次男、旅立ち(数日間の思い出)の記録
3月9日に合格発表があり、無事に第一志望の国立大学工学部に合格できた次男、入学手続き後、慌ただしく引っ越しの準備や、引っ越し前は友達と遊びまくって、3月25日に、夫運転のワンボックスカーで神戸に引っ越した。
その後、30日の高校バスケ部の卒業試合に合わせて、28日夜に戻ってきた。急に帰ってきた彼を駅にお迎えに行ったら、明らかにチョ~不機嫌(笑)。 引っ越し前から喉が痛く、それでも友達と遊び倒し(高校の友達と旅行に行ったり、中学の友達とバスケしたりカラオケしたり)、引っ越し先のアパートで寒い中寝たら、見事に風邪を引いた。
引っ越しに同行していない私としては、アパートの様子や束の間の新生活の話を聞きたかったけど、シャットアウト、という雰囲気だった(笑)。
態度は悪かろうと、実家を頼るようにして帰ってきた次男がかわいくて、ゆっくり寝させたらすぐに回復し、機嫌も戻った。
同時に、たった2日程度一人で過ごしただけだったのに、それまで生意気だった次男が謙虚になり、
「この家の良さがわかった」とか「サンドバッグ(私のこと)は必要」とか、「実家って楽ですね。暮らしやすい!」とか、「キミ(私のこと)、野菜の切り方うまいよね」とか言うので、うれしいし、おもしろかった(笑)。
ついで言うと、大学の新歓イベントに参加したため、「大学生」の中に初めて入った感想として「女子ってたいへんだよね。化粧したり、かわいそう」というのもあって微笑ましかった。
無事に高校のバスケ部の仲間たち(卒業した同級生と在校生たち)との交流や試合をした日の夕方、久しぶりに戻ってきた長男(新・大学4年)とお正月以来一緒になった。
そんなわけで、次男が神戸に本当に移動する前のほんの数日、ようやく次男と長男含めて、家族4人がそろいました。
その翌日は、札幌から実家に来ている私の妹の長女・Nちゃん(新・高2)からのお願いで、次男がNちゃんに数学を教えた。
大学受験や共通テストを経験しているので、具体的なアドバイスをNちゃんにしていた。
妹とNちゃんが帰った後、珍しく家族4人で和やかな時間を過ごした。
長男は次男のことを好いているけれど、次男からはうっとうしかった思いも強く、家で顔を合わせても、仲良く話すことが少なかったけれど、今回の数日間は違っていた。たまたま、前期の合格発表の前日に受けた中期日程の入試が長男の大学の薬学部で、長男のアパートに泊まったこともあり、一人暮らしの先輩である長男の暮らしぶりや、元々得意な料理、バイトをがんばっていた姿が、それなりに立派なものだったことを実感した様子。
その夜、次男が神戸に送ろうとした荷物の中に、おそろいのドラゴンボールTシャツ(それぞれ別のタイミングに購入。弟は兄が持っていることを知らずに購入し、その面での趣味の一致を親子で笑った)を発見した長男が、次男に持ち掛けて、自分もTシャツを着て、一緒に撮ったうちの1枚。
長男と次男がそろった約3日間は、兄弟が希望する思い出の料理を食べる時間でもあった。
こちらは、30日の長男希望の、夫作のとろろ汁。
卒業アルバムをようやく見せてもらい、これまでの高校生活で名前を聞いていた子たちを、一気に教えてくれた。
驚いたのが、同じクラスで仲が良かった野球部くんと、クラスの集合写真で二人だけ顔に運動場の土を塗っていて、最初に見た時は、それがまさか我が子だとは気づかなかった(笑)
振り返ると、いっぱい話をしたこの1年だった。
受験に関する心配やモヤモヤをたくさん話してくれたので、次男のストレス発散や頭の整理につき合ってきた。
昨日は夜遅くまで、大学生活への期待や不安を語ってくれた。
私も次男を励まし続けた。
事情があって長男が戻ってくるのが遅くなったけれど、次男の出発に間に合い、たった数日でも一緒に過ごせて、本当に良かった。
明らかに、今までと違う友好的な時間を過ごせた。まあ、これまでも、常に関係性が変化してきたけれど・・・。
新幹線の時間が近づき、私が車で送る時、夫は家から次男を見送り、次男は「家の写真を撮る」と言って、ガラス戸越しに見送る夫込みで写真を撮っていた。長男は一緒に車に乗り込み、ついてきた。駅で次男を降ろし、長男と見送る時、長男が「後ろを振り返るかねえ?」と言った。「アンタだって振り返らなかったのに、最近になってようやく振り返るようになったよね」と。
そのまま振り返らなそうな次男を車で追いかけるようにし、追い越す時に長男が窓を開けて「がんばれよ!」と声をかけた。
うなずいた次男の顔、エスカレーターに向かう横顔を確認し、私たちは家に向かった。
車を走らせながら、涙があふれた。小さい時と変わらない生意気そうな顔の次男。どんなに生意気で、本人がしっかりしていても、我が家にとっては末っ子で、何をやってもかわいくて仕方なかった。兄弟ともに、大きくなってもかわいくて仕方ない。
この冬はいろいろ重なって、夫と力を合わせて乗り切った。
夫も私も、当たり前とはいえ、我が子が大好きなんだと思う。
2023年冬~春。
激動が多い自分の人生の中でも、最もたいへんな2ヶ月だった。
まだまとめられないけれど、忘れられない期間になると思う。
どん底だと思った寒い寒い冬から、季節は確実に春になった。
長男も次男も、大学から家を出たいと考え、その気持ちは私も全く同じだった。次男が不安もありながらも「社会人で一人暮らしするよりは、今出た方がいいと思う」と漠然と思い、なんとかがんばろうとしている姿を応援したい。
家計はたいへんだけれど、夫も私も子どもの前では痩せ我慢し(二人の時は多少愚痴や弱音を言い合い)、彼らの夢をサポートしている。
「家族は変容する」
まだ息子たちが小さかった頃に書いた小説『赤土に咲くダリア』の最後の方に書いた言葉。
あの小説のラストシーンも、ご飯を作る場面に結び付けていた。
今日、次男を送り出す前に、精一杯好物のご飯を用意し、家族4人で一緒に囲んだ食卓を思い出していた。
今は次男の痕跡を見て泣けてしまう自分がいるけれど、次男の、
「(お母さんが寂しがると)俺も、家族に対してはないけど(笑)、友達とか寂しい気持ちになる」という言葉を思い出して、彼の新しい門出、新しい大学生活のためにも、私の気持ちで引っ張ることがないようにしたい。
あまりにたいへんだった冬、あまりに慌ただしく進んでいった春に気持ちが追いつかずにいるけれど、私は私で、予定されている新しい世界に、少しずつ飛び込んでいきたいと思う。
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