農家の皆さんに対するリスペクト
日本の官僚は何をしているのかな?
水産業衰退も彼らが作る規制が原因
政治家は4〜6年で一応国民から選ばれる方々
しかし行政職員・官僚は政治家すらも手玉にし、国民信託を得た人間ではない。
一部の官僚の保身や海外からのスパイ工作など金銭目的も含め邪な官僚は存在する。
ニッポン放送「垣花正 あなたとハッピー」
(月曜日~木曜日8時~11時)
2024年3月19日放送より
「財務当局が備蓄をさせない」
鈴木 台湾有事がどういう確率で起こるかわかりませんけども、日本がこんなふうに武器だけ揃えて攻めていくぞというような姿勢を示す、経済制裁するぞみたいな姿勢を示しただけで、たとえば隣国が海上封鎖、シーレーンを封鎖するというようなことが簡単に起こりうるわけです。
それをやられてしまったら、もうすべてそこで終わってしまうわけですよね。戦うどころの騒ぎじゃないと。
だから今、国内の生産をね、もっともっと増強しなきゃいけないわけですよね。
だけど、中国はですね、有事に備えて、今14億人の人口が1年半食べられるだけの備蓄をするということで、国内生産の増強と世界中からまた穀物を買い占めてるんです。
垣花 中国って変な国だってイメージもあるけど意外と真っ当ですね。
鈴木 そういうところは真っ当ですよ。まず命を守るには食料だと。
垣花 日本はどうなんですか?
鈴木 備蓄が1.5ヶ月分しかないんですよ。
だから輸入を止められたらおしまいなわけですよ。
だからもっと生産を増強しないと。
日本の米の生産力って今、800万tぐらいしか生産してないけども、日本の水田を全部使えばいい。
1200万t以上作れるんですよ。潜在生産力はあるんですよ。
増産して政府の責任で備蓄すればいいじゃないかと言うと、「そんな金どこにあるんだ馬鹿たれ」と、財政当局に言われておしまいになっちゃうんですよ。
だから馬鹿たれはどっちだ? と、命を守るのは一番は食料じゃないかと。そこにね、数兆円かけても、増産して備蓄するぐらいのことをやっとくほうが役に立たないミサイルを買うよりも先にやるべきことじゃないかって話なんです。
「国民は騙すもの」
鈴木 農水省は農家を救うために予算をつけようとして財務省に頼むわけですよ。ところが財務省さんはお金を握ってるから(立場が)強いですよね。いろんな注文をつけてきて、使いづらい予算にしてしまう。
書類ばっかり多くて使いづらいものにして、現場に下ろすと、もうこんなもん無理ですっていうことで、結局お金が国に戻ってくるような、そういう意地悪だと思われるようなことをしてるんじゃないかと、農水省の方々が常々言ってます。
いい政策をやってみんなを助けるという入省したころの志がどっかにぶっ飛んじゃうわけですよ。
これは財務省だけじゃないですけど、役所に入ると、みんな自分の利害関係がある人たちを儲けさせるために、国民をうまく騙して、情報を隠して、都合のいい情報だけ出してね、そしてそういう(利害関係のある)人たちが利益を得られるところだけ予算を増やしていくと。
たとえば消費税増税というのは、大きな企業はそれを負担しないで法人税を払わなくて負担を増やさなくていいわけだから。
企業が儲かれば、自分たちも出世できて天下りもできると。
これは財務省に限らないけど、役所に5年10年いるとだんだん、とにかく情報は隠すもの、国民は騙すもの、そして利害関係者を儲けさせて出世して(そこに)天下りすると。こういう行動原理に陥りやすい。
「命を守る分野に資本主義を持ち込んではいけない」
鈴木 赤字になった農家を、アメリカなんか100%補填してますよ。
ヨーロッパは、今いろいろまた環境対策で、予算減らされそうとしてみんな国民怒ってるけども農家も。
だけども基本的にはスイスとかフランスも、所得の農業所得の100%が税金なんですよ、ほとんど公共事業公益事業になってるんですよ。
命を守る産業は国民がみんなで支えるというのが世界の常識ですよ。
そこに金を出さないというこの日本の財政政策が、農水省が悪いっていうよりも、金を握っているところが、どんどん(予算を)切ってきちゃうわけですよ。
