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【RIZIN.36超絶簡単解説】どうやら平本蓮はよっぽど神様に愛されているらしい

*この記事は執筆者の個人的な考えや推測が多く含んでおり、また格闘技関係者から直接話を聞いて執筆したというものではなくただの一格闘技オタクが書いたものであるため間違った情報が書かれている可能性があります。もし間違いやご指摘、誤字脱字があった場合はコメントなどで教えていただけると嬉しいです。
 またこの記事内で選手や格闘技関係者の敬称を省略している場合があります。予めご了承ください。


➀はじめに

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この記事は「RIZIN.36」(7月2日14:00開始)の全カードを簡単に解説しようというものです。
朝倉海選手の復帰戦や沖縄に縁があるファイターと実績ある国内ファイターの図を中心とした興行となっておりますので盛り上がっていきましょう!


②タナー・ロレンツォvsOrihey

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前戦で送り襟締めという今日MMAで見ない決まり手で勝った選手とバックボーンが沖縄角力の選手という格闘漫画のような出だしで幕を開けます。

タナー・ロレンツォ選手は現役で米軍で働いている軍人です。元々アマチュア大会や軍の非公式大会などで腕を鳴らしていたので前回の「RIZIN.32」でも得意のグラウンドを駆使して勝利しました。

フィジカルの強さに確かなグラップリングの技術、そして同僚の米国軍人たちのアツい応援に注目です。

Orihey選手はボクシングに沖縄角力、柔道ととてつもないラインナップのバックボーンを持つ選手です。
2戦2勝のキャリアでありながらベルトを持っていたり沖縄角力をバックボーンに持っていたりと謎多きファイターです。

前回の試合で個人的に驚いたポイントは日本の基地に勤めている米国軍人の方々がロレンツォ選手をめちゃくちゃ熱を入れて応援していたんですよね。
もちろんアメリカの方が格闘技受けが良いのは今さらですが、異国で大舞台で仲間が頑張っている状態はこう胸にくるモノがあるのかもしれません。
PPVの売り上げはともかくあれだけの盛り上がりがあるならRIZINももう一回沖縄上陸するのも納得ですね。


③宮城寛克vs吉野友規

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なんだかんだRIZINは那須川天心がいなくなってもキックボクシングはやるみたいですね。今でもMMAジムよりもキックボクシングジムが多いイメージですね。やっている一般層もキックボクシングの方が多いんじゃないんでしょうか。

宮城寛克選手はTENKAICHIというキックボクシングを2団体制覇した実力者であり強打とガンガン前に詰めるスタイルで派手なKO勝ちをしています。
前回の「RIZIN.32」でもベテランファイターロペス薩摩選手をパンチで倒したりと故郷・沖縄でもう一度ド派手なKOを決めたいはずです。

対戦相手の吉野友規選手は剣道をバックボーンに持っている少し珍しい選手です。剣道では高校時代に国体で優勝、大学時代では団体戦で全日本選手権3位と素晴らしい実績を持っています。
ですが本人曰く剣道はあまりキックボクシングでは役立っておらず、むしろそのクセを抜くのが難しかったとおっしゃっています。ただそこで培ったフィジカルと相手の隙を狙う嗅覚はすさまじいものがあります。

国内キックボクシング70㎏以上は70㎏の階級と比べると途端に層が薄くなるんですよね。特にK-1、RISEという日本キックボクシングの中心団体2つが軽量級に力を入れているので、ある程度重い階級の選手は活躍の場が無いという意味で苦しいと思います。
そのためおそらく両者モチベーションは高く一発のある両者同士の試合ですので凄い試合になる事を期待しましょう。また強打同士の選手の試合だとお互いビビって前に出ないしょっぱい試合になる事にならないようにも祈っときましょう。


④大雅vs新田宗一郎

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RIZINでキックボクサーだと一番出ているのはおそらく那須川天心選手でしょうが2番目はもしかしたら大雅選手なのかもしれません。詳しい方は誰かコメントしてください。

