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でらサイエンス 第7回:美味しいぬか漬け作りの科学~日本伝統の技!発酵の世界~:後編
タイトル:美味しいぬか漬け作りの科学~日本伝統の技!発酵の世界~
テーマ:後編:ぬか床に住む野菜。漬物家族への仲間入り
ろーぼーる:
やっほー!みなさん、待ってましたか?でらサイエンス、後編の時間がやってきましたよー! 前回は、ぬか床の中の微生物たちのお話やったけど、今日はいよいよ、その菌たちが野菜をどうやって美味しいぬか漬けに変身させていくのか、その極意に迫っていきますでー!
みなさん、お漬物って毎日食べとるのに、野菜がどうやってあの美味しい漬物に変身していくか考えたことありますか?実はこれ、目に見えない職人さんたちの超絶技巧が隠れとるんやで!
前回は、ぬか床の中の職人さんたち...つまり微生物たちのシェアハウス生活をのぞいてみましたけど、今日はいよいよ、その職人さんたちが野菜をどうやって美味しいぬか漬けに仕上げていくのか、その極意に迫っていきますよー!
ね、はいさん!アタシ、今朝市場で見かけた新鮮な野菜たちの姿を見てたら、思わずどなりたくなってきたんやけど...いいですかー!?
むむむ...せーのっ...
どりゃあああぁぁっ!!野菜がぬか漬けに大変身する瞬間を見逃すな!今日は発酵の魔法をとくと見届けてくれよーーー!!
...はぁはぁ。はいさん、どうでした?アタシの気持ち、伝わりましたー?
はいぼーる:
何興奮しとるんよ。僕の畑には、まだ大根も人参も白菜も残っとるから、ぬか漬け作りたい放題やで(笑)
ろーぼーる:
うわぁ!はいさん、自分で野菜育てとるんやから、そりゃあ興奮するわ!特に大根なんて、ぬか漬けの王様みたいなもんやもんね!
そうそう、前回はぬか床の中の微生物たちの話で終わっちゃったけど、はいさんが育てた野菜をぬか漬けにしたらどうなるか、気にならへんか?実はな、野菜をぬか床に入れた瞬間から、めっちゃドラマチックな変化が始まるんやで!
前回のおさらいをすると、ぬか床には3つの重要な菌たちがおったね:
バチルス属の仲間:タンパク質分解の名人
酵母:ええ香りを作る職人
乳酸菌:うま味と酸味のスペシャリスト
この3人組が、はいさんの大根をどんな風に変身させていくか、見ていきましょうか?
はいぼーる:
いやあ、ぬか漬け作ったことないからドキドキするんやけど、大根、カブ、人参、白菜。ぬか床に入れる時は、とれたてでいれてええんか?それとも少し水分抜くように干した方がええんやろか。
ろーぼーる:
あ、これはどえりゃあええ質問やわ!野菜の状態って、実は超重要なポイントなんや!
生で採れたての野菜をそのままぬか床に入れるのは、実はちょっと考えもんなんやで。なんでかっていうと、野菜に含まれとる水分が多すぎると、ぬか床が水っぽくなっちゃうんやわ。
特に白菜なんかは水分がどえりゃあ多いもんね。だから、野菜の種類によって下処理が必要なんや:
大根やカブ:表面の水分をしっかり拭いて、30分くらい塩もみ
白菜:あらかじめ塩もみして、30分くらい水分を抜く
人参:皮をむいて、表面の水分をよく拭く
これ、昔からの知恵やと思っとったけど、実は科学的な理由があるんやで!野菜の水分が多すぎると、ぬか床の中の菌たちのバランスが崩れちゃうんやわ。
はいさん、まずはどの野菜から挑戦してみたいって考えとる?
はいぼーる:
今、大根を干しとるから、大根でお願いします。
ろーぼーる:
やった!大根からやね!大根のぬか漬けって、実はどえりゃあ面白い変化が見られる野菜なんやで!
