北海道旅行記2024秋
会社に就職してからというもの、3〜4連休程度の休みでしっかりバカンス気分を味わいたい!という欲望のもと、北海道を旅行先に選ぶことが増えた。数えてみたら、この4年半でなんと6回も札幌を訪れているらしい。しかし、何度行ってもごはんがおいしいし、何度行ってもその都度新しい楽しみが見つかる。
ということで、今回の3泊4日(といいつつ最終日は早朝便ゆえ実質3日間)の北海道旅行記録です。旅慣れた土地だからこそ、お気に入りの目的地と新しいチャレンジをほどよく織り交ぜた旅になった。
早朝出発・新千歳空港のエンタメ
金曜日の朝、4時半に起床する。昨日、布団に入ってからなかなか寝付けなくて2時間くらいしか眠れていない。冷蔵庫の梨が傷みそうだったので剥いて食べたりしていたら、出発の時間ぎりぎりになりすぎて夫に怒られ、落ち込む。
なんとか予定の電車に滑り込んで成田空港へ行ったら、飛行機の出発が遅れており、寝不足すぎて虚な眼で搭乗開始を待っていたところ、急にアナウンスで名前を呼び出される。こういうとき、なにも心当たりがなくても、いたずらがバレたときのような後ろめたい感覚になるのはなぜなんだろうか。カウンターに行ってみると、非常口横の席に座るはずのお客さんが「座れない」と言っているので席を交代してほしいとのこと。もちろんOK!と伝えて、おかげで並ばずに搭乗させてもらった。非常口横の席は、前が広いので足を投げ出せてよかった。
新千歳空港に到着してすぐに、空港内の「きくよ食堂」へ。このお店、本店は函館なのだが、空港内とは思えぬクオリティの海鮮丼を食べることができるので、旅行のたびに寄っている。朝食兼昼食としてウニほたて丼(ミニサイズ)を食べて、これまた空港内の「美瑛選果」にコーンパンを買いにいく。砂糖不使用、小麦粉の2倍量のとうもろこしが入っているというこのパンをずっと食べたいと思っていて、しかしえげつなく並ぶのでトライできずにいたのだ。45分くらい行列し、無事に入手。ほんとうに焼きたての状態で売ってくれるので、その場で食べる。ほかほか!コーン!ふわふわ!パン!贅沢!という味。素材の味に圧倒されるタイプの食べ物だった。
今回は寄れなかったけれど、新千歳空港はおみやげもレストランも充実していて、温泉もあり、国内の空港のなかでは断然たのしい。旅のはじまりとおわりはかならず空港で過ごすわけなので、ここがたのしいのは地味に旅のクオリティを高めてくれる。
北海道の海鮮、ピンからキリまでおいしい
北海道といえば海鮮!であり、北海道旅行の目的の8割くらいはおいしい魚介類を食べることにある。そして、北海道のすばらしいところは、カジュアルな海鮮と少し贅沢な海鮮、そのどちらもがはちゃめちゃにおいしいところである。
たとえばそんなにお高いわけではない海鮮丼や、立ち食い寿司や、ちょっとした居酒屋の刺身盛り合わせが、東京では考えられないくらい新鮮だしおいしい。わたしが北海道出身だったら、ほかの都市の居酒屋で怒り狂ってしまうのではないか。今回も、小樽の市場(有名な三角市場ではなく、鱗友市場というところに行ってみた)で食べたいくら丼や、最終日に寄った千歳駅近くの居酒屋のお刺身が、いちいち衝撃的なおいしさだった。
そして、カジュアルな海鮮がこんなにおいしいのだから、いわんや高級食材をや、である。今回は、「北海道で蟹食べてみたくない?」という夫の発案によりすすきので蟹を食したのだが、ちょっと贅沢したとはいえこの値段でこんなにおいしいものをたらふく……と申し訳なくなるくらいすばらしかった。以前の旅行で寄った旭川のお寿司屋さんも、東京の半額くらいの値段で東京の2倍くらいおいしいお寿司でびっくりしたことを思い出す。
東京にあったらたぶん月2で通うバー
札幌でいちばん好きなお店は?と訊かれたら、数多ある海鮮がおいしいお店やジンギスカン屋さんを抑えてこのバーを挙げてしまうような気がする。
北海道のフルーツやチーズを使ったカクテルがいただけるお店で、食材のおいしさとバーテンダーの方の技術が融合したほんとうにおいしい液体が出てくる。特にこっくりした食材(芋栗南京、チーズなど)がおすすめ。
空間としてもおしゃれだし、営業時間も長めなので、遅めのおやつとしても深夜の〆としてもすばらしいお店です。東京にもこれくらい好きなバーがほしい。
オータムフェスト、催事として強すぎる
9月の札幌といえばオータムフェストである。大通公園沿いにびっしりと屋台が立ち並び、北海道のグルメを味わえる夢のようなイベント。