新田宗一郎選手は空手、ボクシングのバックボーンを持っている選手で現INNOVATIONスーパー・フェザー級王者であります。
相手の足を的確に狙うカーフキックとリーチとKOパワーに優れた右の拳が武器です。ここでRIZIN常連の大雅選手を沖縄の地で派手なKOをしてRIZINキックボクシングに新しい風を入れてほしいですね。

大雅選手は元k-1スーパー・フェザー級王者でありRIZINにも2018年の「RIZIN.13」から出場している古株選手の一人です。
RIZINに出てからは格上相手には勝てず、勝つときも判定連発と受難の日々が続いていますがジムを変えたりRIZIN、RISEとコンスタントに試合に出ています。

実際今のRIZINでキックボクシングのカードを入れるのは地方大会でのその地方に根を張っているキックボクサーの参入というのが一番のメリットだと思います。それによる地域でのRIZINの実体験を持った知名度アップだったりチケットやPPVの売上など様々です。今回のRIZINも前回出場した沖縄に縁がある選手の頑張りでできたといっても過言ではありません。

そういう方向性になっているRIZINキックボクシングで自身にあまりゆかりのない地方大会に選ばれている大雅選手のRIZIN運営の信頼もさることながら、この後に控えている「RIZIN.37」のさいたまスーパーアリーナでの大会に呼ばれていないところを見るとなんとなく今の大雅選手のRIZIN内での立ち位置が想像できますね。

話は若干ずれますが先日朝倉未来選手とフロイド・メイウェザー氏によるボクシングルールでのエキシビションマッチが発表されました。
メイウェザーが会見だけで2億稼いだ(がセ)とか結局この会見で一番すごいのはメイウェザーの戯言を頑張って訳していた笹原さんなのではといろいろな形で話題になっていましたが、一番話題になっていたのは「やる必要ないんじゃない?」という意見がいわゆるライト層のRIZINファンからも出たことでした。
筆者のような偏屈なオタクが言うのはともかく、朝倉未来選手や那須川天心選手経由などでRIZINをここ最近知ったファンはもっと喜ぶと思ったんですよね。
良くも悪くも今RIZINのファンが格闘技慣れしていったということがこの件でなんとなく感じると思いますが、そうなるとRIZIN運営とファンの心の距離ができてしまうんじゃないでしょうか?といっても別にRIZINは昔のカードを見ればわかるのですが世間一般でいうちゃんとしたMMA団体ではないですよ。ぶっ飛んだ上に実っていない挑戦もいっぱいあるんで本質は変わらないと思います。

長々と書きましたが、こうなるとRIZINでのキックボクシングの立ち位置は少し心配です。那須川天心卒業の際にも少し話題になりましたが、現在はそれに”THE MATCH 2022”がありましたのでキックボクシング界は大変だと思います。
RIZINキックボクシングにもいろんな意味で注目です。


⑤にっせーvs須田萌里

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RIZINのスーパーアトム級もどんどん強者で煮詰まってきましたね。
今年のトーナメントもスーパーアトム級で決定しましたし、ほんとこの階級に関しては世界トップレベルといっても過言ではないでしょう。

にっせー選手は沖縄在住のファイターでレスリングで鍛えた腰の強さとスピード感ある蹴りが特徴です。フェイントと前後の動きで一気に接近戦に持ち込むという動きのあるスタイルですのでメリハリのある面白い試合をする印象です。
しかし四つ組みの対処を始め寝技の防御はまだまだ隙がありここら辺の修正をどうするかがにっせー選手の課題だと思います。

