中村天風と私 ③
大谷翔平が中村天風を尊敬していると、風の噂で聞いた。
さもありなんと思った。天風は本屋に何百冊とある、自己啓発の本に書かれていない幸せになる実践方法を説いている。
天風の本の中で、最重要なことの一つに、お尻の穴を締めるというのがある。
天風は、そこでは、挿話として、江戸時代、船で難破した僧侶が、船員、船客何十人も亡くなっているのに、仮死状態で発見され、活を入れられると、息をふきかえしたことを書いている。
その僧侶は、臨済宗中興の祖・白隠禅師(はくいんぜんし)の弟子で、白幽といった。彼が京都から旅立つとき、もし何か起こったら、とにかく、尻を締めろと白隠に云われていた。
白幽は、舟が難破しつつあるときも、そのことを忘れず、尻を締め続けたという。
天風によると、尻を締めることによって、ヘソの下の丹田(たんでん)が、刺激を受け、神経をつかさどる神経叢(しんけいそう)が、刺激を受けるという。
尻を締めて、呼吸をすることが、最高に人体に良い影響を受けると説く。
よく、健康の本に丹田にチカラを込めてとか、下腹部にチカラを込めて、などと書いている書物を見かける。
尻の穴を締める訓練すると、丹田にチカラが自然と入るから不思議である。
これは、寺の坊主が、籠もってやる修行を日常の仕事の合間に尻を締めることで、修行になるという。これぐらいできるでしょうと中村天風は説く。
わたしは、尻を締めることには、慣れてきて、最近は、呼吸法を組み合わせて、日常を送っている。
もういつ頃からか、私は悩みがなくなった。自然にプラス思考・心を積極的にしている自分がいるのだ。
人生に生きづらさを感じている人は、
1日、少しずつでもいいから、尻を締めることから、始めてみてはどうだろうか?
バカらしいとスルーすることは、誰でもできる。歴史に残る偉人は、素直さという心の姿勢があることは、これまでに、書いてきた歴史のコラムで、幾度となく書いてきたつもりである。
尻を締める。 中村天風の秘奥義である。
索引 真人生の探求 中村天風 著
(株)東京印書館 初版 1947年
元気になりたきゃ、お尻をしめな
なさい 船瀬俊介 著
(株)日本文芸社 2017年