東洋医学講座 337
肺と涕(なみだ)
涕(なみだ)は、とめどもなく涙を流して泣くことを指します。体全体の水分は腎の働きによって司られていますが、その中で涕は肺気の働きが加わったものです。
すなわち、水中の金作用や顔面における水液の五系の働きを参考にすると、
腎水+木気=涙
腎水+火気=汗
腎水+土気=涎(よだれ)
腎水+金気=涕
腎水+水気=唾(つば)
涙は木気であり、木と金は拮抗して涙や涕に関係しています。しかし、涙と比べて涕はとめどもなく流れ出て、その感情は涙の感激に比べて悲しい心情を表し、鼻水を伴うことが多いです。鼻は肺が司る部分であるため、涕は鼻水と見て妥当だと思われます。
例えば、肺に冷えが入ると鼻水が出ますし、肺気が虚すると悲しくなり、涙もろくなります。肺は凝結作用があり、涙液を涕として形づくります。
「金盃、冷気に遇って、一滴の水を生ず。」