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現場近くの「戦略」の話

はじめに

随分と久々の投稿になってしまいました、武田です。
今回は「戦略」についてのお話を書きたいと思います。
元々は社内研修向けに作った内容だったのですが、もしかしたら社外の方にもお役に立てそう、と思ったので、noteにまとめようと思った次第です。

なぜ、書こうと思ったのか

今回、この話を書こうと思ったのは、大きく2つの理由からです。

「戦略力」はマネージャー、プレイヤー問わず必要な力だから。
「戦略」という言葉の解釈が人によって違う。違うと各所で認識がズレる。ズレると意思決定を誤り、致命傷になる。

「戦略」は経営陣だけのものではなく、どのレイヤーにも必要なのですが、「戦略」という言葉の解釈がズレることが多いな、と感じています。そもそも、「戦略」の社内定義や合意が取れていないことがほとんどではないでしょうか。

例えばマネージャーなりたての時に上司から「じゃあ、来期の戦略もってきて(^^)」「う〜〜ん、戦略が見えないなぁ」などと言われた経験、ありませんでしょうか?(僕はあります)
その上で上司に「戦略って何?」という質問をすると、答えが結構曖昧だったり、人によって回答が違ったりして、困った経験ありませんでしょうか?(僕はあります2回目)

このような、戦略に迷えるマネージャーや現場責任者の力になりたい。昔の僕のような思いをさせたくない、と思ってこの記事を書いています。

マネージャーにおける「戦略」

特に今回の対象となるのは「マネージャー」や「現場リーダー」です。
インサイドセールスの神、茂野さんのnoteでは「マネジメント能力」について以下の3つが挙げられています。

戦略策定能力
人材開発能力
成果管理能力

組織づくりやマネジメントについての雑記(しげの)

私個人も、マネジメントについて様々な書籍を読みましたが、茂野さんのスキルセットが1番分かりやすいと感じております。

マネジメント能力の3分類

この記事は、この3つの能力のうち「戦略策定」についてのお話と思って頂けると嬉しいです。

対象とする人

基本的には、仕事をする方全般にお役に立つ気概で書いておるのですが、先述の通り「マネージャー」「現場リーダー」の方を想定して内容をブラッシュアップしました。主にファーストライン、セカンドラインマネージャーあたりです。
1人でも多くの方に読んで頂けると嬉しいです。


戦略とは

今回扱う「戦略」について

今回扱うのは、よくある「○○の競争戦略」や「市場開拓○○」などの「企業戦略」ではありません。
これは経営者レイヤー(本部長クラス以上)が考えていることであり、マネージャーの仕事ではないと考えます。(もちろん、理解は必要です)
なので今回は、目標を持つ組織のマネージャーに必要な「戦略」を扱います。それがタイトルに「現場近くの」と付けた意図です。

また、よくある「戦略」「戦術」「作戦」などの学術的な話もしません。
なぜなら、上記を論じたところで実務で使うことがないからです。

記事の内容については、武田の持論や経験談ではなく、著名な方が世に発表したものを集めて再整理したものです。安心してお読み頂ければと思います。

戦略とは

先に結論から述べます。この記事では戦略を
「効果のあがる所に資源を集中させることで、目標達成させること」
と定義します。
これのイメージは、森岡毅さん著「USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか? 」のこちらの図が分かりやすいので引用します。

森岡毅 「USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか? 」から引用

上記の図での「目標」は、「5つの戦場において、相手より多くの場所を制圧すること」とします。
こちらの(右)の資源が相手(左)の資源より20少ない状況の時、あなたなたならどうしますか?
普通に資源を配分すると、上の図のように全ての局面で16:20となり、0-5で完敗しますが、うまく資源を配分すると3-2で勝利できることが分かります。
これが「効果のあがる所に資源を集中させることで、目標達成させること」だと私は考えます。

今回「戦略」について語る上で、可能な限りの書籍に目を通しました。その中で、いくつかの共通点が見えてきました。
「戦略」については様々な定義がありますが、今回対象とするマネージャー向けの定義としては、興味深い共通点があります。
いくつか、定義を引用します。

