ばーちゃんの思い出
インスタのリール動画で海外の老人ホームのめちゃくちゃ楽しそうな動画が回ってきた。
俺の知ってる老人ホームはちょっと違った。
今でも思い出すと笑ってしまうが、世に合う笑いでは無いかもしれない話です。
父方のばーちゃんは痴呆になる前に入所してた。
自分の気分で面会に行くので、部屋にいる時ならいいが、みんなでオヤツ食べてる時間に行った事があった。
大広間に車椅子の方々が集合している。
「ばーちゃん元気ー?」なんて話をしながら周りを見渡す。
ばーちゃんの隣のばーちゃんはどうやら痴呆の方っぽくて、それを理解したのはうちのばーちゃんのおやつにスッと手を伸ばしてきた時だった。
その刹那 あっ、と思ったが、勝手に注意しちゃダメな雰囲気から「うちのばーちゃんならオヤツくらいで文句言わんやろう」と自分に言い聞かせてその伸びて来た手を止めなかった。
次の瞬間 閃光が走った。
うちのばーちゃんは自分のおやつを掴んだのだ。
盗られまいと。
しかも、危うく盗られると思った刹那、一瞬の出来事だ。
「は?」
理解出来なかった。
超高速で動いたばーちゃんに仰天する俺。
同時に、「ばーちゃんオヤツ守ったにw」っていう衝撃で笑いそうになる。
孫とはいえ大人。
絶対笑ったらダメな雰囲気を同時に察している。
他人から見たら「痴呆の人を笑うおかしいヤツ」に見られるかもしれない。
今にも吹き出しそうな状態でその場から立ち去り、面会を強制的に終了した記憶。
俺の老人ホームのイメージがそれになっちゃってますが、インスタのはめちゃくちゃ楽しそうなんでオススメですw
うちのばーちゃんはいっつもゆっくり立ち上がったり、お盆一杯のお菓子をたくさん勧めて来る本当に心優しい人だった。
なのに、ばーちゃん「盗られまいと守った」「しかもクソ速い」って言うのがもうほんとうにカオスで言語化出来ない。
今でも思い出す度に笑える話だが、今でも世に合う笑い話ではないかもしれない。
authentic minorities japan