タスク・マネジメント・注意・「未来人材ビジョン」 もしくはあなたとあなたのまわりは大丈夫ですか?
前回は、注意機能の働きとタスクをこなす際にどのように働いているかを軽く見てゆきました。
どうしても脳機能で働きを司る領野やそれを動かしてゆくための化学物質の話が出ると硬くなりがちですが、がんばって柔らかく伝えられるようにしてゆきたいと思います。
さて会社に所属するもまたはフリーランスを選択するにしても他人とのやり取りは必要になりますし、タスクを投げる人ータスクを受け取る人で役割の関係性に傾斜が生まれると思います。
経産省の「未来人材ビジョン」ではAIの導入や海外人材を代表とされる人材の多様性から、今までの日本型企業で必要とされるスキルとこれから2050年に向けて必要とされるスキルが劇的に変化すると謳われています。
わたしは今後、命令する人ーされる人という仕事の関係性が徐々に変化してゆくと考えていますが、それが上澄と呼ばれる大企業から地域を支える中小企業まで広まるのはまだ時間がかかるかなとも感じています。
いま、もし、これをお読みになられている方は新人、ベテラン、管理職に関わらず、当面の間は今までの日本型の仕事文化やその価値観から求められるスキルに影響されてゆくと思います。
話を戻しますが、依頼されたタスクに対して様々なオーダーを受けると思います。
たとえば納期や内容量、どの層を意識して作るかと共に自分の所属する企業や団体をアピールするために装飾するかなどですが、プロジェクトマネージャーや上司からそのオーダーに関して事前に説明を受けるときに彼らの仕事に対してのスタイルによってそのオーダーは色々と変化します。
たとえば、業務の手順や意思決定をすべて行い、文法から句読点、その他諸々も事細かに指示出しして、完成した提出物に対してさらに細かく修正を求めるスタイルの人、これをマイクロマネジメントと呼ばれるそうです。
これとは逆に大まかな指示出ししかしないであとは自分で考えて仕事しろというスタイルの人、これをマクロマネジメントと呼ぶそうです。
前者はハラスメントの萌芽になるとのことでネガティブに捉えられることが多く、後者は自律性を育てるということでポジティブに捉えられる様子ですが、後者の場合、よくあるのがオーダーを出された人が自分で考えて作り上げた提出物に対して修正点も出さずにただ❌と差し戻されることです。
こうなると途端にハラスメントの香ばしい匂いがしてきます。
修正点も自分で考えろという指導になるかもしれませんが、オーダーを出した人の頭の中にある正解を一切出さずに何回も❌が続くとマイクロマネジメント同様に非効率的ですし、わからないことがストレスにつながりますよね。
人は自身の自律性を邪魔されるとストレスを感じるし、逆に自由度が高くて何をしてよいかわからない状況にもストレスを感じます。
そこに何度も自身の作成したものを否定され続けることやそのために時間が過ぎてゆくこと、この後のタスクの時間配分や周囲に対して影響を及ぼすことなどのストレスを感じます。
またこれらの状況の解消のために注意を配分しなくてはいけないし、再提出のタスクを修正しなくてはいけません。
このように増大したストレスを受けることでワーキングメモリーや作業記憶の容量も低下します。
そして一時的に注意機能低下した中枢神経の状態で限られた注意のリソースの再分配を行わなくてはいけなくなり、タスクの修正に振り分ける注意は低下してしまいます。
こうなると通常の状態では見落とさないようなミスや修正部分を見過ごしてしまう可能性が高まります。
で、再提出が続いてしまう状況になり、上司などからなんで見直しをしないんだとか、作業が遅いなどと叱責を受けたり、評価を落とす人もいるでしょう。
でも、中枢神経のシステムを考えるとあったり前のことことなのです。
またこのような精神状態が続くと中枢神経系は非可逆的な状態になり、メンタルの不調につながります。
じゃあ、上司を含むオーダーを出す人が言うと思います。
「最初からミスをしなきゃいいことですよね」
そうでしょうけど、あなたのマネジメントは本当に業務を振り分けて分業するのに有効なやり方でしょうか?
そこまで言うことができる新人がいたら、わたしは尊敬しちゃいますが、人を使う立場の人には自分を振り返ってみてもらいたいです。
はじめのほうにあげた経産省の「未来人材ビジョン」では日本の生産年齢人口ー働くことができる人の数ーは2050年には2/3にまで減るとみなされています。
その中でなんらかの発達の特性ー中枢神経系に特徴的な傾向で必ずしも疾患では無いですーを持つ人なども社会の中でそのスキルを活かすような働き方ができるような企業や団体の在り方が求められ、それができないとその会社の成長が望めない、もしくは被雇用者から選んでもらえないことになります。
「未来人材ビジョン」は2050年に向けての提案ですが、2030年には生産年齢人口は現在の7400万人から7000万人を切る勢いで減少します。
未来の話ではなく、いまの話なのです。
いまできないことを数年後にはできるでしょうか?
投資家が企業に求めていることの一つとして人材投資に対していまの企業の教育投資や個人の社外学習や自己投資はどんどん減少しています。
これはただスタッフの教育だけではなくマネジメント教育も含みます。
あなたは大丈夫でしょうか?
次は「心理的安定性」についてもう少しみてゆきたいかなと思います。