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サウダージ。 〜旅人の詩@ブラジル〜


サウダージ。


居候させてもらったディエゴとエリザに、いくつかのポルトガル語を習った。
サウダージは「郷愁」の意。
これをを説明するとき、エリザは「悲しいんだけど、でも悪くない気持ちで・・・」と言った。

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朝、彼らの家の前に立ち空を見上げる。
涼しい風が大きく吹きぬけて、笹の葉がざざざーーーっと音をたてた。

ちょっとだけ泣きそうになる。
何かに似ている。何処かに似ている。
八王子の春か、会津の夏か、……記憶を探るのだけど見つからない。

とにかく幼かった頃のなにか。
傍らに大きな愛情があった感触がある。
懐かしくて、切なくて、あたたかな気持ち。

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これかな。サウダージ。

うまく取り出せないのがもどかしいけれど、私の中にはいろんな記憶がたっぷり詰まっているのだと思ったら
なんだか嬉しくなった。


ちゃんと見送る。


ちゃんと見送ることができる人になりたい。

好きですやありがとうや頑張れを込めて、
姿が見えなくなるまで手をふれる人に。

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今まで私たちを見送ってくれた、たくさんの人たちの顔が手が浮かぶ。

私は、ちゃんと見送ってこれなかった気がするんだ。

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見送ることは、まっとうすることでもあるんじゃないか。

二度とやってこない何か、
もしかしたら二度と会えない誰か、
それを受け止めること。

精一杯生きること、愛を伝えること。

今日という日が終わる。
ありがとうと見送る。


もっと祈りを。


傲慢の反対側にあるものを考えていた。

それは謙虚なんだろうけど、
日常の中では掴むのが難しくて
どうしても小さな自我の世界に囚われてしまって。
もう少し実体のある態度や行動としての何か・・

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そしてはたと気づいた、というか
すっかり忘れていたというか、それが
祈ること、祈る気持ちだった。

もっと、祈りを。
毎日の中に、大切な人たちの顔を思い出す時間を、もっと。

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遠いところからだけど、届くだろうか。

あの人に、出会いとチャンスを。
あの人に、希望と勇気を。
あの人に、奇跡を。
あの人に、稲妻が走るような恋を。
あの人に、あたたかさと愛情を。
あの人に、笑顔を。

1人1人、ノートに名前を書いて想いを飛ばす。

海を越えて、どうか届くように、
強く強く祈る。



ブラジル、フロリアノーポリス。
自然とリズムと、ありのままを愛する人々。
ここには、物思いに耽させるような、
なんだかセンチメンタルにさせるような、
そういう風が吹いているのだった。

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(MIWA)

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