対戦相手の須田萌里選手はこれがRIZIN初参戦で若干17歳でありながらすでに8戦もキャリアを積んでいる将来有望な選手です。
幼少期からブラジリアン柔術の大会に出場しており、全日本ブラジリアン柔術選手権を優勝するなどこの階級でも屈指の極め力を持っている選手です。
スタイルは試合序盤から積極的に前に出ていってもし寝かされても下からの仕掛けで一本を獲るこちらも動きのある試合をする選手です。

非常に積極性がある試合をする両者ですので5分3ラウンドをめいいっぱい使った面白い試合になるんじゃないかという予想です。
カギはにっせー選手の距離設定でしょう。前述したとおりにっせー選手はまだ寝技が厳しい印象があり、逆に相手の須田選手は寝技巧者です。
ですがにっせー選手の強みは何と言ってもスピード感ある打撃ですのでいつもよりもボディへの攻撃を出したりリングをいつもより動いたりと相手をそもそも組ませない距離で試合を創ると思います。

打撃のにっせー、寝技の須田と両選手の強いところがはっきり分かれているので見ている方はわかりやすいですね。
両者とも自分にとって倒しやすいけどやりにくい相手だと思いますので、この相手をあっさり勝ったなんてしたらトーナメントの優勝者予想の際には重い印をつけてみようかなと思います。


⑥伊藤祐樹vs宮城友一

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才能ある若手と地元のベテランという今大会のテーマに近い試合の1つです。
現状平良達郎選手を始め非常に強い選手が多くレベルの高い国内フライ級ですがRIZINさんはそろそろベルトを作ってくれてもいいんじゃないかと一ファンとしては思いますね。フライ級は対世界というテーマから見ても外せない階級ですので関係者の方が見ていたら是非ご検討を宜しくお願いします。

伊藤祐樹選手はフライ級離れしたKOパワーと打ち合い上等のガンガン前に出るアグレッシブなスタイルでキャリア10勝のうち半分をKOで勝っています。
非常に柔らかく構えている印象で試合序盤は打撃を出しながら相手を見ていて徐々に距離をつぶしていき、好機と思ったら一気にギアを上げて相手を倒している印象です。前戦では関原翔選手とのバッチバチの殴り合いを制して勝利したりと現在非常に脂がのっている選手です。

対戦相手の宮城友一選手は現役沖縄在住の選手で元GLADIATORライトフライ級王者にもなったことがあります。
一時期キックボクシングに転向していましたが現在はMMAに戻り元々MMAで培った確かな寝技技術とキックボクシングで進化した打撃を持ち、それをミックスさせたスタイルで勝ち星を築いています。

伊藤選手は自分と同じくらい立ち技ができる相手にはかなり苦戦する傾向があると思います。さらに今回は立ち技+自分よりも圧倒的な寝技がある相手ですので苦戦は必至でしょう。ですが宮城選手も現在39歳とスピードと体の反応が特に重要視されるフライ級では肉体的にはかなりきついでしょう。

割とどっちが勝ってもおかしくないけっこうな勝負論のあるカードだと思いますが皆さんはどうでしょうか?個人的には打倒極が連結された相手に対してどうやって伊藤選手が戦うかが気になりますね。伊藤選手の底が見えるような試合展開を個人的には期待しています。


⑦村元友太郎vsBJ

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さっきの試合も若手vsベテランの構図ですがこの試合はもっとそれを感じますね。BJ選手ということもありますが村元選手は年齢よりも若く見えるので余計そう感じますね。ほんと格闘家の年齢不詳感はすごいです。

村元友太郎選手はこれで通算4戦目となりました。詳しいことは以前書いた記事を読んでいただけると幸いですが、簡単に言うと高い身体操作能力でオールラウンドに戦うセンスを生かしたタイプです。

対戦相手のBJ選手はこれが7年ぶりの復帰戦ということでまずは試合勘的なアレは大丈夫か考えてしまいますね…
レスリングをバックボーンに持ちバックを取ってのチョークが得意技です。そのチョークで修斗バンタム級王者(現フライ級王者)にもなりました。