「目標達成のために資源をどう利用するかの指針」

音部大輔「なぜ『戦略』で差がつくのか」

「ほんとうに重要な問題を見極め、最も効果の上がるところに持てる力を集中投下すること」

リチャード・P・ルメルト「良い戦略 悪い戦略」

「資源の配分」

後正武「経営参謀の発想法」

「(マネージャーの役割は)部分の和よりも大きな全体、すなわち投入した資源の総和よりも大きなものを生み出す生産体を創造することである」

ピーター F. ドラッカー「マネジメント[エッセンシャル版]:基本と原則」

「目的を達成するために資源を配分する「選択」のこと

森岡毅 「USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか? 」

「企業活動の基本的な長期目標を達成するために必要となる行動のコースを決定し、経営資源を割り当てること」

A.D.チャンドラー「組織は戦略に従う」

「目標達成につながる勝利を選ぶこと」

戸部 良一「失敗の本質―日本軍の組織論的研究」

こうやって見てみると「目標」「資源」「選択」が大事っぽい。というのが分かってきます。なのでこれらをまとめて、

「効果のあがる所に資源を集中させることで、目標達成させること」

としたのでした。
この戦略の定義に従えば、「目標」と「資源」が与えられれば、「戦略」を考え始めることができます。
逆に、「目標」が決まっても「資源」を定義できなければ考えることができません。

資源とは

上記で、「資源」が戦略を考える上で重要な要素であることが分かりました。では「資源」とは何でしょうか?
ここでは、音部大輔さん著「なぜ『戦略』で差がつくのか」を引用しながら説明できればと思います。

音部大輔「なぜ『戦略』で差がつくのか」を引用して筆者が作成

「資源」というとヒト、モノ、カネ、情報などがパッと思いつきますが、音部さんからすると、それは一部です。
資源は「顕在性ありorなし」「組織の内or外」の2軸4象限で整理をすることができるのですが、多くの人は右上「顕在性あり×組織内」で考えてしまいがちです。「組織外」や「顕在性なし」まで視野を広げることで、良い戦略を描くことができると思います。

さて、この中で最も重要な資源は何でしょうか?

森岡さんは「USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか? 」の中で「ヒトである」と説きます。
理由は「他の資源を活用できたり、増減させたりすることができるから。」です。

という意味でも、筆者はこのシーンが好きです。

なぜ、戦略が必要なのか

ここまで、戦略の定義を書きましたが、なぜ戦略が必要なのでしょうか?
理由は大きく2つあると思います。

①資源(リソース)に限界があるから
資源が目標に対して潤沢なら、戦略なしでも勝てる。全部やればいい。
②閾値効果があるから
一定ラインまで資源を投下しないとリターンが得られない。
③達成したい目標があるから

まず①ですが、無限のリソースを持つ企業など、この世にありません。どんなスタートアップであれ有名企業であれ、資源に限界はあります。資源に限界がある限り、戦略は必要になると考えます。
もし仮に無限のリソースがあれば、全てに全振りすればいいはずです。

②は、下記のような状態のことです。
閾値とは「感覚や反応や興奮を起こさせるのに必要な、最小の強度や刺激などの(物理)量。」のことで、日常だと「沸騰」みたいな現象が分かりやすいと思います。下記、森岡さんの書籍も分かりやすかったので引用します。

森岡毅 「USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか? 」から引用

閾値がない場合、少し資源であっても、投下した分のリターンを得られますから、あえて集中させない選択肢もあるでしょう。
しかし、ある一定量を超えないとリターンが得られないため、集中させる必要があるのです。

最後③は盲点ですが、そもそも目標がないと戦略の必要がないので、一応入れました。

戦略の階層性

冒頭「『戦略』は経営陣だけのものではなく、どのレイヤーにも必要」と書きましたが、それに通ずる内容です。
以下は、経営者、Mgr、プレイヤーそれぞれの戦略が階層になっている様子を図式化したものです。

ここで申し上げたいのは、「どのレイヤーにも戦略がある」ということです。もちろん「目標」の粒度は細かくなってくる訳ですが、「目標」が存在し「資源」が有限で「閾値」がある限り、そこに戦略は必要でしょう。

そもそも、目標設計が超重要

ここまで「目標」を所与として扱いましたが、ここを間違えると全てが水の泡になります。例え最高にクールな戦略で圧勝したとしても、目標がイケてなければ意味がありません。沖縄に行きたいのに、北海道にジェット機で入ってしまうようなものです。

企業であれば、上から与えられた目標を鵜呑みにするのではなく「なんでこの目標なのか」を自分で考えたり上司に確認すると良いでしょう。

どこに向かうのか、は絶対に間違えてはいけません。

戦略の構成要素

戦略の構成要素は「診断」「基本方針」「行動」の3つです。
戦略のイメージとして「基本方針」が挙げられることが多いですが、
「診断」と「行動」も含めてようやく戦略が完成すると思ってください。

