育休中に資格取得した経験者として言えること
「育休中のリスキリングを後押しする」という岸田首相の国会答弁が叩かれています。
実は私、育休中に知財検定2級を取得しています(当時は知財担当部署に在籍していた)。
その時の経験があるからこそ、育休中の資格取得は、他の人には安易に勧められないと思っています。
私が資格の勉強が可能だった条件は、いくつもあります。
・母子ともに身体の経過が順調だった
・子どもが1人だけだった(上の子のお世話もしながら・・・だったら、私は絶対無理だった)
・赤ちゃんは最初の数ヶ月は睡眠が細切れ(短時間で寝たり起きたりを繰り返す)。まとまって夜寝るようになるのは、個人差が大きいのですが、娘はかなり早い時期に睡眠が安定した(ここ最大のポイント)
・育休期間が長かったので、1日当たりの勉強時間の少なさを、長期間取り組むことでカバーできた(子どもがいなければ3ヶ月で追い込んだと思いますが、勉強期間を半年設定し、少しずつ進めました)
この1つでも欠けていれば、断念していたと言い切れます。
少なくとも私は、産後の回復が順調ではない人がやろうとしていたら止めるし、赤ちゃんがまとまって寝ないのに資格の勉強に集中するのはかなり難易度高いと思います。
私は、娘が夜7時ごろに寝て大体そのまま朝5時まで起きないタイプだったから、勉強時間を確保できたのです。
(といっても、途中で娘が起きちゃって勉強を中断したことは、何度もありました。疲れ切って勉強どころじゃない日は、もっとたくさんありました)
岸田首相は「私も3人の子どもがいて、大変さは知っている」という趣旨の釈明をしたそうですが・・・。
これ、最初に乳児育児の大変さに一言でも触れていれば印象は変わったかもしれないんですが、それがなかったんですよね。
経験者として、当時のことを思い返すと、国の施策としてやってほしいのは「リスキリング自体の後押し」ではないんですよ・・・。
私も国家公務員で政府の側の人間ですが、「それじゃない」感すごくあります。
リスキリングの有無に関わらない、もっと広い、心身ともに不安定、慣れない育児で疲労困憊中の親(特に出産ダメージのある母親)へのサポートなんです。
具体的には、一時預かりや産後シッターの充実(質の確保含む)です。
乳児を抱えた親に必要なのは、レスパイト(休息)。
その環境が整えば、学びたいという意欲のある人は資格なり学位なりに向かうと感じます。
少なくとも私は、知財検定2級を受ける時に「政府に」受検をサポートしてほしいとは思わなかった。
むしろ、勉強時間確保のために(いや、その前にヘトヘトな心身を休めるべく)、0歳児も受け入れる一時預かりが近くにほしかった(自宅からちょっと離れたところにしか無かった)。
「リスキリングを支援することで、損をする人はいないのだからいいんじゃないの?」という意見もたまに見ますが、優先すべきは育児自体のサポートだと強く思うのです。