歴史小話 ②〜北条早雲〜
前回、北条氏政を書いたので、北条氏の小話を一つ。
戦国時代に、伊豆を征服した北条氏の祖、北条早雲は、相模国に進出し、小田原に拠点を構えた。北条氏は五代で滅びる。滅ぼしたのは、豊臣秀吉で、北条氏の治めていた土地に、徳川家康を入れた。
徳川家康は、旧北条領が、治めにくかったという。このことについて、後年の勝海舟は、徳川家康が旧北条領が、治めにくかったのは、北条氏の政治が行き届いていたからだ、と言っている。
北条早雲は、伊豆から相模国を治めるときは、まず税金を安くした。そして、
薬事にも詳しかったから、どんな貧しい病人でも救った。
特に、老人の一人暮らしの家には兵士を介護人として二人ずつ交代に添えた。
こういう行き届いた政治が、その後四代にわたって続いた。小田原は、全国の商人が集まって賑わいをきわめた。
その根源は、「民は子供だ。国主は親のような気持ちにならなければいけない」という北条早雲の言葉にある。
索引 愛蔵版 戦国名将一日一言
童門冬二 著
(株)PHP研究所 2010年