うちの猫のこと④
一応、人様の猫をお預かりしているという体でうちにやって来たけれど、名前は要るよね。不便だし。元の名前もわかんないし。
ということで、早々にうちでの呼び名は「マロン」になった。栗の渋皮みたいな毛の色だったから。まあ、よくある名前だけど。
思い返してみれば我が家では雄猫を飼ったことがない。
常に1〜2匹は猫がいるがいつも雌だった。
先住猫も、一匹しか生まれなかった仔猫も、出先で逆ナンして来た猫も、薬屋だか布団屋だかが何故か連れて来た猫もみんな雌ばかり。
しかしうちは何となく自動的に猫がやってくるシステムなのか?
自発的に貰いに行ったのは先住おばあちゃん猫のハナだけだ。
ハナが家にやって来た時の事を今でも覚えている。
新聞の「仔猫あげます」のお知らせを見て市内のあるお宅へ貰いに行ったのだ。この経緯がもう時代を感じる。
そのお宅は多頭飼いで他にも数匹仔猫が居たそうだが、うちが貰いに行った頃には他の仔猫には既に貰い手が付いていて、ハナは詰まるところ売れ残りであった。
明らかに体が小さく痩せていて顔も不細工だった。
家に連れて帰った後で撫でようと手を伸ばしたらヨロヨロと避けられた。
元の飼い主さんが普段食べさせている物リストを持たせてくれたので、書いてあるものを一通り用意したのだが、その中で唯一食べたのはチクワだった。(人の食べ物なので本当は良くないが、当時は猫フードのみで育てるという事がまだ浸透していない時代だったのだ。)
おそらく元飼い主さんはリストの物を猫たち全員にあげていたのだろうが、ハナはその殆どを食べれていなかったのだろう。
これ以来20数年に渡りうちの冷蔵庫には常にチクワがストックされるようになった。
さて、ちょっと脱線したけれどそんなわけでマロンは家にやって来た初めての男の子だったのだ。
ググったところによると、雄は去勢すると激烈甘えん坊になるらしい。
マロンはといえば人見知りゼロ・抱っこ上等の爆裂かまってちゃんであった。
可愛がられていたのだろうなと思う。しかも見た目も可愛い。なかなかの美猫だ。
きっと飼い主は探しているだろう。
ひとまずうちで預かった事をSNSにポストしてみたものの、飼い主を探す手立ては見つからないままだった。