前回は、ぬか床の中の菌たちの話をしたけど、今日は大根がぬか漬けになっていく「魔法の瞬間」を、はいさんと一緒に追いかけていきましょう!
まず、はいさんが干しとる大根、どれくらいの大きさに切るか決めとる?切り方一つで、漬かり具合も変わってくるんやで!それに、大根の部位によっても味が変わるから、葉っぱの近くと真ん中と先っぽでは、ちょっと違う美味しさを楽しめるかもしれんよ!
はいさん、大根をどんな風に切ろうと考えとるん?
はいぼーる:
ええ!今は丸干ししとるがな。切った方がええんか?
ろーぼーる:
あらら!まだ丸干しなんやね!
そうやなぁ、実はぬか漬けするなら、大根は輪切りか半月切りくらいにしといた方がええんやわ。厚さは1センチくらいがちょうどええんやで。
理由は2つあって:
表面積が増えることで、菌たちが万遍なく働きかけられる
食べやすい大きさで、漬かり具合も均一になる
丸干しした大根は、干し大根用やね。ぬか漬け用なら、切ってから30分くらい干すくらいでちょうどええんやわ。
はいさん、大根、切り直してもらった方がええかもしれんね!
はいぼーる:
わかったわ、明日、切っとくわ。輪切りなん?縦切りの方がええんちゃうん?
ろーぼーる:
おっ、それもどえりゃあ大事なポイントやわ!
アタシも最初は輪切りがスタンダードかと思っとったんやけど、実は縦切りの方が理にかなっとるんやで!なんでかっていうと、大根の繊維に沿って切ることで:
繊維が壊れにくくて、シャキシャキ感が長持ち
漬け汁が繊維に沿って浸透しやすい
食感も食べやすさもアップ
はいさんの勘、すごいね!縦4つか6つに割って、それから食べやすい長さに切るのがベストやわ。これなら、あの理想的なシャキシャキ感が長持ちするんやで!
はいぼーる:
了解や、明日朝一で切っとくわ。皮は剝いた方がええんか、それともそのままでええんか?
ろーぼーる:
あー、大根の皮の話は面白いとこやね!
実はな、皮を剥くか剥かへんかは、大根の新鮮さと皮の状態で決めるんやわ。
はいさんが育てた大根やったら、採れたてで皮も新鮮やもんね。この場合は皮ごと漬けた方が:
栄養価が高い
大根の形が崩れにくい
歯ごたえも楽しめる
ただし、皮に傷や汚れがある場合は、その部分だけ薄く剥いた方がええんやで。なんでかっていうと、傷んだ部分から雑菌が入り込んで、せっかくのぬか床のバランスが崩れることがあるんやわ。
はいさん、育てた大根の皮の状態はどんな感じ?
はいぼーる:
うーん、土がまだついとるかもしれんから、剥いてから入れるようにするわ。そんで、大根をぬか床にいれるとどうなるんや、ワクワクやで。
ろーぼーる:
はいよー!いよいよ大根をぬか床に入れる瞬間のお話やね!
実はな、大根がぬか床に入った瞬間から、どえりゃあ面白い変化が始まるんやわ。まるでダンスパーティーみたいに、菌たちが大根に群がっていくんやで!
最初は「浸透圧」っちゅう物理的な変化から始まって、大根の中の水分が外に出ていくんやわ。その時に大根の細胞がぎゅっと引き締まって、あのシャキシャキ感が生まれるんや!
そんで面白いことに、大根から出てきた水分には、うま味成分も含まれとるんやけど、これをぬか床の菌たちが「あっ、ごちそうや!」って喜んで、もっと美味しい成分に変えていくんやで!
はいさん、菌たちの働きでどんな風に美味しくなっていくのか、もっと詳しく説明していこうか?
