「語れない」人物を「語る」ということ|クラリッセ・リスペクトル著、福嶋伸洋訳『星の時』書評
「わたしはある小説の書評を書こうと思う。書かなければならない。小説のほうがわたしのなかで自分の存在を強く示してくるからだ。しかし同時にわたしは評が始まるのを恐れる。虚飾で曲解を招くことのないよう、この文章ができる限り事実のみを綴った、冷酷な報告となることを望む。もうすぐ始まるだろう。迫りくる“期日”にもう耐えられなくなってきた。とは言え、こうして発光するモニターを凝視していると目が霞んで仕方ない――」
福嶋伸洋の手でついに翻訳されたクラリッセ・リスペクトルの遺作『星の時』