーズサラダを路上で売りながら生活をしていました。またその時はサッカーにハマっっていたのですが7歳の時に心雑音とリウマチ症を発症して歩行困難や体の痛みの症状が出たためサッカーは断念せざるを得ませんでした。
転機となったのが12歳に友人の誘いでブラジリアン柔術を始めたことです。ブラジルでは経済的に恵まれていない子供たちを対象にスポーツ施設を無料で開放するという政策があるので、街の柔術道場がその政策を行って無料で道場を開放していたためブラジリアン柔術を始めることが出来ました。そこで柔術の大会で結果を残していって柔術家としてのキャリアを形成していきました。
ちなみに青帯時代にはRIZIN現ライト級王者ホベルト・サトシ・ソウザ選手と柔術の試合で6~7回対戦したことがありサトシ選手が全勝したそうです。
そのあと高校卒業後にMMA選手に転向してブラジルのローカル団体で12戦12勝11フィニッシュという戦績でわずか20歳でUFCに参戦しました。
UFCではデビューから一本勝ちで2連勝したもののUFC最多試合出場記録40戦、UFC最多勝利記録24勝を持つ大ベテランであるジム・ミラー選手に負けてからニック・レンツ選手、ドナルド・セローニ選手に連敗をしてしまったことやライト級にしては体が細い事もあって1階級下のフェザー級に階級を落としました。
転向当初は2連勝と十挺な滑り出しをしたものの、元UFCライト級王者フランキー・エドガー選手や同じく元UFCライト級王者アンソニー・ペティス選手、元UFCフェザー級王者マックス・ホロウェイ選手といったトップランカーには負けてしまうなど勝ち負けの浮き沈みが続く状態になってしまいました。
しかし再度ライト級に戻すと2戦1勝1敗の後に現在まで続く11連勝の快進撃をしました。
その中には元UFCライト級暫定王者トニー・ファーガソン選手、元Bellatorライト級王者マイケル・チャンドラー選手、元UFCライト級暫定王者ダスティン・ポイエー選手に同じく元UFCライト級暫定王者ジャスティン・ゲイジー選手といったような世界最高のMMAの舞台であるUFCで最も層の厚い階級と言われるライト級のスーパースターたちをなぎ倒しています。
最近のオリベイラ選手の試合の動画を載せますので見てみて下さい!個人的おススメは真ん中の試合のvsダスティン・ポイエー戦です!
私生活ではファイターとして成功してから自分の生まれ故郷であるブラジルのスラム街に定期的に食糧援助や寄付といった活動をしています。
またキックボクシングが大好きで日本のK-1やRISEもよく見ていています。
2021年のベストKOシーンにK-1の実方選手のハイキックでのKOシーンを挙げたりYA-MANvs中村寛の試合には「Mamo・・・」というブラジルの公用語であるポルトガル語で「兄弟、仲間」という言葉を使って称えています。
This man!https://t.co/8MZfNmjYQz https://t.co/9bXOXcGJ0s
— Charles 'DoBronxs' Oliveira (@CharlesDoBronxs) December 23, 2021
また今年6月に行われた「THE MATCH 2022」では「東京から来るキックボクシングの最高傑作」と1人のキックボクシングファンとして胸を躍らせていました。
#thematch
— Charles 'DoBronxs' Oliveira (@CharlesDoBronxs) June 19, 2022
Masterpiece of kickboxing straight from Tokyo https://t.co/RqoPaQYbPY
③チャールズ・オリベイラのファイトスタイルの特徴
ファイトスタイルの特徴はムエタイの打撃と柔術の組み技を合わせたものです。RIZINだとクレベル・コイケ選手が近いスタイルですね。
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背筋を伸ばして腕のガードを頭の近くに置いている構えが特徴。
カーフやミドルといった蹴りが撃ちやすいが相手のタックルを切ることは不得手。
ちなみにムエタイの打撃と構え、柔術の寝技を組み合わせたオリベイラ選手のようなスタイルを”南米型”、レスリングの組み技とボクシングのパンチを軸としてそれらを両競技に共通する前重心の構えで出しやすくするスタイルを”北米型”と言います。
より詳しく知りたい方は「MMA言語化挑戦中」さんが投稿した下の動画がおススメです!動画も写真や実例を使うなど非常にわかりやすいので是非見て下さい!
