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31歳の遺書
32歳になろうとしている私へ
今死んでも悔いのないように遺書を贈ります。
墓場まで持って行こうと思っていたことがある。
子供が成人し、家庭を持つまたは自立したら、円満に離婚したい。
愛が尽きた訳ではない。
ただあなたに愛が続く自信もない。
子供は愛している。子供のいるこの家庭を愛している。
夫婦二人になった時、私はあなたと時間を共有したいと思わない。
お互いひとりの時間が必要な人間で、独身時代も束縛を嫌っていた。
その頃になるともう十分一緒に過ごしているだろう。
あなたを愛している。
だからこそ無理に時間を共有して、心底嫌いになりたくないのだ。
都合のいい言葉だが、いい距離感でいたい。
今はまだ家族でいる必要があると、私は思っている。
自分の意思なのか、子供のためなのか。
とにかく将来の自分のために自立しよう、と前向きな目標ができた。
ネガティブな思考の裏には大抵ポジティブな発見があるものだ。
せめて文章の中では、ひとりの女性として生きていたい。
今はまだ死ねない。
だから墓場にはまだ持っていけないから、32歳の私に渡します。