タスクをこなしている時、わたしたちの頭の中では…
そろそろ今年の新人さんたちは少しずつ仕事を任されるようになる時期かなと思います。
おつかれさまです。
仕事が本格的にはじまってくるとスタートは一緒でも人によって、作業効率の差やあの人はマルチタスクだけど、わたしはシングルタスクしかできないなんて落ち込んでしまうことってありますよね。
でも、作業が早くてもミスが多かったり、遅くっても説得力ある資料を作れたり、上司やプロジェクトマネージャーによって効率が逆転したりとなんとなく「あれぇ?」と疑問を持ったことありませんか?
そうなんですよね。
人のパフォーマンスは状況によって左右されます。
ごく当たり前の結論ですが、神経科学的にタスクをこなすということをみてみましょう。
「〇〇〇〇〇〇〇をするように」
という指示を受けたとします。
この時の指示は即時記憶という形で脳に一時的に保管されます。
この即時記憶はごく短いものを瞬間的にしか記憶できません。
人によって差はありますが、数字ですと7±2程度と言われています。
言葉や数字、または瞬間的な空間そのものをスケッチするように記憶されたそれは復唱することで数分間記憶することができます。
これを作業記憶と名付けられています。
この記憶はタスクをこなす際に何度も思い起こしながら、求められたタスクの内容から外れないようにします。
ちなみにこれらの記憶システムの容量はどのようにしても増やすことはできないと言われています。
そして作業記憶はタスクの遂行中、何度も思い起こすことで長期記憶と呼ばれる記憶の引き出しに移されて、記憶中枢に定着します。
こちらはある程度容量を増やすことができます。記憶術や暗記なんかもこちらですね。
さて問題なのは、いくら新人でも現代の会社では一つの仕事だけに集中させてもらえません。
いくつもタスクを掛け持ちしたり、仕事の割り込みが発生したり、違う上司がタスクのやり方を変えようとしたりします。
この時にぶれなくいくつものタスクをこなすことをいわゆるマルチタスクができる人といわれているんじゃないかなぁって思っています。
これを行うために必要な神経科学的なスキルは記憶能力と必要な時に適切に仕事に集中できるようになる注意機能です。
では次に注意機能を簡単に考えてみます。
注意には大きく二つの区分があると考えられています。
①周囲で発生した強い光や大きな音、突発的な動きに対して自分では意識しないで反応してしまう注意
②机の上のPCや話をしている人など何かに向けて意識して注意を向け続ける注意
仕事に必要なのは、②のほうでしょうか?
神経科学の分類はちょっとざっくりしていると思いますので、医療・療育の分野で使われている分類をさらに使ってみましょう。
人の注意機能は4つに分けられます。
①特定の何かに注意を向け続けられること
②自分を取り巻く環境の中で適切な何かに対して選択的に注意を向けること
③自分を取り巻く環境の中でいくつものものごとに注意を同時に広く向けること
④注意を向け続けていたものごとを何かのきっかけですみやかに違うことに注意を移すことができること
この4つの機能をその場で適切に使い分けて、人はタスクを遂行しているようです。
まとめると、上司から受けたタスクの指示を作業記憶にしまいつつ、時折取り出して、覚え直して、タスクが求める道筋に離れないようにします。
そしてタスクの工程を問題なく遂行できるように注意を向け続けつつ、職場の周囲の状況に注意を向け、話しかけられてたら一旦注意をそちらに移し、また目の前のタスクに意識を戻して、なんとかタスクをこなすように作業記憶を保ちつつ、頑張ります。
自分の頭の中でこれらの働きを意識しないで行なっていると思うと本当に自分の脳に感謝です。
今回はひとまずここまでです。
次はできていたはずなのに!? なんでパフォーマンスが落ちちゃうんだろ? の予定です。
次回もよろしくお願いします。