そうだ、ストパーかけよう。
嗚呼、麗しの
リオ・デジャネイロ。
私は悩んでいた。
年齢を感じる背中、からの、よろしく哀愁。
髪・・・(せめて)髪・・・
なんとかしたい・・・。
バックパッカー宿で一緒だったのは、ピチピチ光線を放つチャーリーズ・エンジェル(命名)ことオージーギャル3人組。
毎晩、一緒に踊りに行こうよーと甘く誘われる。
なに?! 嫌味? 頼むからほっといて!
私はそんなドレス持ってない、化粧道具もない、美脚もない、便サンしかない、なによりボリパーなのよ!もっさもさなのよ!!
やさぐれる34歳(当時)。
・・・はっ。
いかんいかん。
性格までブスになってきた。
そんなときは?
はい、発想の転換。ポジティブシンキン。
そうだ。ストパーあてよう。
私はスキップした。京都に行こう。くらいの軽やかさで(デジャヴ)。
リオの下町を中心に聞き込み開始。(↑ちなみにこれも美容院ね)
この調査は夫には内密に、散歩の途中で、さりげなく且つ迅速に行われた。
しかしその行動は終始観察されていた。
調査の結果明らかになってきたのが、ブラジルの美容院にある「エスコーバ」というパーマ。
完全縮毛矯正の「エスコーバ・ディフィニチーバ」は1万円くらいするが、
その下に3~4ヶ月持続するという準・縮毛矯正があり、店によって「エスコーバ・インテリヘンテ」とか「エスコーバ・エレガンチ」とか勝手な名前がついてるのだが、それなら半額の5000円くらいでできそうと分かった。
店員への取材で満足せず、体験者の意見も聞くM調査員。
「持続します?」
「まあねえ。」
徹底した聞き込みぶりだ。
(そんな努力と汗をあざ笑うかのように、ふらりと床屋へ入り意味不明なオリヒナルヘアスタイルを実現し、満足顔の夫、Y。なにさ!!!)
私は悩んでいた。
「2000円でかけたパーマを5000円で取るという愚」について。
心は揺れた。
「なんか・・・ゴメンネ・・・」と
パーマたちもモワモワ揺れた。
「君たちのせいじゃないよ」。
心が揺れていたのは、4ヶ月経ってもまったく元気いっぱいなこの子たち(ボリパーのこと)への、愛着のせいでもあることを認めざるを得ない私であった。
ニクい。。でも愛しテル。。
・・・・
2日後。
さらばボリパー。
ついに決意した。
「精神の安定のためにも、ここはいっとけやっとけ!5000円なんて、あとで稼げばいい(←夫が)のさ!」
心の声がしたからである。
決戦の金曜日(かどうかは忘れた)。
私は一軒の美容院を単身ノックした。
ざっとシャンプーをしてもらい、いざ。
店長と副店長2人ががりで、縮毛強制気休め版・「エスコーバ・インテリヘンテ」開始!
きっと大丈夫。なんたって、私の地毛はストレートなんですから!3ヶ月持続してくれれば、あとはサラサラストレートになるぜよ!
謎の薬を頭全体にまぶし、蒸気のドライヤーで伸ばしていく。
(なぜか鏡と逆に座らされたので、暇そうな店員に写真をお願いする。)
最初は余裕だったが、薬が頭皮にしみてしみて、
薬に熱が加わることによって発生する煙が、目にしみてむせてむせて!
いったいどんな薬をーーー??!
きえーーータスケテ!!!
このとき、意識朦朧。
ただただ、「こんな思いまでして美を手に入れようとする世界中の女という生き物」に敬服の意を心の中で表明していた。
親の敵のような迫力で私に美を与えんとする店員のお二人。ありがたや・・。
でももうやめて・・・・。
やっと終わった・・・・。
速攻シャンプーの副店長様。放心のわたくし。
ボリパーの時もそうだったが、シャンプーは基本、雑なのだった。
雑というか、なんというか、シャンプー「する側本位」なのだ。
熱くないですかー?とか、かゆいとこないですかー?とか、皆無。ざばざば顔にかかる。耳に入る。
南米の美容関係者全員を集めて日本の美容院のシャンプーを体験させたい。
いや、そんなことはどうでもいい。
私は店長が(日本語の歌知ってるのよ、と)得意げに歌うカタコトの「恋人よ」を聞きながら
五輪真弓さんの面影を頭に浮かべ、ただただ怯えていた。
もしやあたし、あんな感じに・・なる・・・。
(ここで心配した夫が到着。撮影をお願いする)
お・や?
まだ、生きてる・・・?
お、お前たち(←ボリパーのこと)!!
※頭皮は死にかけてるね
私の動揺を軽く無視し、速攻スタイリング開始の副店長。
それは力強く。頭皮がつど悲鳴をあげるほどに。
「大丈夫。もうすぐ終わりよ」。
こ・・・、これは・・・・。
この、スタイリングは・・・・。
中森明菜さんじゃないっすか!!!**
「十戒」時代の!**
**
もう、自分でもどうしたかったのかよく分からなくなったのだけど、
とにかくありがとう!!!ママー!!!
おめでとう。
かくして、新生・ストパー美和の誕生です。
今まで本当にありがとうございました。
<ビフォー>
<アフター>
年齢なんて、関係ない。
女はいつだって、
磨けば光るもの。
そう。
あなたには、その価値があるから。
ロレアル・パリ。
やってよかったエスコーバ。
亜麻色の髪の乙女は、夢見心地で眠るのでした。
・・・・
ザザーーーー。
キュ。
シャワー後、鏡を見る。
・・愕然。
髪の三分の二のボリパーが、息を吹き返していた。
「はろーー!!!ぼくたちだよ!」
ぎゃーーーーー!!!!
(手前部分はクシでとかした図)
膝から崩れるほどの落胆とともに、
このストパーは、毎日のブローありきのストレートヘアなのだと知ったのでした。
おもちゃみたいなプラッチックのくしを投げ捨てる。
ドライヤーなんて持ってるかーい!
私の、ボリパーとのガチンコ対決は、どうやら帰国まで続きそうです。
めでたしめでたし。
(MIWA)
PS:それから2ヶ月後の様子です。@メキシコ
・・・・。