南米型のメリットは蹴りが出しやすい事です。
北米型の選手はタックルやパンチのために前足に重心がかかっているため蹴りを撃つことが難しいのですが、南米型だとムエタイのように後ろに重心がある構えですのでローやカーフ、ミドルやハイといった様々な種類の蹴りが使いやすいのです。
逆にデメリットはタックルを切りにくい事です。
タックルに対してのディフェンスは組まれた瞬間に腰を落として足を開きながら後ろに出す事が基本なのですが、南米型だと重心が後ろにあるため腰を落としにくくまた構えの構成上足のスタンスが狭いので相手のタックルに合わせて足を開くことが難しいのです。
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組まれた瞬間に腰を落として足を投げ出すことで丁度相手の背中の上に乗るような体勢になる。
ですがオリベイラ選手はUFC最多フィニッシュ勝利記録、UFC最多一本勝ち記録ととにかく寝技がべらぼうに強いので、仮にグラウンドに行っても相手がその寝技の強さにビビって寝技をしてくれないのでタックルのディフェンスについては正直その点は弱点とは言い難いですね。イメージとしてはサトシ選手やクレベル選手の対戦相手がその寝技の強さにビビって組み技に付き合ってくれない感じです。
スタンドでは基本的にムエタイ式の打撃を使って試合を組み立てています。
オリベイラ選手は身長は177㎝とライト級としては平均的ですがリーチが188㎝と非常に手足が長いのが特徴です。そこで遠距離ではその長い脚を生かした前蹴り、中間距離ではパンチやローキック、近距離では首相撲とヒジと距離によって適した技術で試合を創ります。
オリベイラ選手の攻撃の中で最もリーチのあるのがこの前蹴りです。
基本的にボディをねらって蹴るのですがMMAにおいてボディへの攻撃は相手のスタミナを削ることや相手の胴に長い間合いの攻撃が来るので相手がタックルをしにくくするといった効果があります。
これをオリベイラ選手は遠い間合いからの牽制や近距離で相手をケージ際に押し込むのに使います。
さらに北米型の選手が相手だと前に重心が乗っている相手に蹴るので下から足が顔面に向かって飛んでいくことになります。そうなると相手は前重心の構えを崩して対応しなければならないので相手の構えを崩すことが出来ます。
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膝の位置が遠い距離より高いのは近い距離で相手に攻撃を当てなければいけないので
足を折りたたんで撃つ必要があるから。
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前足に体重が乗っており背中を屈めているので自然に頭の位置も下になる。
そのため下から突き上げる軌道の攻撃は相手視点からはボディ狙いでも顔面に来る軌道に感じる
ので構えを崩して対応しなければならない。
中間距離では伸びのあるストレートやフックといったパンチやカーフキックやローキックで対応する場合が多いです。
フェザー級時代では打撃戦がそこまで得意ではなかったオリベイラ選手ですが近年打撃力向上のためにシュートボクセ・ディエゴ・リマにジムを移籍したことで打撃能力が一気に向上しました。
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腰を入れて踏み込んで撃つのとリーチが長いので伸びのあるストレートになる。
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引き気味の体勢で腕だけで打っているので相手の素早い飛び込みに合わせることが出来る。
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近距離では首相撲とヒジを使って相手に攻撃しますがとにかくこの距離のオリベイラ選手はハチャメチャに強いです。
というのも前述している圧倒的な寝技のスキルもそうですが首相撲で相手にダメージを与えたりプレッシャーをかけるのがとてもうまく、この首相撲の展開を多く行って最終的に相手が攻撃やプレッシャーに嫌がった隙にバック(背中)や自分が極めやすい状態でグラウンドに移行して一本を極めるのがオリベイラ選手の必勝パターンです。
具体的には近距離でその長いリーチを生かして早めに首相撲のアプローチをして相手にその腕の対応をさせて空いた胴に膝蹴りを入れたり、立ちあがる際に首相撲の動作を見せて相手に首相撲を警戒させてヒジでダメージを与えるなどです。
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基本的に首相撲は相手の腕の内側から腕を差して、相手の頭の後ろで組めた方が有利。
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この直前にオリベイラ選手がタックルからの引き込みでグラウンドに誘導しようとしているので、相手選手は早めにスタンドで距離を取りたい。
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さっきの左手のプレッシャーがあるので相手選手は首相撲の攻防に付き合うフリをして距離を取ろうとしている。
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また首相撲やムエタイの攻防についてまだあまりイメージが出来ていない方は筆者がそこら辺について書いた記事がありますので良かったら是非読んでください!
また非常にアグレッシブな選手であり試合開始からいきなり相手へガンガン前に出てプレッシャーをかけることが多いです。さらに強烈な打撃をもらってもひるむことなく前に出るため相手は試合中ずっとプレッシャーを受け続けてどんどん削れていきます。そこで疲れていった相手のミスを見逃さずに一本を極めるのがオリベイラ選手の得意な戦法です。
ですがそんなオリベイラ選手にもわかりやすい弱点があります。
それは”打撃の攻防での被弾が多い”ということです。
オリベイラ選手はおそらく攻撃への反応や目が良いタイプではないため相手の打撃をもらう場合が多々あります。特に紹介した試合ではすべて1ラウンドに相手のパンチをもらってダウンをしています。
しかし仮にダウンをしてもオリベイラ選手の寝技の実力を考えると寝技で勝負する事自体が避けたい事象なので、相手選手もうかつにパウンドやマウントといった寝ている相手に近づくアクションが出来ないのです。この間にオリベイラ選手はダメージを回復して立ち上がりスタンドから試合が再開されます。自分より下からの寝技が強い選手にわざわざ得意なパターンを作るのも変な話ですからね。
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④チャールズ・オリベイラの今後
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そんなオリベイラ選手の次戦は2022年10月に行われる「UFC280」でのライト級タイトルマッチです!
対戦相手のイスラム・マカチェフ選手はダゲスタン出身で元UFCライト級王者でMMA戦績29戦29勝のハビブ・ヌルマゴメドフ氏の同郷でスパーリングパートナーであったことから注目を集めている選手です。
その実力もハビブ氏のようなテイクダウン技術とフィジカルで相手を制圧するスタイルでUFCで12戦11勝で現在10連勝中と非常に勢いに乗っています。
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またマカチェフ選手を始め現代MMAで多く活躍しているダゲスタン出身ファイターやそのスタイルの重要な要素であるサンボ、そもそもダゲスタンという国についての記事を筆者が投稿しているので気になった方は是非読んでみてください!
⑤おわりに
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今回の記事はいかがでしたでしょうか!
UFC280ではこの試合の他にもアルジャメイン・スターリングvsTJ・ディラショーのバンタム級タイトルマッチやピョートル・ヤンvsショーン・オマリーの次期バンタム級王座挑戦者決定戦などといったとんでもないカードが目白押しの大会となったおります。
それらを見るためにUFC Fight Passを登録しましょう!RIZINのように毎回の大会にPPVを払うのではなく月々に定期金額を払うだけでUFCの大会が見れるものです。また世界最高峰のMMAが見れるにしては値段も非常に安価ですので是非買ってみて下さい!
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