【読書記録】やめるときも、すこやかなるときも
国語教諭をしている友人が、今年百冊本を読むことを目標にしていると今年の初めごろに聞いた。もともと友人は仕事柄もあり以前からたくさん読みたい本を買っては積んでいるということと、読み終わった本の感想を軽くは聞いていた。それらのこともありかねてより自分も、語彙を増やしたり思考を深めるために読書をしたいと思っていたが、もともと多趣味な為なかなか手が付けられずにいた。しかしようやく優先していた趣味がひと段落したこと、環境が変わり趣味に割く時間が増えたためそろそろと読書に手を付けることにした。
友人は読書記録としてTwitterに読んだ本の写真をあげていて、自分も記録がしたいと思ったのと、せっかくならその時感じたことも残しておきたいと思ったのでこちらのnoteに箇条書きに等しい感想を書きとめていこうと思う。
今回読んだのは、窪 美澄さん著、『やめるときも、すこやかなるときも』だ。
こちらの本を知ったきっかけは、ラジオ番組だった。
TOKYO FMで日曜に放送している『hon-yomokka(ほんよもっか)』という番組をたまたま聞いた日、椅子に注目した作品を紹介していた。その日紹介していたのは今回読んだ本と、江戸川 乱歩の『人間椅子』だった。人間椅子も聞いたことはあれど読んだことはなかったし推しが朗読していたので近いうちに読みたいと思う。
ほぼ自分用のメモのような感想なのであらすじ説明もなく、散文的な文章になってしまうだろうと思うので、きちんとした感想を求めてきた方は読まないことをお勧めする。加えて自分は国語の読み取り問題と読書感想文が引くほど苦手である。
読み始めてすぐに桜子に感じたストレスに、やはり作品の序盤、どんな人間かを知らない段階は本当に苦手だと感じた。これはドラマやアニメ、漫画でもよくあって、それが苦手だから年々作品に触れなくなっていると最近気が付いた。
しかし壱晴の過去のことがおおよそ予測がつきつつも気になったし、この二人がどうなっていくのが気になり、波に乗ってからは読み進めるスピードが衰えることはなかった。
読んでいて、壱晴も桜子にも半分ずつくらい自分と同じ要素を感じた。
桜子を見ていてこういう素直に表情に表れるような人が、大変なこともありつつも何かを掴むんだよなあと妬みに近い感情を自覚した。自分は桜子のように不器用でありながら壱晴のように隠して蓋をして見せまいとないものとしてしまう癖があるから二人を見ていて羨ましかった。
ここ最近いろいろ溜まっていたのか後半涙が出てきたシーンがあったが、最初に涙が出たところは自分でもなぜ泣いたのかわからなかった。これはもう数日考えたら答えが出るのだろうか。
自分は物心がついたときから結婚しないと決めているし、一人で孤独に死んでいく覚悟と準備はずっと続けているが、でも、結婚はせずともずっと一緒に居てくれる人がいたらいいなと思った。
(5月23日追記分)
松江に行ったことがあるため、作中に描かれている松江の雰囲気が良く分かり懐かしくなった。また訪れたい。作者自身について全く情報を仕入れてないのだが、きっと松江に親しんでいる方なのだろうと思った。
桜子の母親が、夫である桜子の父親がああなっても離れられない様子で自らの両親が浮かんだ。うちはああいった雰囲気ではなく和やかな家だが、それでも文句を言いつつも一緒に居るのは、桜子の両親に少し通ずるものがあるのだろうかと思った。きっと長く一緒に居る夫婦とはそういうものなのだろうと思う。とはいえうちの両親はきっとなんだかんだで両想いなのだろう。
人によるとは思うが、わたしは壱晴は結構いい男だと思った。一度決めたら大事にしてくれそうである。本人の基準での大事に、ではあるが。
最後の真織と名乗る女子大生が現れるところ、個人的には少し目を離したらいない、気のせいだったのだろうか、のようなファンタジー感がある方がよかったかななどと思った。
普通に楽しく読んでしまったのと、この感想は数日かけて書いている為特筆するほどの感想はもうない代わりにいろいろな気づきがあった。
今までこのような小説を読むというのは漫画や同人作品を読むのに比べてハードルが高く、しっかりとした気持ちを持って読まなければという気負いがあったのだが、普段漫画などを読む気持ちで楽しんでいいのだという心持を手に入れた。
装丁のせいなのか、学校などの環境のせいなのか分からないが、こういう作品を避けていた呪いのようなものを解くことができて良かったと思った。20代のうちにこのような呪いを解けたことは大きい。
これをきっかけに今まで避けていたタイプの小説も楽しめるようになるかもしれないと思ったら楽しみである。
こうしてたくさんの作品を読んで今まで持っていなかった視野の広さや、思考の幅を手に入れられたらいい。
そして友人ほどはいかなくとも今年多くの本を読めたらいいと思う。
上手くはまとまらなかったがこうして感想や感じたことを読書記録として続けていきたい。
次の本はもう購入済みなのでこれから読むのが楽しみである。