「戦略」=「効果のあがる所に資源を集中させることで、目標達成させること」に「診断」〜「行動」までの3要素が必要、という理解だと分かりやすいかもしれません。

リチャード・P・ルメルト「良い戦略 悪い戦略」をベースに筆者が作成

以下で、それぞれ説明していきます。

個別要素の説明に入る前に、ここまでの情報をまとめます。

「戦略」は「目標」と「資源」をInputとして与えられた上で、「診断」「基本方針」「行動」の順にアウトプットされます。その結果として「成果」を出すイメージです。

戦略は、ひと言では言えません。
「診断→基本方針→実行」を通して、「効果のあがる所に資源を集中させることで、目標達成させる」ことなのだと思います。

診断

診断とは

診断を、下記のように定義します。

状況を完全に把握し、どこに問題(機会)があるのかをハッキリさせること。

リチャード・P・ルメルト「良い戦略、悪い戦略」

もう少し噛み砕くと、「色々な角度から眺めてみたり、色んな切り口で分解することによって、現状を把握しようぜ!」って感じです。まさに、お医者さんが聴診器をあてながら「診断」するイメージですね。

全ては正しい現状把握から、なので、ここが戦略の土台となります。診断は「①丁寧に分ける」と「②問題(機会)を特定する」の2ステップから構成されます。

①丁寧に分ける

まずは最初の工程です。ここで良い感じに分けることができないと、後半全てが無意味になりますので超重要です。
「分ける」と書きましたが結構クリエイティブな工程でして、大きく3つのコツがあります。

■MECEに分ける。

これは説明不要かと思いますが「MECE」です。
モレやダブりがあると正しい診断ができないので、ここは確実におさえましょう。

ビジネス+IT 「『MECE(ミーシー)』とは何かをマンガでもわかりやすく解説、5つのフレームワークの基本を学ぶから」引用

■意味のある切り口(部分ごとに差が出るよう)に分ける。

ただ単に「MECE」であれば良いかというとそうではありません。分解した時に示唆がなければ、分けた意味がありません。

例えば乃木坂46のCDの売り上げついての分析をする時、「CDごとの売上」など一般的な分け方だけでなく、「センターごと」「握手券の枚数」など対象に合わせるのが大事です。
「センターの出身地」や「生まれ月」はMECEではありますが、特に示唆は生まれないでしょう。

■切り口が思いつかん時は、一旦フレームワークで分ける。

とはいえ、「どんな切り口が良いのやら。。」ってことも多いと思います。その時は、世の中に転がっているフレームワークを色々試してみましょう。先人の知恵が詰まっているので、何かしらヒントは得られるはずです。

この時、忘れてはいけないのが「顧客」という切り口です。ここについては私が書くより、以下の本を読んで頂いた方が120万%素敵なインプットになるので、是非ポチってみて下さい。

②問題(機会)を特定する

丁寧に分けた後は、問題(機会)を特定します。
良い「問題(機会)」には条件があり、それは「インパクトがあること」「深い仮説があること」「答えを出せること」です。(安宅和人 「イシューからはじめよ――知的生産の『シンプルな本質』」)

■インパクトがある

当たり前のように思えますが、意外と忘れがちだったりします。問題の解決、が目的になってしまい、「インパクトが出るか?」という視点をつい見逃してしまうんですよね。
ゲームではなく仕事なので、成果を出すためにもこの視点は必須でしょう。

少し意味合いは違いますが、サイバーエージェントの尊敬する先輩の名言を共有します。
「マネージャーは時間をどこに使うべきか?1番チャンスがあるところ、1番ピンチなとこだよ」
その通りだと思います。

■深い仮説がある

少し解釈が必要な表現なので、分かりやすくすると「驚きがあること」といったイメージです。私も経験的にですが、意外性があるものは、良い問題(機会)になることが多いです。

例えば私の場合、周囲のメンバーが1件あたりの単価を追っている中、1人だけ「件数」を追っていた時期がありました。量をこなすことによって質が担保される、という考えのもとなのですが、かなり浮いていましたね笑
「ストーリーとしての競争戦略」で有名な楠木建さんも、書籍の中でこう書いています。

他社と違うことをするのが戦略の要諦であるが、よい戦略はすぐに他社に真似されてしまうというジレンマを持つ。すなわち、競争戦略において合理的であるだけでは持続的に勝ち抜くことはできない。事前に見た時に非合理だった要素が、後から見た時、ストーリー全体の中では合理的になるということが面白いストーリーを作るためには必要である。戦略作成に携わるものの醍醐味はまさにこの部分非合理を全体のストーリーの中で全体合理性に転化していくことである。

楠木 建「ストーリーとしての競争戦略」

スターバックスが、当時主流だったフランチャイズではなく直営方式をとった事例などが有名ですね。ここでは長くなってしまうので、ご興味ある方は是非読んでみて下さい!