この期に及んで農水予算を、農家を救う予算を減らすことがどんどん進められている。
森永 命を守るっていう意味では、たとえば病院とかクリニックって、お医者さんは株式会社をやっちゃいけないんですよ、原則。
それは何でかっていうと、資本家っていうのは利益を優先するので、命に関わるところで利益を優先すると酷い目にあうんですね。
農業も実はまったく同じで、食べることっていうのが命につながってるわけです。
そこに企業の論理、利益を増やすぞっていう論理を持ち込むとですね、たとえば収穫後の作物に農薬をぶっかけてみたりですね、あるいは遺伝子組み換えした作物に強力な除草剤を使って、耐性ができるような遺伝子組み換え作物にして、雑草は全部消えるから、畑やってて一番大変なのは雑草なんですけれども、ただそんな農薬を大量にぶっかけた食い物を食って大丈夫なんですかっていう視点がなくなるんですよね。
垣花 医療が株式会社になってはいけないのと同じで、我々の生活の基本となる食べ物を作ってる皆さんに、「農業って儲からないんですよね」みたいな指摘をする人がいますが、その儲かる儲からないという視点はあんまり持ち込んじゃいけないジャンルだってことなんですかね。
消費者に危険な情報が入らないようにする
森永 だからアメリカやヨーロッパはちゃんと所得保障をしているから、100%近い自給率を誇ってるわけです。
鈴木 そういうふうに取り組まなきゃいけないところを、逆にもう企業に全部任せて、儲けらればいいじゃないかということを今進めようとしてる。それこそ今、森永さんが言われたような、安全性の問題でもさらにリスクのあるものを。
今、食品表示もどんどん消されてきてますから、遺伝子組み換えではないという食品表示ができなくなってきたり。
表示でわかっちゃうとみんなが選ぶじゃないですか。
だからそういう情報が消費者に入ってこないようにする。
遺伝子組み換えでない食品は選べません。
ゲノム編集の食品の表示もなしです。
それから無添加という食品表示も厳密でないから駄目ですと、コオロギパウダーを混ぜてもコオロギと書かなくていいですみたいなね。
もっと言うとね、国内製造っていう表示があるじゃないですか。
国内製造というと原料は輸入品という意味なわけです。
みんながそれに気づいてきたので、今度は何て言ってるかというと、国産の原料を使った加工食品を国内製造と書けと。
つまり、全部表示を国内製造に統一しちゃって、国産の原料を使ってる食品を選べないようにするわけです。
輸入か国産の材料かを表示が区別できないようにして、全部食べさせてしまう。
もうとにかく表示を変えてでも、企業がさらに食の安全性をおろそかにし、命を蝕んででも儲けられるような、そういう流れを制度的にもどんどん作ろうとしてるわけです。
森永 私は、とりあえずみんなが農業をやることだと思っているんです。
私ずっとこの五、六年、畑やってきたじゃないですか。自分で作った作物を食べると、うん、大地の味がするんですよ。
工場生産に近いやつは、無色透明っていうか、何の引っかかりもないんですね。そっちにみんな慣れつつあるんですけど、そうじゃないんじゃないかなって。 今、プランターでサツマイモを作れるんです。だから、ちょっと自分でやってみようぜって。結構な量が取れるみたいなんですよ。私もやることにしたんですけど、畑あるのにプランター(笑)。
鈴木 やっぱりそこからいくべきだと思います。
国の政策は当てにならないので自分たちでやる。
地元でがんばってる農家さんを支えるように、まず買う。
自分も家庭菜園、プランターもいいし、耕作放棄地が周りにできているんだったら、ちょっとそれ貸してください、私がやりますから、と。
まさに森永さんの本で私が共感したマイクロ農業、周辺との地産地消を進めて、ローカル自給権を自分たちで作っていく。
そこで安全安心なものを支え合う構図をつくる。
垣花 すると、農家の皆さんに対するリスペクトも生まれ、そういう意識が広がるってことですよね。
鈴木 宣弘(東京大学大学院農学生命科学研究科教授)
森永 卓郎(経済アナリスト)