この試合はおそらく動く回る村本選手をBJ選手がどうやって組めるかがカギになると思います。BJ選手は組んだらチョークという自分の勝ちパターンがあるので自分のプランを遂行するだけだと思います。逆に村元選手はオールラウンドに戦えるので相手のプランを受ける立場です。それに伸るか反るかという一瞬の判断で試合の行方が変わると思います。

どういう試合展開になるか正直あまり読めませんが、こういう雰囲気の期待値が低い試合が意外と大会のベストバウトになる気がします。
最初に設置されたハードルが低ければ思いっきり飛んだだけで周囲の評価は爆上がりです。どのようにどうやってハードルを飛ぶか、両選手の準備してきたハードルの飛び方に注目です。


⑧渡慶次幸平vs岸本篤史

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ラウェイとボクシングというこれまた異種格闘技感が強いマッチメイクです。
因みにラウェイとはミャンマー発祥の武道であり、拳にグローブではなくバンテージを巻いたり絞め技、投げ技、頭突きに金的がオッケーと何でもあり感がとても強いことが特徴で「地球上でもっとも危険な格闘技」とも称されます。また神事の側面もあり試合前にはリングサイドで選手が神にささげる踊りをします。

渡慶次浩平選手はそんなラウェイを非常に珍しいミャンマー人以外の選手としてやっている選手です。
鼻が折れても試合を続行したり腕が折れていても試合オファーを断らなかったりとその狂気性から現地では”狂戦士”と呼ばれています。

また荒っぽい見た目とは裏腹に社会貢献活動にも尽力しており、教育格差が激しいミャンマーで自身のファイトマネーから学校を建てるなど多くの活動をしています。

対戦相手の岸本篤史選手は名門BRAVEジム所属で高校時代の同級生の芦田崇宏選手の影響で自身も総合格闘技を始めました。
ボクシングをバックボーンに持ち高校時代にはインターハイ3位、大学時代には国体で準優勝とその実力は正に折り紙つきです。そのボクシングを生かした強烈なパンチが武器で試合のほとんどをパンチのKOで倒しています。

BRAVE所属なためレスリング技術も持っていて一撃でKO出来るパンチを持つハイライト級の試合が多く非常に見ごたえのある選手です。

なんだかんだRIZIN3戦目である渡慶次選手のおかげで今まで格闘漫画レベルの知名度だったラウェイが一気に現実的なモノになったと思います。地元沖縄では勝ち星がないため今回はいつも以上に気合が入っていると思いますが、気合が入っているのは岸本選手も同じだと思います。
これが初の大舞台の試合である岸本選手はかなり気負って出てくると思います。特に同門であるBRAVE勢がRIZINの試合で一気に知名度を手に入れていっている現状は忸怩たる思いがあるでしょう。

お互いに立ち技バックボーンでありバックボーンを生かしたファイトスタイルで勝ち星を作ってきました。
まぁなのでこの試合はほんとにラウェイvsボクシングの古の異種格闘技のような感覚で見るのが一番楽しめると思います。
ざっくりとしたテーマは「ラウェイファイターは国体ボクサーのパンチに耐えられるのか⁉」といった感じでしょうか。こう書くとなんだかYouTubeのタイトルみたいですね。


⑨藤田大和vs曽竜也

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皆さん藤田大和選手を覚えていますでしょうか?
勿論MMAに詳しい人は元DEEP暫定王者にもなった強豪選手として認知されていますが、実はMMAデビューはRIZINで相手はあの那須川天心でその翌年にはキックボクシングの試合で那須川天心と戦っているある意味RIZINや那須川天心の歴史を語る上には外せない選手の1人です。ここまでの選手になるとはあの頃からは想像できませんね…

そんな藤田大和選手は元々アマチュアボクシングのトップクラスの選手でそこからMMAに転向しました。ボクシングテクニックはさることながらアマチュアボクシングで鍛えた絶妙な距離感とカーフキックやハイキックといった多彩な蹴り技、組み際でのテイクダウンなど決してパンチだけではないトータルファイターです。MMA初めて約5年の適応力とは思えませんね。

その類まれなるセンスの高さでDEEPのフライ級暫定王者まで昇り詰めました。しかし正規王者の神龍誠選手との統一戦では敗れてしまいましたが非常に見ごたえのある良い試合ですので良ければ見てみて下さい!

