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【ショパン17歳の夏旅行】ポーランドは今よりずっと小さいぞ

夏休みに、海辺の街グダンスクへ


『ショパン全書簡』ポーランド編を読んでます。解説が充実してる。
これとポーランド語のwiki、ショパン研究所を組み合わせると、ショパンのおしゃべりが一層面白い。なんでもないような言葉でも、ふむふむこういう事があったのかと、リアルタイムじゃないけどニュース記事みたい。

熟読してるのは、1827年7月6日の手紙。
ショパンくんは17歳で音楽院の学生。父と懇意の伯爵が領地へ招待してくれて、ワルシャワから港町のグダンスクまで旅をする。
旅の足取りと、現在の村や街を、Google Mapで調べてみた。

Google Mapの自転車ルートだと、ワルシャワーグダンスクまで505km

505kmだから、東京~大阪くらいだ。馬車での長旅。
最初の村コヴァレボが7月6日。グダンスク滞在が8月半ば。ワルシャワへ帰ったのは月末か9月初め。2カ月近くピアノはあまり弾かずに、ずーーっと伯爵一家と旅してたんだね。

ポーランド~東欧のどこにあるのかわからないぞ

さて、ショパンと言えばポーランドだけど、ポーランド、ポーらん…
ポーランド…って、東欧のどの辺にあるの??(*´Д`)

愕然としたので白地図作って埋めてみた。

21世紀現在の東欧地図

ドイツ、チェコ、スロバキア、ウクライナ、ベラルーシ、リトアニア、海がおとなりさん。ハンガリーとオーストリアは接してないんだね。

ショパンの時代のポーランドは今より小さいぞ

さて『手紙』の解説読むと、海辺に行くとき国境を超えるとあるぞ??
ショパンくん時代のポーランドは、今と違って小さいんだ。ちょっとだけ世界史知識が必要だ。

  1. 18世紀末 ポーランドは大国だったが弱体化

  2. ロシア帝国、プロイセン王国、オーストリア帝国が、領土を端の方からカットしていき、ポーランドは地図から消えた

  3. 1807年 フランス・ナポレオンがプロイセンとオーストリアを蹴散らし、ポーランド人のワルシャワ公国を建国。敵の敵は味方である。

  4. 1812年 ナポレオン、ロシアで敗北。ポーランドは後ろ盾を失った。

  5. 1813年 ウィーン会議。ワルシャワ公国は3つの国に分割

  6. ポーランドは自治権を徐々に失う。その後何度も民族蜂起するが…

1827年。少年ショパンのポーランド

手紙でショパンが、
■なんとなく、ドイツ人(ドイツ語圏のオーストリアも一緒)に含みのある言い方をする
■11月蜂起直後のウィーンで、ポーランド人だからと冷遇された
■対ロシア戦で敗北を知った時『どうしてフランスは助けてくれないのか!』と激しく怒る(なぜ助けてくれるのが当然と思うのか?)

ぼんやり疑問だったけど、そういうことなのね。

歴史と地理を調べ出すキリがないぞ。おもしろい。
でも本題からそれるので、ポーランド三国志はひとまず終わり。


17歳ショパン、グダンスクへ行く旅ルートまとめ

1827年夏の手紙の旅行ルートを、当時の地図に書き込んでみる。

1827年、ワルシャワ~グダンスクは国境を超える

国境を超えるからパスポートがいるのかな?
2カ月近く領地を訪れながらの旅行。田舎で農民の音楽(マズルカ)聞く機会もあったかも。音楽は旅の楽しみ、浴びるようにインプット。

マズルカ聴きたくなったので、ルービンシュタインのマズルカ全曲を貼ってみる。(*‘∀‘)


おまけ(1) 親友ティトゥスくんが田舎に帰る

ショパンの友だちは貴族の子弟が多く、夏休みはみな田舎の領地で過ごす。ワルシャワ大学生の親友ティトゥスくんも、領地ポトゥジンへ帰る。

ティトゥスの領地ポトゥジンは、ワルシャワから330km

ポトゥジンは、地図で見ると今も昔も国境沿いだ。
いちばん近い都市はルヴフ(現ウクライナのリヴィウ)。
ロシア領だと思ってたけど、ここはオーストリア領だったのか。ティトゥスが生まれた場所であり、蜂起失敗後この街に潜伏してたこともある。

ティトゥスが何度も反ロシア活動してるのに、逮捕されたりシベリア送りにならなかったのは、他の仲間と比べてティトゥスがうまくやったんだと思ってたけど、国境の村という位置も大きく関係してそうだ。
地図っておもしろい。

おまけ(2) 親友プルシャックも田舎に帰る

ショパンくんのもう一人の親友プルシャックくん。
プルシャック家の領地サンニキは、ワルシャワから90kmのところにある。

プルシャック家のサンニキは、ワルシャワから90km

ワルシャワ~サンニキ村は、東京駅から熱海の距離だ。(^◇^)
大都市で暮らし、田舎でのんびり休暇。関係性も似てるね。

実際にいた人が書いた『手紙』。謎解きのようでおもしろい。

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