北海道旅行あるあるとして、名物が多すぎて滞在中に食べきれないという問題があるが、オータムフェストでは屋台サイズでいろいろなジャンルのものを食べ歩けるので、食の心残りを一掃することができる点も、観光客には嬉しいポイントである。
そして、区画ごとにテーマ(肉とか、酒とか、ラーメンとか)が設けられており、端から端まで見て回るだけでも、北海道という土地の力をしみじみと感じられる。すべての食材がここに、ある……!特に、北海道の各自治体が屋台を出している区画がほんとうに楽しい。
2年前に訪れたときは、ずっと気になっていた評判の良いスペイン料理店の海鮮パエリアと富良野市屋台のメロンを、今回は恵庭市屋台のスペアリブ焼き(3本入って400円だった)と某市屋台の帆立串を食べた。
旅先でクラブにいく
ここまででお察しいただいたかもしれないが、我々にとって北海道旅行の主眼はとにかくおいしいものを食べる!ということであり、必然的に、夜もお店をはしごしたいと願っている。でも、だいたい一軒目で想定よりも箸が進んでしまい、ちょっと休憩したいよねえ、という話になりがち。
これまではゲームセンターで時間をつぶしたりしていたのだが、今回は夫の発案でクラブに行ってみることにした。
大学時代に一度友人に連れていってもらったくらいでクラブという場所にはほとんど縁がなく、入場料も安いし行ってみるか〜くらいの軽い気持ちで入ってみたところ、もう、はちゃめちゃに楽しかった。旅行という非日常との相性がよすぎるのだ。
DJが爆音で音楽を鳴らし、横にいるサイドキックMCが客を煽って盛り上げる。客は酒を飲みながら音楽にノる、というだけのことなのだが、とにかく祝祭空間としての完成度が高い。空間全体が五感に対して「祭りだよ〜!盛り上がれ〜!」と訴えかけてくる感じがかなり気に入った。
男女の欲望が垣間見えるシーンがあったり、女性用トイレの個室に「VIP席の男性と飲みたい女性募集!」というポスターが貼ってあったり、なんだこれ……という場面もあったものの、総じてとっても楽しい体験だった。日常に持ち込むと過剰にハマりそうで怖いけど、いろんな土地で行ってみたい。
札幌近郊の自然(今回の大ヒット)
札幌近郊の観光地は回り尽くした感があり、現地に着いてから「どこに行こうか」と話すような有様だったのだが、ふとコスモスの季節であることに気づいて「札幌 コスモス」と検索してみたところ、すすきのから車で40分くらいの場所に「滝野すずらん丘陵公園」という公園があり、コスモスが見頃だというので、行ってみることにした。
言うても札幌市内だしなあ、と正直そんなに期待していなかったのだが、到着した瞬間によい意味で期待を裏切られた。
コスモス畑がある、という情報しか把握していなかったが、4つのエリアをもつかなり大規模な公園で、ひとつのエリアのさらに一部を占めるにすぎない花畑でこのボリューム感である。
さらにこの奥には子どもの遊び場(これもすごい規模)、森エリア、川釣りができる渓流エリア、などがあり、入場料はなんと450円。北海道、すごすぎるって。
徒歩ですべてを見ることは到底できないと悟り、森エリアの端っこを少しだけ散歩したのだが、そこで見つけた花壇がとても素敵だった。グランドピアノのうえで花を育てるという作品なのだが、置かれている広場のコンセプトが「ご家庭でも実践いただきやすいシンプルな園芸」みたいな内容で、これのどこが「ご家庭で実践可能」やねん、と突っ込まずにはいられない。
北海道の自然を味わおうとすると、札幌から何時間もドライブしないといけないような気がしてしまうが、すすきのからたった40分でこの規模の自然に出会えるということに、北海道の真価をみた気分だった。
次回の札幌旅行の目論見
これだけひとつの旅行先に訪問すると、かなり安定感のある旅ができるようになってきたなあ、という思いとともに、「暮らすように旅する」ことへの欲望が生じてくる。
すすきののデパ地下やスーパーを眺めていると、東京では見かけない食材がたくさん並んでいたり、同じ食材でも明らかに質が高かったりして、自分で料理をする旅も楽しそうだなあ、と妄想していた。
調べてみると、札幌にはAirbnbで借りられるマンションがかなり存在しており、キッチンつきの部屋で1週間くらい滞在するというのも、仕事の折り合いさえつけば実現できそう。
ということで、次回はAirbnbを借りて自炊旅行をしよう、と誓いながら東京に戻ってきた。これはさすがに無理があるけど、いっそ1ヶ月くらい暮らしたい……。
余談。
北海道が楽しみすぎて、北海道を連想させるネイルがしたい!と思い、マルセイバターサンドの色味で施術してもらったのがヘッダーの写真です。
ちゃんとマルセイバターサンド。