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【読書記録】あなたとなら食べてもいい

 前回、『スイートホーム』の感想記事の最後、次回は『あと少し、もう少し』を読むと宣言し、実際読了はしている。しているのだが、あまりに感想が多く今だまとめきれる気がしないので、まとめつつ次の作品にいくことにした。
 評判通りとても良い作品だったので、現状出来うる限り丁寧に感想をまとめたいと思う。

 今回読んだのは『あなたとなら食べてもいい』という七人の作家による食にまつわるアンソロジーだ。
 こちらの本は、好きなイラストレーターの東麻マユカさんが表紙イラストを担当しており、発売当初告知されていたのを見ていて知っていた。のちほど買おうと思っていてすっかり忘れていたのだが、先日書店で偶然発見できたのでそのまま購入した。
 表紙だけでなく、タイトルも好みだったので手に取った。ここまで読んできた本も食べ物が話の中心に上がるものが多かったところから分かるように、食が関わる話は好きだ。(以前の感想でも述べたような気がする)
 加えてアンソロということもあり読みやすそうだと思ったのも手に取った理由だった。
 正直、とても良かったし好きな作品に瞬間で食い込んだが『あと少し、もう少し』は結構カロリーが高かったので、次は軽めのものが読みたかった。

 最初しか注意書きをしていなかった気がするので改めて言うが、個人的な読書感想なので、感じたことをそのまま書く。
 この前置きで嫌な予感を察知した方はこの先は読まないことをお勧めする。

 書籍タイトルと内容があまり合ってない。
 読み終わって感じた後味の悪さはそれだ。
 確かに表紙やタイトル、裏表紙のあらすじで勝手に期待したのはこちらである。しかしあまりにも食事のシーンが気持ちの良い作品がなかったように思う。人と食事すること、みたいなタイトルなのにただ一緒に食べているだけとか美味しく食事してる話がなかったのが残念だった。
 タイトルと表紙絵のイラストレーターさんが好きで手に取っただけに内容とのギャップが悲しい。もう少し内容に合ったタイトルだったら手に取らなかったと思う。
 『ショートケーキ。』の時のようにこの話は好きかも、みたいな話も特になく、まあこんなもんかという感じ。自分が表面だけを撫でたり、ハピエン厨な部分があるからより合わなかったのだろう。

 救いがあったり、しっかりとした甘みがある話が好きだ。甘みといっても、しっかりとチョコレートや蜂蜜のような感じ。苦味や酸味の中から同情のように、勘違いかのように感じた微かな甘みは好きではない。
 女性作家が描く女を気持ち悪く感じる。
 妙に生々しいというか生臭い部分を描くことを好むというか。
 女の愚かさや醜さのような部分を煮出して描いているようにわたしは感じてしまった。(女性だからこそ描けるものであるとは思うが)
 自分が女という生き物を特に苦手としていることは今よりも幼い頃からなんとなく感じていたが、年を重ねると、より歳を重ねた女が気持ち悪い、というより嫌だなとおもう。
(私情が過ぎたので中略)
 という自分の感情と向き合わざるを得なくなるような、自分が苦手とする作風の話が多いアンソロジーでした。
 あくまでわたしの感性や好みの話なので、好きな人は好きだろう。
 わたしと仲良くなれないタイプの女性は結構好きなお話かもしれない、知らんけど。

 しかし苦手な内容であっても読むことによって、自分の感情の気づきとか、自分はどういう作品が苦手なのかとか、そういうものを知れるからこれからもヒット、空振りを気にせず目についた本を購入して読むことを続けていきたい。
 こうして自分の感情をしっかりと言葉にして表して自覚するということも結構大事な作業だと思う。
 そのような観点からいくと、読んでよかった作品であるともいえる。

 次回読む本はまだ決まっていない。
 さすがに『あと少し、もう少し』の感想を書ききってからの方がよいだろうと思う。とはいえ読書の間をあまり空けたくはないので、感想の方は早めにこちらに掲載したい。
 友人からは瀬尾まいこさんの他の作品を勧められているのでそれを読んでもいいし、自力で開拓したい気持ちもある。まあ、書店に行った時の自分に任せようと思う。本との出会いとはそういうものだろう。

 次の作品はどんな感情に出会わせてくれるのか今から楽しみである。

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