The Who / Life House (aka Lifehouse) : Liner Notes
side A
One Note - Prologue
Pure And Easy
Baba O'Riley
Going Mobile
Love Ain't For Keeping
side B
Too Much Of Anything
Water
I Don't Even Know Myself
Put The Money Down
side C
Naked Eye
Baba M2 (2nd movement part1)
Join Together
Bony Moronie (Live At Young Vic Theatre)
side D
Time Is Passing
Getting In Tune
Music Must Change
Sister Disco
side E
Let's See Action
Slip Kid
New Song
Relay
side F
Won't Get Fooled Again
Baba O'Riley (Baba M1(2ndmovement))
Behind Blue Eyes
The Song Is Over
One Note - Epilogue
丁度1年ほど前、The Whoの「Who's Next」のスーパー・デラックス・エディション(以下BOX)が出た。
しかも、「Life House」というタイトルを引っ提げて。
遂にあの幻の未完のアルバムが日の目を見るのかと、少し期待した。
けどピートはちゃんと期待通り、そんな常人の期待に沿った回答はしてこなかった。
音楽ではなく、グラフィック・ノベルで初めて一貫した形として「Life House」を完成させた。
要は漫画である。
因みに解釈はある程度漫画家に委ねていたようである。
ピート自身はBOXが完成するまで漫画の中身は確認していなかったそうだ。
うーん、緩いですねぇ。笑
「Life House」というタイトルを冠してるとは思えない緩さです。
BOXのそれ以外で関わったことと言えばディスク2〜3のLife Houseのデモ音源の部分だけ。
先述のように漫画はBOXが出来上がり次第見たということで、漫画のストーリーに沿ってデモ音源を選曲したわけでもないようだ。
まあこのあたりのモヤモヤは発売直前直後のコチラ↓でもダラダラ言ってるので、この辺で切り上げるとする。
それから私はいてもたってもいられずに……笑
選曲しました……
歌詞は英語がわからないので対訳と睨めっこでほとんど感覚的にですが。
今までの「Lifehouse」に関する記述、ピートの発言、2000年に出た「Lifehouse Chronicles」(ピートによる選曲、曲順でデモ音源などが収録されている)、インターネットに散らばるファンの考察などを参考にし、咀嚼し、そして今回BOXで発表されたグラフィック・ノベルの解釈を基本ベースにすることにしました。
それと選曲にあたり、
「ピートのデモ音源を基本的に使わず、バンド音源だけでLife Houseを成立させる」
「架空の3枚組のLP」
というテーマを自分に課してみました。
バンド音源とピートのデモ音源は曲の出来として甲乙つけ難いものの、やはり唯一無二のリズム隊ジョンとキースの有無が混ざると違和感を感じるのは否めないからです。
オープニングは「Teenage Wastland」から始めたい。
確実にもっと評価されるべき名曲「Mary」はストーリー上、必須の曲です。
「Grayhound Girl」、「Classified」、「Finally Over」……
今上げたような曲たちはピートのデモ音源しか存在せず今回のテーマに反するので、残念ながら採用しませんでした。
「"基本的に"使わない」としたのは、たまにデモ音源を使ってるからです。笑
追々言い訳という名の説明をしたいと思います。
「3枚組のLP」に関しては元々そんなつもりありませんでした。
最初はこのような選曲、曲順でした。
One Note - Prologue
Pure And Easy
Baba O'Riley
Going Mobile
Love Ain't For Keeping
Too Much Of Anything
Water
I Don't Even Know Myself
Naked Eye
Baba M2 (2nd movement part1)
Join Together
Time Is Passing
Getting In Tune
Put The Money Down
Music Must Change
Let's See Action
Slip Kid
Relay
Won't Get Fooled Again
Baba O'Riley (Baba M1(2ndmovement))
