国内唯一無二のカリプソ・ラテンバンド、カセットコンロスが、約13年ぶりとなるフル・アルバムをリリース。
カセットコンロスを初めて知ったのはいつだっただろうか。
一番最初に名前を知ったのは、2004年頃だ。所沢の航空公園で行われていた「ソラノネガイ」という野外イベントに、デタミネーションズやエゴ・ラッピンと一緒に出演していたり、デタミと一緒にライヴをやったりしていたからだった。当時はまだカリプソにはほとんど疎く、当時の国内スカの名パーティー「DOWN BEAT RULER」への出演や、コンピへの参加をしていたりもしたけれど、そのバンド名のインパクト以上の思い入れはまだなかった。聴き手である私が未熟だったということかもしれない。まだ、そのタイミングではなかったのだろう。
人によって、"そのタイミング"は様々だ。遅いとか早いとかなんてない。聴いてみて、いいな、と思った時がその人にとっての"そのタイミング"である。
2024年12月18日、カセットコンロスが、約13年ぶりにフル・アルバムをリリースする。全11曲収録。戦前カリプソから、マイティ・スパロウ、ロード・キチナーなど、これでもかとカリプソの名曲をコンロス節で仕立て上げた珠玉の楽曲ばかりであります。
「そもそもカリプソってなに?」
って人は多いことでしょう。わかります。
ハイライフと並んで、聴かなくてもまあまあ普通の人生は送れる音楽ジャンルの一つではあります。ただね、知るとその分は必ず人生が豊かになるんですよね。それは少しだとしても心を豊かにしてくれます。間違いなく。
カセットコンロスを聴いてカリプソを学んで欲しいとは思いません。
コンロスが良かったらカリプソを掘ってみてね、とも。
カセットコンロスはカセットコンロスであるだけなのだから、
「映画でも観よう」というシングル・カットされたナンバーは、キャッチーな歌とメロディ、そして南国っぽいリズムが混ざり込んだカセットコンロスによる歌謡ラテン・ナンバーと思ってくれたっていいんです。
それぐらい、一つひとつの曲は聴きやすく、心躍り体も踊るような曲ばかりなのです。だから、まずは聴いてみて欲しい。聴いてなにかが引っ掛かったら、迷わず予約をしてみて欲しい。CDもLPも、欲しいと思った時には買えなくなってるかもしれないから。せち辛い世の中だよなほんと。でもそれが残念ながら現実てもあるのです。我々は、それでも現状を変えていこうと抵抗の気持ちは忘れずに、それと並行して地道な作業も行っていくしかないのであります。何卒。