■答えを出せる

意外に思われたかもしれませんが、これも超重要です。
この記事では戦略を「効果のあがる所に資源を集中させることで、目標達成させること」と定義しています。
問題の特定や解く行為自体に意味はなく、答えが出せないと、当然成果が出ないので、目標達成も遠くなるでしょう。そのため、「答えを出せる」ということが超重要なのです。

■問題(機会)を特定するための情報収集のコツ

最後に、特定するコツについて、これまた「イシューからはじめよ」から引用したいと思います。特定していくには、「仮説をもってあたりをつける→検証する」が必要で、その「仮説をもつ」に対してのコツと理解頂けると嬉しいです。

コツ①:一次情報に触れる。ファクトを得る。
全ては正しい事実から。データを見る、現場に行く、などの一次情報から仮説は生まれます。踊る大捜査線のあの言葉が沁みますね。

コツ②:基本情報をスキャンする。重要な視点の漏れがないかチェック。
どの分野にも、土台となる基本情報があるので、それをインプットしましょうね、ということです。守破離の「守」にあたるものです。
最近であれば、chatGPTとかを使って効率的にインプットできると思います。

コツ③:集め過ぎない。知り過ぎない。
これを読んだとき、武田は「どゆこと???」となりましたw
大は小を兼ねるんじゃないの?と思っていたのですが、これ「知りすぎると、教科書的な仮説しか出なくなる」と聞いて腑に落ちました。
「深い仮説がある」とも通じるのですが、情報を集めすぎると、普通の仮説しか出なくなり、良い問題(機会)の特定にはならないようです。

基本方針

基本方針とは

基本方針を、下記のように定義します。

診断によって判明した問題を解決するため、見えたチャンスを生かすための方向性、アクションの原則となるもの。

施策やアクションが方針からそれないようなガードレールのイメージです。アクションを「やる・やらない」の選択基準となるもので、解釈の自由は認められません。
チーム全員で認識を統一し、変更しない限りは絶対的な基準となります。

崖から落ちないように

ここで、やることは大きく3つあります。
①「問題」や「機会」の分解
②ストーリーラインを組み立てる
③基本方針のチェック

それぞれ、解説します。

①問題(機会)の分解

ここでは、問題(機会)を、解決できるサイズに分解していきます。チームメンバーで分担するのにも、分解は便利です。ここで、コツは2つあります。(これも「イシューからはじめよ」からの受け売り)

なんか縦長ですみません

(1)「型」で分解する。
先人が作ってくれた「型」があるはずなので、それを使いましょう。
巨人の肩には、乗るべきなのです。
例)3C、STP、イノベーター理論など

(2)型がないときには「逆算」する
型が無い時は「理想状態から逆算し、何が必要か?」を考えていくと良いです。例)月に10受注するには、商談が25は必要で、、、など
ある意味「時系列で遡る」という型とも言えるでしょう。

②ストーリーラインを組み立てる

要素に分解したら、それを基本方針に繋げていきます。

「ストーリーライン??どういうことや??」となった方、ご安心を。ここでも安宅先生が答えを用意してくれています。
「課題→原因→結論」で繋いでいく型と、基本方針を支える理由を列挙する型があります。

「課題→原因→結論」で繋いでいく型

2つの型(オリジナルでも可)を組み合わせながら、基本方針を詰めていきます。

これで「基本方針」ができたら、最後に基本方針がイケてるのか、をチェックしていきましょう。

③基本方針のチェック

基本方針をチェックする際の型としては、またまた登場森岡さんの「4S」が分かりやすいため、ここで引用させて頂きます。

⑴Selective:やることとやらないことを明確に区別できているか?

森岡毅 「USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか? 」

⑵Sufficient:経営資源がその戦局での勝利に十分であるかどうか?