Behind Blue Eyes
The Song Is Over
One Note - Epilogue
これを繋げて投稿した時
「これは3枚組のアルバムになりそうだ。だけど片面だけ余ってしまうね。」
みたいなニュアンスのコメントを頂き、ならいっその事「3枚組のボリュームにするために片面分曲を増やしてみよう」と思い立ったのがきっかけです。
結果「Sister Disco」、「New Song」、「Bonny Moronie」を追加して、曲順を少し変更して、完成しました。
あと、まとめて投稿すると何故か削除されてしまうので、何曲かに分割して投稿しなければならなかったという裏事情もありました。
というわけで順を追って説明していきます。
side A
One Note - Prologue
Pure And Easy
Baba O'Riley
Going Mobile
Love Ain't For Keeping
side Aです。
いきなりルール違反してます。笑
1曲目「One Note -Prologue」は2000年に発売された「Lifehouse Chronicles」(以下LC)というBOXセットに収録された曲で、録音自体も多分2000年前後にされたもののはずです。
まあ、ピートソロの曲で、バンド音源ではないです。笑
このプレイリストは基本的に70年代のバンド音源で構成されているのですが、それでもこの曲を収録したのは今回発表された漫画がほぼ完全一致でこの始まり方だったからです。
これ以外有り得ない選曲だと思うので、これに関しては問題ないのではないでしょうか。
子供の「One note…」の台詞の後のピートによるLife Houseの世界観の説明のようなパートは冗長に感じたので、カットしました。
2曲目の「Pure & Easy」になだれ込みます。
本来、デモ音源やバンド音源など気にせずセオリー通りに行くならば間違いなく「Teenage Wastland」がオープニング曲になります。
Tommyで言うところの序曲の役割を果たす曲が「Teenage Wastland」でした。
代替曲としてまず候補に上がるのが「Baba O'Riley」でしょう。
曲調が違いますが、歌詞がほぼ同じで、「Baba〜」もLife Houseで核になる曲であることは間違いありません。
しかし、全体の世界観の提示という意味でもう一つの重要曲「Pure & Easy」を実質の序曲として選びました。
先述のLCの曲順では中盤に位置しているため、オープニングか中盤かはファンの中でも意見が分かれるポイントです。
個人的にはラストの曲「The Song Is Over」でこの曲のフレーズがエンディングで流れる時に感じるカタルシスを増幅させるためにもオープニングで「Pure〜」を使いたいと思ったのが大きな理由です。
音源はBOX収録のオリンピックスタジオのUnedited ReMixバージョンを採用してます。
そして、3曲目で満を持して「Baba O'Riley」です。
まあ、意味合い的には序曲その2みたいなものです。
Life Houseの軸となる曲としても重要です。
Life HouseではTommyなどにあるリフレインのフレーズがほとんどないですが、その役割も「Baba〜」には担ってもらおうと思いました。
後々出てきますが、その部分をピートのデモ音源で補完してます。
4曲目「Going Mobile」は、グラフィック・ノベルのまんまです。
大きなバンに乗ってます。
ちょっとしたSE(風と車)を追加してます。
もしかしたら蛇足に感じる人もいるかもしれませんが大目に見てほしいです。
序曲たちが終わり、物語が動き出す気配です。
A面最後は5曲目は「Love Ain't For Keeping」です。
ピートの言う公害の景色が歌詞に少しだけ出てきたりします。
BOXに収録されていたUnedited Versionとニューヨークセッションの音源を合体させてます。
発想としては古典的なものだと思いますが、私もやりたくなっちゃったのでやりました。
どちらのバージョンも甲乙つけ難いですもんね。
レスリー・ウェストのギターの異質感がいい意味でも悪い意味でも何度聞いてもすごいです。
以上がA面でした。
side B
Too Much Of Anything
Water
I Don't Even Know Myself
Put The Money Down
この辺りからの曲順はファンによってもバラけます。
資料的にも確定的なものはないので、結局「なんとなく」になってしまうことは否めません。
B面1曲目は「Too Much〜」。
グリッドで色々な経験をしてそれが飽和状態になりつつある……みたいな解釈になるのかな?といった狙いです。
音源としてはBOXに収録されてるオリジナルボーカルバージョンを採用してます。