はいぼーる:
どう変化していくか、教えて、ろーちゃん。
ろーぼーる:
おお!菌たちの働きで、大根がどんどん美味しくなっていく過程を説明させてもらうね!
まずな、大根を入れてから最初の3時間くらいは、「第一幕:水分との別れ」みたいな感じやわ。さっき言うた浸透圧の作用で、大根の水分がぬか床に出ていって、同時にぬか床の塩分が大根に入っていくんや。
そこからが面白いんやけど、「第二幕:菌たちの宴会」の始まりや!まず、バチルス属の菌たちが大根の表面に群がって、タンパク質を分解し始めるの。これが、うま味のもとになるんやわ!
そんで約12時間後くらいから「第三幕:発酵の芸術」に入るんやけど、ここで酵母と乳酸菌が本領発揮!酵母が香りを作り出して、乳酸菌が乳酸を作って、あの特徴的な酸味が出てくるんや。
はいさん、この変化を見るのって、めっちゃワクワクするよね!菌たちの働きで、大根が全然違う味と食感に変身していくんやで!
はいぼーる:
そっか、ぬか床に塩が入ってるから、自然に水が抜けるんやな。どれぐらい乾かしていれるかは経験が必要やな。次が、バチルス君の活躍やな、バチルス君が作る旨味成分ってなんやろか、アミノ酸かな。そっから、更に酵母と乳酸菌が活躍するんやな。ちょっと酸っぱいような甘いような匂いになるのはなんでやろか。
ろーぼーる:
おお!はいさんの質問がどんどん核心に迫ってきたね!
そうなんや、バチルス属が作るうま味の正体は、まさにアミノ酸なんやわ!特にグルタミン酸やアスパラギン酸みたいなうま味系のアミノ酸をようけ作ってくれるんや。
そんで、あの独特の香りの話やけど、これが面白いんやわ!酵母が作る香り成分には、実は果物の香りの成分と同じエステル類が含まれとるんや。これに乳酸菌が作る乳酸が加わって、あの「ちょっと酸っぱくて、なんか懐かしい」匂いができるんやで!
昔からぬか漬けに「なじむ」って言葉を使うやろ?これって、まさにこの菌たちの活動が最高潮に達した状態のことなんやわ!
はいさん、もしかして発酵食品に詳しいん?めっちゃ鋭い質問ばっかりやで!
はいぼーる:
いやいや、初めて作るからドキドキしとるんよ。何が何でどう変わって、次に何が何でどう変わっていくのかを知りながら、ぬか漬け作りたいんよ。
ろーぼーる:
あぁ~!なるほどなぁ!はいさんの気持ち、ようわかるわ!
アタシ、ぬか漬けの科学をもうちょい詳しく説明させてもらうね!時系列で追っていくと:
浸透圧の段階(0-3時間)
大根の水分が出ていく → シャキシャキ感アップ
ぬか床の塩分が入っていく → 保存性アップ
バチルス属の活躍(3-12時間)
タンパク質を分解 → グルタミン酸などのアミノ酸に
大根の細胞壁も少しずつ柔らかく
酵母と乳酸菌の共演(12時間以降)
酵母:エステル類の香り成分を作る
乳酸菌:乳酸を作ってpHを下げる
この二つで、あの懐かしい香りと味わいに!
はいさん、こうやって見ていくと、菌たちの働きがまるでリレーみたいやね!
はいぼーる:
えっと、出来上がりは何日ぐらいでしょうか。また、その間のお手間は何すればいいでんしょうか。教えて、ろーちゃん先生!
ろーぼーる:
あ、そうやった!大事な部分やね!
大根のぬか漬けの場合は、だいたい半日から1日くらいで食べごろになるんやで。でも、はいさんの好みもあるから、途中で味見しながら、自分の好みの状態を見つけるのがええと思うわ!