対戦相手の曽竜也選手は現在37歳のベテラン選手で170㎝というこの階級では長い身長や手足が特徴です。
そのリーチを生かした前蹴りやスクランブルの強さ、そしてここ10年フィニッシュ負けが無いディフェンス能力の高さが非常に際立ちます。

下馬評では圧倒的藤田選手有利でしょう。ボクシングで身に着けたパンチ力や距離感に散らしのうまい蹴りとMMAの適応がとてもうまくいっている印象です。
曽選手は前回の沖縄大会である「RIZIN.32」では国内ストロー級トップクラスの越智晴雄選手に負けてしまっていて故郷にまだ錦を飾れていません。そのためこの試合にはかなり気合が乗っているでしょう。

去年から国内全体で力を入れている非常にアツい階級であるフライ級ですがどうやらDEEPでトーナメントをやるような噂が立っていますね。欲を言えばRIZINで国内王者級の選手や外国人選手を集めた国際的なGPを行ってほしいです。
前述しましたがRIZINには早くフライ級のベルトを作ってほしいですね。ベルトの有無は階級全体の引き締めだったり団体の格の底上げと団体の将来を考えるといいことずくめだと思います。


⑩カイル・アグォンvs山本空良

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2020年から本格的に動き始めたフェザー級も今年下半期で今のストーリーにいったんの決着がつきそうですね。
個人的な読みは牛久チャンプvsクレベル選手のフェザー級タイトルマッチを9~10月にやって、大晦日にメイウェザー終わりの朝倉未来選手とのタイトルマッチでしょう。

カイル・アグォン選手はRIZINでは1勝2敗とあまり目立たない戦績ですが現PANCRASEフェザー級王者であるISAO選手や中島太一選手に勝っていたりと日本フェザー級では強豪の立ち位置の選手です。
高いレスリング力をベースとした相手を試合中何もさせないスタイルで特にフィニッシュ勝利をやらせないそのディフェンス能力にはとても定評があります。
前戦では元DEEPフェザー級王者の芦田崇宏選手にレベルの違いを証明するような勝ちっぷりを見せました。

対戦相手の山本空良選手は若干21歳ながらこの試合が16戦目と非常にハイペースに試合をこなしています。
父である元ファイターの山本喧一氏からの英才教育を小学5年生から受けていたため非常に独創的なMMAをしています。おそらくバックボーンが最早MMAというレベルで浸透していることや練習拠点があまり格闘技が根付いていない北海道ですので自分たちで練習から一個ずつ考えていることがかなりファイトスタイルに影響していると思います。
ここら辺は同郷で練習パートナーでもある現修斗ライト級王者の西川大和選手にも通ずるモノがありますね。

この試合はシンプルに攻め続ける山本選手とその攻めに対してカイル選手がディフェンスしきれるかに尽きます。
カイル選手のRIZINフェザー級での具体的な立ち位置に関しては人によっては結構意見が分かれるところでしょうが、個人的には国内王者級の層の最上位だと思ってます。
詳しく区分するとRIZINフェザー級は牛久チャンプにクレベル選手や朝倉選手といったいつタイトルマッチ組まれてもおかしくないやろ層、国内王者や定期参戦してくれる外国人などの国内トップレベル層、萩原京平選手や平本連選手といったまだ育成枠層の3つに区分されると筆者は考えています。
この層で考えると両者とも国内トップレベル層ですが近年の試合や実績を考えると、まだカイル選手の方が同じ層でも上にランクしてると思うんですよね。