2曲目「Water」は多分本来はLife House用の曲ではないというのが有力な説です。
なのですが、グラフィック・ノベルを読んだ後、ディストピア的な世界とこの曲の歌詞は合うのではないか、と思えてきてしまい……
採用してしまいました。
正直に言うとオリンピックスタジオなどで収録された他の曲たちと音質の雰囲気が少し違うのが気になります。
まあしょうがないですが。
曲としてはバンドの歴史上でみても屈指の名曲だと思います。
エンディングの掛け合いでめちゃくちゃなのもLife Houseという世界観の中で一瞬The Whoというバンドの素が垣間見えるような感じでお気に入りです。
前曲「Too Much〜」からの繋ぎ方は思いついたのでやりました。
良し悪しは委ねます……
3曲目「I Don't Know Even Know Myself」はグラフィック・ノベルのMaryという登場人物を見るとピッタリな選曲にも思えます。
元々Maryの目線で歌った歌かというのは疑問ですが。
音源はオリンピックスタジオバージョンです。
4曲目「Put The Money Down」は正直、歌詞の意味が和訳だけだと理解しきれませんでした。
登場人物たちがLife Houseという場所に向かってる中で語られてるイメージですが、難しいですね。
完全になんとなくの雰囲気な選曲でのこの位置です。
因みに「I Don't Even〜」からのこの曲の流れは「LC」と同じだからOK、という言い訳を言っておきます。
まぁ流れ自体は実際悪くないと思います。
side C
Naked Eye
Baba M2 (2nd movement part1)
Join Together
Bony Moronie (Live At Young Vic Theatre)
C面はちょっとだけ良い感じに編集して曲間を繋いでますので是非聴いてみてほしいです。
1曲目「Naked Eye」も「Water」同様本来はLife Houseの曲ではないです。
ですが今回発掘されたこのバージョン!
控え目に言っても素晴らしすぎます!
多分このBOX1番の音源なのでは?と個人的には思ってます。
ニッキー・ホプキンスのピアノとピートのアコギが絡み合って始まるこの曲の雰囲気はこのアルバムに絶対に合うと思ってしまったのです……
というわけで採用してしまいました。
因みに「Bargain」を採用してないのは、BOXのライナーノートなどでピートが「元々はLife House用の曲ではなかった」という発言が理由です。
ですが、「Water」、「Naked Eye」を採用してる時点で選曲基準が矛盾してるんですよね。
わかってます。
許してください。
何はともあれ「Naked Eye」素晴らしいです。
さらに余談になりますが、このバージョンにTwickenhamでのセッション、所謂「Odds & Sodds」に収録されてたバージョンのリードギターを混ぜたバージョンを別で作ってみました。
先に作ってればこのプレイリストに入れたかったのですが。
個人的には上手くできたと思うので、こちらも是非聴いてみてほしいです。↓
次の2曲目「Baba M2 (2nd movement part1)」はピートのデモ音源です。(LCに収録)
「Naked Eye」からの流れで場面的には頭の中が覚醒してるのか、Life Houseの会場に着いたのか……といったところでしょうか。
先述のリフレイン的な役割として、ピートの「Baba〜」の実験音源を使うことにしました。
物語の音の軸として印象をつける狙いです。
リズム隊も不在の音源なので、違和感も抑えられるかなというところもあります。
3曲目「Join Together」。
登場人物たちがThe Whoのライブを見てる場面です。
BOX収録のUnedited Versionを採用してます。
後半のジャムが荒々しくもカッコイイです。
ピート節炸裂ですね。
そのまま4曲目「Bonny Moronie」Young Vicのライブバージョンに移ります。
引き続きThe Whoがライブ演奏してる場面です。
ここは別に「Baby Don't You Do It」でも別のWhoのオリジナル曲でもYoung Vicでのライブ音源ならなんでも良かったのですが……
これにしました。
登場人物たちがLife House会場でThe Whoを通じて音楽に触れた所で折り返し地点です。
side D
Time Is Passing
Getting In Tune
Music Must Change
Sister Disco
D面は物語でいうと基本的に「音楽」について深掘りしていく内容というイメージです。
4曲目の「Sister Disco」は過去のからの解放、みたいな感じでしょうか。
ちょっとこじつけですが。
D面、サクッと終わりすぎな気もしますが次行きます。