森岡毅 「USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか? 」

森岡さんは、このSufficientとSelectiveを、「双子の関係」に例えています。
つまり、もし戦略がSelectiveであれば、Sufficientになっているはずで、Sufficientでないなら、Selectiveでないので戦略を見直しことになります。

⑶Sustainable:立てた戦略が、短期ではなく中長期で維持継続できるか?

森岡毅 「USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか? 」

競合がすぐ真似ることができない戦略かどうか、自社の経営資源の持続が可能かがポイントです。
また、環境変化や技術変化などで、業界の競争ルールが変わる可能性なども考慮にいれることも大切です。

⑷Synchronized:自社の特徴を有利に活用できているかどうか?

森岡毅 「USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか? 」

これは、SWOT分析で言うところの「自社の強み」と「市場機会」のマッチングと同じことです。
競合との相対的な関係で、自社の特徴を有利に活用できればできるほど、戦略がうまくいく可能性は高まりますね。

森岡さんは、この4つがすべて満足できる戦略は少なく、良い成果を生むものは経験的に、「あてはまるのは3つ程度」「どれか1つが突出している」ことだと論じています。

上記が森岡さんの4Sですが、僕もそのまま使うことは少なく、結局よく使うのは

・インパクト出るの?
・上手くいくの?
・どうやるの?明日から何やんの?

だったりします笑
フォーマットは色々あれど、自分の出した基本方針に対してクリティカル(批判的)に確認を入れる、という工程が「③基本方針のチェック」と思って頂けると、分かりやすいかと思います。

行動

行動とは

ここでは行動を「基本方針に沿って、チームを動かすこと」と定義します。
概念的には、

■戦術(具体的なアクション)
■戦技(アクションを実行する技術)
■志気(精神力)
■兵站(戦闘力を維持するために必要)
・資源、人材、育成、給料、インセンティブ、カルチャー、締め飲み、表彰など

後正武「経営参謀の発想法」を筆者が編集

で整理されることもありますが、ここでは行動を、下記3ステップで整理します。これは、株式会社EVeMの代表・長村禎庸さんの書籍「急成長を導くマネージャーの型  ~地位・権力が通用しない時代の“イーブン”なマネジメント」を土台にしております。

①KPIを決める
②KPIに基づいて重要アクションを実行する
③KGIに影響があるか確認。フレキシブルに変更する

長村禎庸「急成長を導くマネージャーの型  ~地位・権力が通用しない時代の“イーブン”なマネジメント」

1回で決めた①と②が上手くいき続けることはないので、必ず③が発生します。なので、イメージ図は、こんな感じです。

以下、それぞれのステップを解説します。

①KPIを決める

まず、KPIを「基本方針の実現度を測る計器」とします。「戦略」の2段階目「基本方針」を数値化したもの、と捉えてください。
例えば先程の例「会社近くで食べてから帰る」という基本方針を数値化したものは「会社近くで食べた回数」や「出社した日のうち、会社近くで食べた割合」などになるでしょうか。(「回数」にするか「割合」にするかは慎重にならないといけないので、どこかで追記します。)

基本方針は、目標達成に向かう道筋ですから、基本方針を数値化したKPIを達成すれば、自然と目標が達成できるはずです。そうなっていない場合、やはり見直しが必要となります。

また、KPIにはいくつかの基本条件があります。

・あんまり多いと追いきれないので多くても2つ。できれば1つにする。
筆者も、過去に4-5のKPIを任されていたことがあるのですが、まず無理ですw。多すぎるKPIを意識するのが難しいですし、できたとしてもリソースが分散するので、閾値効果を考えるとオススメできません。

・そのKPIの担当者がコントロールできる数字にする。
クールでイケてるKPIが設定できても、担当者ではどうにもならないKPIであればワークしません。担当者のモチベーションも下がります。

例えば、とあるBBQイベントの責任者が「天気が良いと、イベントの満足度が高い」ことを診断し、KPIを「イベント期間中の晴天率」としたとします。晴れの多い時期に開催する、など努力はできますが、天気をコントロールするのは難しいですよね。。
といった感じです。

・KGIの先行指標にする。
PDCAサイクルを早く回すためにも、最終的な目標の先行指標にする必要があります。KGIが未達になることを、その月に把握しているようでは遅いですよね。
例えば、営業だとアポ数をKPIにして、翌月以降の受注数を予測する、みたいな感じです。