若さか、経験かとわかりやすい構図になったこの試合はおそらく今大会でも屈指のMMA好事家がうなる変態的カードです。
多分勝つにしろ負けるにしろ両者めちゃくちゃ動くカロリー高い試合になると思うので、見終わった際には沖縄名物のちんすこうや紅芋タルトで脳みそをいたわってやってください。


⑪昇侍vsヤン・ジヨン

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寝耳に水ってこういうことを言うんでしょうねぇ…
どこからか青木真也御大の「ヨカタじゃねえんだよ」が聞こえてきそうですね。

ヤン・ジヨン選手は現在4戦4勝の無敗の選手でバックボーンのキックボクシングを生かしたパワフルな打撃が特徴です。
韓国の選手の全体的な特徴としてウェイトトレーニングを中心としたフィジカルトレーニングと立ち技の練習にすごく力を入れています。ジヨン選手の例にもれず強靭なフィジカルと立ち技の圧力でKOや一本勝利をしています。

対戦相手の昇侍選手は現在16年目のベテランファイターで過去の対戦相手には元UFCフェザー級絶対王者のジョゼ・アルド選手がいたりとそのほかにも国内軽量級ファイターと長い間戦い続けている選手です。

RIZINでは朝倉海選手や萩原京平選手といった人気選手のかませ的なポジションですがその人柄と”どこでも昇侍”といったキャッチーさ、そして今回のような緊急出場にも応える漢気の強さがあります。

今回の件は端的に言うなら朝倉海選手がケガで試合に出れなくなっただけなんですが、今回の大会が朝倉海選手がメインでいないとほぼTRIGGERレベルのカードの質だったり沖縄在住でもない純粋な朝倉海フリークの人としてはここで朝倉海選手が出ないとわざわざ現地に行ってまで見たいカードではないと思うんですよね。
また沖縄開催というところも今回この問題に拍車をかけています。
東京-沖縄間の飛行機代は約4万円ほどですがこれにチケット代や現地滞在費、気合入っている人は有休をとって沖縄に前乗りしている人だっているかもしれません。夏の沖縄という最高のシチュエーションで大会を開いたことが裏目に出てしまいましたね。

ですがカードに穴を開けないためにきっちり体重を落としてきた昇侍選手、対戦相手が日本バンタム級で知名度と実力がトップクラスの選手とやると思っていたら急に1階級上の選手とやる事となっても試合をOKしたヤン・ジヨン選手の2人のファイターの漢気に拍手です!

まぁ個人的にはこのカードの方がヤン・ジヨン選手の実力査定がしやすいのでこれはこれでという気分です。


⑫砂辺光久vs中務修良

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沖縄出身の格闘家で一番すごい方は具志堅さんでしょうがMMAに区分したら一番すごいのは多分砂辺選手だと思います。この人がいなかったら沖縄のMMAがここまで発展はしてなかったでしょう。

そんな砂辺光久選手は現在42歳ですが日本のストロー級ではトップクラスの選手です。
立っても寝てもどこからでも攻撃をし続けるスクランブルな展開が強い選手であり経験を生かしたドロップキックのような突拍子もないことを試合中に平然とするのも特徴です。「RIZIN.32」での前田吉郎選手との日本軽量級のレジェンド対決は必見です!