あ、1曲目「Time is〜」は、The Whoらしからぬ美しいシンセパートが復活したBOX収録バージョンを勿論採用してます。
side E
Let's See Action
Slip Kid
New Song
Relay
1978年のWho Are Youの時代の音源がNext期(1971年ごろ)の音源に混ざると多少違和感があるのは重々わかってるのですが、先述のように3枚組にするためにかさ増しするという事情以外にも理由があります。
グラフィック・ノベルでは「Slip Kid」というワードが出てきており、「Slip Kid」という曲は1975年のアルバム「The Who By Numbers」収録の曲なのです。
オリジナル・ライフハウス期の1971年と第二次ライフハウス期の1972年(Join〜、Put〜、Relay )の曲たちでまとめ上げるのが1番綺麗な気もしますがそこをどうせ「Slip Kid」採用するなら「70年代全体に拡大解釈しちゃえ!」と開き直ったのがこのプレイリストでもあるのです。
因みに妥協的な意味では決して無いです。
今更ですが笑
物語の場面でいうと、1曲目「Let's See Action」で聴衆、民衆を煽動。
その後グラフィック・ノベルを読んで頂ければわかるのですが、Slip Kidたちが登場といった流れです。
BOX発表以前はlifehouse会場でライブがあり物語の終焉みたいな大まかな流れなのかと色々言われてましたが今回のグラフィック・ノベル版ではライブシーンは中盤のシーンのみなんですよね。
結構暴動のようなものが中心に後半は描かれています。
新しい曲が必要だけど同じような古い曲を歌うというピートの皮肉的な歌詞の「New Song」は「Won't Get Fooled Again」の「meet the new boss same the old boss」にも通じるという見方は愚直すぎでしょうか。
4曲目「Relay」を経て最後のパートに行きます。
side F
Won't Get Fooled Again
Baba O'Riley (Baba M1(2ndmovement))
Behind Blue Eyes
The Song Is Over
One Note - Epilogue
まず1曲目は「Won't Get Fooled Again」です。
説明不用の名曲です。
今回のBOXのライナーノートのピートの発言によると元々の構想としては、この曲が終わり、「Baba〜」のデモバージョンのような始まり方でフェードインしながら「Baba〜」が流れるというイメージだったらしいです。
「Baba〜」のバンドバージョンはA面で既に使ってしまったので、またしてもピートの「Baba」実験音源を拝借します。(Lifehouse Elementsに収録)
その音源に「Baba〜」のデモ音源のフェードイン部分を編集してリピートさせています。
蛇足だと感じた人がいれば謝ります。
「Baba〜」が終わると同時に登場人物は光に包まれ、悪役のジャンボ以外は消え去ります。
3曲目「Behind Blue Eyes」、取り残されたジャンボについての曲です。
場面としては改心する、みたいなシーンでしょうか。
簡単に言い過ぎて薄っぺらいような印象になってしまいますが笑
そして、フィナーレは「The Song Is Over」。
基本ベースは今回のBOX音源ですが、「Pure & Easy」のフレーズの所から色々な音源(スティーブ・ホフマン版など)を使ってます。
特に意味はないですが。
本当の最後は、頭の「One Note」同様の「Epilogue」。
こちらは最後のピートの語り込みです。
というわけで、長々と順を追ってダラダラ書きました。
ここまで全部読んでくれる人がいるとは思えないですが、少しでも読んでもらったり聴いてもらったりしてくれた人にありがとうと言いたいです。
ボーナスコンテンツというか……
YouTubeだと動画が切り替わる毎に読み込む時間や広告が流れる時間が挟まれてしまうと思うのですが、先述したようにYouTubeだと全部繋げてアップすると何故か消されてしまうのです。
そこで、ニコニコ動画にこっそりノンストップで聴ける動画を上げておきました。
因みに「Naked Eye」は先述した編集バージョンに差し替えてあり、これにて完全版と言ってもいい内容になってます。
まあでもYouTubeのが都合の良かったりする人もいると思うので、とりあえず置いときますといった感じです。
以上です。
あと、噂では次のスーパー・デラックス・エディションは「Who Are You」みたいです。
何はともあれ、The Whoの、ピートの、新しい作品を待ちましょう。
それは音楽ではないかもしれないですが……
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