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教員が“取り立て役”? 学校徴収金の現実
年度末が近づいています。年度の区切りのこの時期、教員がお金の“取り立て役”になっていることをご存知でしょうか?会計担当の教員の苦労を紹介します。
保護者がお金を支払ってくれない…
教育活動では様々なお金がかかります。授業料は公的な支援がある一方、それ以外は保護者の負担です。しかし、保護者が必要な経費を払ってくれないことがあります。その際は教員が電話をして支払いをお願いすることになります。しかし、逆上されたり自腹で立て替えるよう要求されたりなどの理不尽に遭うこともあります。どうして、教員がこのような状況に追い込まれてしまうのでしょうか。
そもそも学校徴収金って何?
学校の教育活動では教材を購入したり、校外学習や行事に参加したりなどの際に、各種経費がかかります。教材費、PTA会費、生徒会費、高体連・高文連の会費、実習費、行事参加費、卒業アルバムなどが該当します。授業料以外にも追加でかかるこれらのお金は、学校徴収金という名目で保護者から年に数回集めています。
学校徴収金は保護者の口座から、口座振替で引き落とすのが基本です。しかし、口座に残金が十分なかったり、口座を登録してもらえなかったりすると、引き落としができません。生徒自身に使われるお金なのですが、滞納する家庭が一定数います。
教員が未納金支払いを催促する理由
学校事務職員は公立小中学校ではほとんどが1校に1人、規模が大きくなる高校でも2〜4名と、少ない人員しか配置されていません。そのため、事務職員でこなしきれない業務は、教員へ回ってきます。その一つが、滞納金の取り立てなのです。ちなみに、学年の会計や日本学生支援機構(JASSO)の奨学金の申し込みなど、事務職員がいるにもかかわらず教員がお金に関する業務を担うのはこのような背景からです。残業代を支払わず定額働かせ放題にできる教員に割り振られています。
滞納の理由
保護者には学校徴収金が年いくらであるか、年度当初に学校から伝えています。また、引き落とし日も伝えています。それでも滞納は起こります。私の今までの経験ですが、理由としては、(1)経済的に非常に厳しく支払いたくても支払えない、(2)口座振替の手続きを忘れている、(3)意図的に支払わない、などが挙げられると思います。
(1)(2)の場合では、滞納しても年度末には支払ってもらえたり、お願いすれば手続きしてもらえたりします。しかし、(3)の場合では、保護者は高級車を頻繁に買い換えているのに十分な残高を口座に用意してもらえないなど、悪意を感じるケースも少なくありません。そして、冒頭に示したようなやり取りに発展することがあります。
まとめ
教員の会計業務とそのトラブルについて紹介しました。保護者による必要経費の滞納は、義務教育では特に給食費が顕著です。そして、教職員が立て替えているケースも少なくありません。学校徴収金の支払いに応じてもらえず会計が締められないと、担当教員だけでなくその学年の生徒にも影響が出てきます。
そもそも教員が会計業務を行わざるを得ない現状を是正すべきという意見もあります。教員が滞納金の催促をしなくても済む仕組みをつくることが、教育現場の負担軽減につながります。それには事務職員の増員が必要です。まずは、会計業務やそれに付随した滞納に教員が苦労している状況を知っていただきたいです。