対戦相手の中務修良選手は前回の「RIZIN TRIGGER 3rd」の征矢貴戦でRIZIN初参戦をしました。階級が上のハードパンチャーである征矢選手に対して一切臆することなく立ち向かった姿は見ている人の心に深く突き刺さりました。
適正階級はストロー級であり得意のグラップリングでストロー級トップファイターの砂辺選手から見事一本を獲れるかに注目です。

前回のRIZINの盛り上がりから第2回へとつないだ沖縄大会ですがメインが飛ぶという大事件が起きてしまいました。
ですがこの状況でむしろ気合が入るのがファイターという生き物です。怪物くんこと鈴木選手が言っていたので間違いないです。
こういう大会だからこそむしろさっぱりした気分で見るのが精神衛生上良いんじゃないんでしょうか?RIZINのついでに沖縄観光ではなく、沖縄観光のついでにRIZINを見るぐらいのメンタルセットが丁度良いと思います。


⑬山本美憂vs大島沙緒理

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RIZINスーパーアトム級トーナメントを考えるとおそらくこの試合は0回戦という立ち位置だと思うんですが、それにしては流石にもったいなさすぎると多くの人も感じてると勝手に思ってます。勝っても負けてもこの両選手はトーナメント出場は確定にしてほしいですね。

大島沙緒理選手は現DEEPミクロ級、アトム級の2冠女王であり全日本で優勝するほどの実力がある柔道がバックボーンです。
とにかくスタンドの組み際に足を掛けて相手をテイクダウンする柔道式テイクダウンがめちゃくちゃ上手で、このテイクダウンを使ってRIZINの看板選手の1人である浅倉カンナ選手を倒しています。

対戦相手の山本美憂選手はレスリング世界選手権を3回優勝したオリンピックにまだ女子レスリングが採用されていない時代の女子レスリングの象徴的選手です。
3階級上とも称されるほどのフィジカルと世界を制したレスリング技術、そして近年はボクシング技術が目に見えて向上してきたため以前のテイクダウン一辺倒の試合ではなくスタンドではパンチの打ち合いをしながらタックルに行けるMMAファイターとして驚異的に進化しました。

この試合のカギは非常にシンプルです。どっちが先に背中をつけさせたテイクダウンを取るかです。
どちらもグラップラーですが片や柔道、片やレスリングと寝技へのアプローチがかなり違います。柔道の場合は立っている状態の投げや足を掛けてのテイクダウンが得意で、レスリングの場合はタックルでのアプローチが得意です。
ですがレスラーは壁際以外でのスタンドでの組みの攻防が少々苦手なイメージです。そりゃレスリングにはスタンドでの足掛けが無いのでしょうがないんですけどね。
相性だけ見ると山本選手不利ですが山本選手にはあのフィジカルがあるため一概にも不利とは言えないです。山本選手のフィジカルの強さのイメージは体の強さもそうですが、とにかく”力”が強いっていうタイプだと思います。あの浜崎選手ですら手首の組みを取れないほどの力の強さはこの階級ではもう世界一でしょう。
また大島選手は倒してからも蹴り上げだったりでグラウンドでもうるさいタイプの選手ですのできちんとしたテイクダウンではないと試合はかなり厄介なことになるでしょう。

技とフィジカルの押し付け合いになりそうなこの試合ですが案外立ち技決着になるんじゃないかななんて筆者は思ってます。
スーパーアトム級がここまでにぎわうことになるとは山本選手がデビューした頃からは考えられませんね。RIZINの女子格闘技への投資がきちんと成功した事例だと思います。


⑭鈴木博昭vs平本蓮

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まさかのメイン昇格となった2勝1敗と0勝2敗の2人の試合です。
どうやら平本蓮選手が1か月ほど貯金していた徳が花咲きましたね。でも計量終わりのフェイスオフでは刺々しいFワードが出ていましたね。どうやら計量が大変だったのでしょうか。徳が逃げていくか心配です。

鈴木博昭選手は元SHOOTO BOXINGライト級、スーパーライト級の2冠王者で強靭なフィジカルとブン回すフック系のパンチが特徴です。ただ試合に当たりはずれがある印象ですね。おそらく入場で力使いきる場合があるんでしょうね。

対戦相手の平本蓮選手はもう説明不要でしょう。k-1で鍛えたスタンドでのテクニックやアメリカの名門ジムであるルーファスポーツジムで磨いたテクニックは多くの人に期待を持たせるのも納得でしょう。