・モニタリングできるようにする。
意外と疎かにしがちなのですが、KPIは計測できないと意味がありません。せっかくスマートなKPIを決めても、リアルタイムに数字で把握できなければ成果に結びつきませんよね。
そのためにも「単純さ」「オペレーション整理」が重要になってきます。(私はここが苦手です。)

・他の指標に大きな負の影響を与えない。
例えば「売上を増やそうと、商品単価を上げたら購入数が激減しちゃった。」みたいな感じです。
当たり前ですが、事業や目標は特定のKPIだけで成り立っておらず、他の要素との四則演算で構成されています。
「KPIは達成したけど、KGIが未達です!」とならないように、他の指標への影響を考えましょう。

もっと言うと、事業の集合が会社なので、他事業への影響なども考慮できると一流のマネージャーですね。(実際にはここが難しく、部署間の争いは絶えない訳ですが。。)

この点について、サイバーエージェントのデータ分析チームが公開しているスライドが勉強になるので、是非ご覧下さい。

②KPIに基づいて重要アクションを実行

KPIが決まったら、そのKPIを達成するためのアクションを決めていきます。この時、闇雲にアクションをするのではなく「重要な」ものにアクションを絞っていくことが重要です。

ここで言う「重要な」は「工数が少なく」「インパクトが大きい」ものとご理解下さい。

長村さんのnote「【スライド約300枚】ベンチャーマネージャーのマニュアル」から引用

また、この「重要な」は時間軸と共に変化します。外部環境も変われば、内部環境も当然変化しますので、都度「工数」と「インパクト」が変わるためです。

長村さんのnote「【スライド約300枚】ベンチャーマネージャーのマニュアル」から引用

変化に対応しながら、重要なアクションを決定、実行していくことが重要です。

③KGIに影響があるか確認。フレキシブルに変更する

KGI(最終目標)を達成させるためのKPIですので、KGIに影響があるか、を確認してPDCAを回します。やりっぱなし、KPIだけでの振り返りは手段の目的化です。

これをお読みの方は「そんなの当たりマエストロやん!」と思うレベルの方とは思うのですが、マネージャーとなると、これが意外と難しいのです。
なぜか。「実際に動くのはメンバー」だからなんですね。

また、「フレキシブルに変更する」は、マネージャーが思っているだけでは50点で、チームに浸透させてようやく100点です。なので、これも長村さんの本からの引用なのですが、下記を実践する必要があります。

①「目標達成のための手法は変える」とメンバーに宣言する。

②理由を説明する。
・「チームの役割や目標が変わった」など、方針や方針よりも上位概念が変わった
・上位概念は変わらないが、今の方針やKPIだと目標が達成できないことがわかった(学びを得た)

「急成長を導くマネージャーの型  ~地位・権力が通用しない時代の“イーブン”なマネジメント」から引用

チーム一丸で動かないと、大抵の目標は達成不可能です。そのためにもマネージャーは、メンバーのマインドセットと、丁寧な説明をする必要があると思っています。

さいごに

長文お読み頂き、ありがとうございます!(ここまでで、大体10,000字ですw)
最後に、ここまでの内容を簡単な図にしましたので、振り返りや、ご自身の頭の整理などに使って頂けると嬉しいです。

まとめ

最後にひとこと

戦略は仮説だと思います!誰も正解は分かりません!
PDCA回して、一緒に試行錯誤しましょう!

参考文献

今回の記事のベースとなった書籍です。色々と読みましたが、全ての基礎となる一冊と言って良い気がします。

「戦略」において必須の「資源」について、最も丁寧に書かれています。とても読みやすいのでオススメです。(Kindle Unlimitedで読めるの凄すぎ)

「資源配分」を説明する際に多く引用しました。
BtoCのマーケティングに携わる方は、特にオススメです。

「行動」の部分でたくさん引用しました。と言うより、ほぼこの本の内容ですw
戦略に関する内容以外にもマネージャーに必要なことが分かりやすく網羅されているので、絶対に読んで欲しいです。

「基本方針」で多く引用しています。
もはやビジネスパーソンの教科書ですね。もちろんオススメです。

「診断」「基本方針」の流れを作る時に参考にしました。ここの流れを、より詳しく知りたい方は是非お読み下さい。

その他にも、少し引用させて頂いたものや、今回は引用していないがマネージャーの方々にオススメの書籍をまとめたので、もしお時間あればご覧下さい。

改めて、最後までお読み頂きありがとうございました!
日頃、こんなことをつぶやいたりしてるので、よかったらフォローをお願いします!


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