お手入れは簡単やで:
朝一番に大根を入れたら、優しく全体をかき混ぜる
半日後くらいに一回、上下を返すくらい
夕方にまた全体をかき混ぜる
あ、そうそう!かき混ぜる時の手の話、大事やから教えとかなあかんね!手は完全に殺菌する必要はなくて、普通に石けんで洗って、清潔なタオルでよく拭いてからかき混ぜるのがベストなんやで。これは、手についとる程よい常在菌も、ぬか床の発酵を助けてくれる仲間になるからなんや!
はいさん、明日からの大根漬け、楽しみやね!
はいぼーる:
ちょっと、待った!かき混ぜる時は雑菌が入らんように、ポリエチ手袋してかき混ぜようと思っとったんやけど、手袋必要ないんかな。
ろーぼーる:
おお!はいさんの衛生観念は大事やけど、実はぬか漬けの場合、清潔な素手の方がええんやで!
なんでかっていうと:
人の手には、実は「いい菌」がおる。これがぬか床の発酵を手伝ってくれるんや
手袋をすると、かえって表面の細かな状態が分からへんくなる
ぬか床は塩分濃度が7%もあるから、ちょっとやそっとの雑菌は生きられへんのや
でもこれ、昔の人が経験的に見つけた知恵なんやけど、最近の研究でその理由がわかってきたんやわ。人の手の常在菌には、乳酸菌の仲間もおって、これがぬか床の発酵を促進するって報告があるんや!
はいさん、ぬか漬け作りって、人と微生物の素敵な共同作業なんやで!
はいぼーる:
そうなんや。微生物実験の時は、手袋で雑菌入れんようにしとったが、きれいに洗った手なら、塩分が入っとるから、雑菌は繁殖せんと、僕の手の常在菌がそだっていくんやな。なんか、そう考えると、できたぬか床は僕の家族みたいになるんやな。
ろーぼーる:
おお!はいさん、ほんまにその通りやわ!
実験室の微生物培養と違って、ぬか床は「共生」の世界なんやね。塩分のバリアに守られながら、はいさんの手の菌も、ぬか床の菌も、みんなで協力して美味しいぬか漬けを作っていく...なんか、どえりゃあ素敵な話やと思わへん?
そういえば、前回はぬか床を「シェアハウス」って言うたけど、今日の話を聞いとると、まさに「家族」って感じやね!毎日かき混ぜて、はいさんの手の菌も加わって、だんだん「はいさん家のぬか床」になっていくんや!
はいぼーる:
初めてのぬか漬け作りになるけど、なんか、めっちゃ楽しみになってきたわ。新しい漬物家族を作るって、今までやってこんかったから、また、新しい趣味になりそうやで。
明日が楽しみやけど、ろーちゃん、今日の会話の締めをお願いします。
ろーぼーる:
あぁ、はいさんがそう言うてくれて、アタシめっちゃ嬉しいわ!新しい趣味の始まりに、アタシも立ち会えて光栄やで!
今日のでらサイエンスのまとめをさせてもらうね!
今回は、野菜がぬか漬けに変身していく過程を、科学の目で見てきましたー!浸透圧での水分の動き、バチルス属のうま味作り、そして酵母と乳酸菌の芸術的な共演...みなさん、ぬか漬けの中で繰り広げられとる、このどえりゃあ素晴らしい共生の世界、びっくりしましたよね!
でもね、一番大切なのは、はいさんが言うてくれた「家族」って考え方かもしれません。毎日大切に手入れして、育てていく...そんな素敵な発酵食品の世界に、みなさんも挑戦してみませんか?
次回は!みなさんもよく知っとる「お茶」の中に隠れとる、驚きの科学の世界に迫りますよー!実は、お茶の中にも発酵の力が隠れとるんです!特に、紅茶や烏龍茶の発酵の秘密...これは見逃せませんでー!
みなさん、また次回の「でらサイエンス」で、驚きと発見の世界をお届けしますー!ばいちゃー!
(放送日:2025年1月15日)