寒くなると思い出すあの日のこと
暖房もなく凍えるような空気の中
ひとり正座をして
風呂上がりの髪を乾かすからと
ドライヤー片手に持って
もう片方は握りこぶし
いつもは大きな目を
今はギュッとつぶって
ポロポロと流す涙を見て
やっと気づいた
彼女に対する鈍感さ
やってしまった
ごめんごめんと
手を差し伸べたとき
あまりの彼女の手の力強さに
余計に自分の残酷さに呆れてしまい
その手をこちらも強く握り返して引っ張って
今日一日辛かったんだな
ひとりにして悪かったと
夕飯の会話を思い出しながら
彼女が彼女自身に
罰を与えながらの
世の中への抵抗の握りこぶしを
全力で守ってあげたいと
心の底から強く感じた
忘れてはいけない出来事
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?