一般病棟へ、そしてトイレの問題
あっという間に一般病棟へ移っていた。
あと数週間後には移れるだろうと言われたのは、ほんの3日くらい前だった。
なんの前触れもなく、なんの相談もなく、意外とあっけなく。
これまで病院で準備してもらっていたおむつは、一般病棟へ移ったとたんに、自前で用意しなくてはならなくなった。
いや、正確言うと、病院のおむつはとんでもなく高かったので、ドラッグストアで買って持ち込むことを選んだ。
ひーちゃんが赤ちゃんだった頃の、あのおむつとはけた違いに重くて、ひっかけた腕があっという間に痛くなって、2パックも買ってしまったことを後悔しながら、病院までの道を急いだ。
明日は入学式だし、これを届けたら、長居せずに早く家に帰ってやらなきゃいけないことを片付けておきたかった。
「申し訳ないんですけど、尿漏れするのでパッドも買ってきてもらえますか?今日じゃなくて大丈夫です。次にいらっしゃる時で…。」
おむつだけでも結構するのに、さらにお金がかかるじゃないの…。
「これから交換するので、少しだけ外でお待ちいただけませんか?」
そのまま帰ってしまうのも申し訳なくて、少しだけならと外で待つことにした。
そういえば、入院してからこれまで不思議と ”そういう場面” に遭遇することがなかった。絶妙なタイミングで目の当たりにすることがなかった。
そっか、これまでは、管から袋に溜まっていたっけ…。
廊下で待つことの、この身の置き場のなさをどうすればいいのか。
「お待たせしましたー。」
「とんでもないです。こちらこそありがとうございました!」
頭の下がる想いで、看護師さんを見送る。
「めっちゃ、痛いんいんだよー。まじで!!!」
おむつを交換してもらっただけだと勝手に思っていたわたしは、きょとんとなった。
なんで痛いのか?なにが痛いのか?
おしっこを出したいけれど、自分の意思でコントロールすることができなくなっていた。なので、”導尿”という方法で出していたらしかった。
そんなことも初めて知る、家族のわたし。
自分で出せない状態ってなんだんだ?