いや~しかし経歴だけ見ると平本選手は多分きちんと強いところは強いと思うんですよね。多くのファイターが練習では平本選手はめちゃくちゃ強いっていうのも納得できます。
おそらく平本選手は持ってるパーツの一部はほんとに世界レベルなんでしょうね。ただそれ以外の要素がまだ発展途上だったり技術の連結の作業が上手くいかなかったりで試合での結果が上手くいっていないんだと思います。会社のプレゼンで特定の分野の資料作りはめっちゃうまいのにいざ本番だとアガって変な所でミスしたりちょけたりそれを修正できずに失敗してしまう感じでしょうか。

この試合に関しては技術的な見どころは正直そんな必要ないと思うんですよね。多分鈴木選手がパンチ振りながら前に出てそれを平本選手が受ける展開になるでしょう。どうしても気になる方はYouTubeで格闘家の皆様がたんまりと予想動画を上げているのでそちらを是非。

なのでそれ以外の要素から掘り下げてみようと思います。
現在平本蓮選手には商品価値がほぼないです。
以前はトラッシュトークやビックマウス、SNSでファンと意外と温かい交流をしていることを大々的にアピールしていたので試合が勝手に盛り上がっていたのですが、前戦の鈴木千裕戦で5分3ラウンドやり切ったことでむしろ現状の自分の強さ・弱さを公表してしまったので今の平本選手の位置やレベルが明白になってしまったんですよね。そのことで自身の貯金で作った幻想が今回逆さにしても出ない状況になってしまいました。前戦でもしも1ラウンドKO負けとかだったらまだ幻想の貯金があるので今回もおそらくバリバリのトラッシュトークをしていたのだと思います。

そんな状況ですので実は今回は鈴木選手の方が旨みが無い、メリットが無い試合なんですよね。
なので筆者は今回ついに味のしなくなった平本選手にどういう味付けで試合までのプロモーションをするのかなぁとみてたんですよね。
この試合がメインになるまでは。

流石に平本選手”徳”積みすぎじゃないですか?実は急に銀行口座に4630万円振り込まれたけど何にも使わずに返しました?
それくらいの徳の積み方でまさかまさかのメイン昇格となって一気に吹く風が変わってきました。
こうなったらこの試合は金のガチョウか味のしなくなったガムかよくわかんなくなった平本選手vsガンギマリ入場と何故かマイクが滑る星の下にいる鈴木選手のメインだからこそ生まれた重さと緊張感がある試合と見ることが出来るようになったんですよね。

まぁ実際どうなるかわかりませんが確定しているのは仮にこの試合に平本蓮選手に負けてもRIZINは絶対に見放さない事、筆者は今でも怪物くんが飛びつき腕十字を獲ってポペガーすることを心のどっかで願っていること。
そして平本選手が勝ったらマイクは泣きながら今まで自分を支えてくれた人への感謝を言うこと、マクレガーリスペクトでファイターへの感謝を言うふりして思いっきりFワードを使ったディスを言うかメイウェザーに喧嘩を売るかのどれかか全部だと思います。ちなみに筆者の本命はメイウェザーです。
良ければ皆さんも予想してみて下さい。こういう大会、こういう試合だからこそ選手のマイクにはより注目です。見る側の腕が問われる大会にくしくもなりましたが腐らずに楽しんでいきましょう。


⑮おわりに

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今回の記事はいかがでしたでしょうか。
このRIZIN.36の視聴は今からでも間に合いますので、下部のリンクから自分の都合の良いPPVを買ってみて下さい。
また現在PPVの払い戻しや無料視聴キャンペーンもやっていますので気になる方はそちらも是非!

またこの記事や今までのnoteに対しての感想や意見はドシドシお待ちしていますのでコメントやTwitterで反応や拡散をしていただけるととてもうれしいです!泣いて喜びます!

ここまで読んでいただきありがとうございます!



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