アイのセンタクキ。できたこと、できんかったこと。
なかなか筆を取れんかった言い訳という導入部
こういうアトガキじみたものを書くのは気恥ずかしい感じがして、なかなか筆を持てませんでした。実のところ、他の人のノートに触発されて、書こうかという気持ちが起こりつつ、いやいや恥ずかしいぞという気持ちで筆をおいたりと、オロオロとしている間に時間ばかりが経ってしまいました。
漸く、ちゃんと筆を取れたのはサイトウくんのノートと橋本くんのノートに重い背中を押されたからでしょうか。ほんとう、今回の公演は僕の心に尋常ならざるほどの後悔とほんの少しの達成感を残して終わりました。そのことについて、ネチネチと書いていこうと思います。余りに書きぶりが散漫なので皆さん途中で手読むのやめてしまうかもしれませんね。
旧友の活躍と参加できんかったオーディション
初夏だったでしょうか。ツイッターで見かけた企画がめちゃくちゃ気になりました。「アイの作戦会議」。伊藤圭祐の企画ということで面白くないはずはないぞということで、喜び勇んで参加しました。一昨年参加した「悪夢」が終わった時、演劇はもう引退でいいかなということを考えていました。その時もできたこと、できんかったことが気になって気持ちを整理する時間が必要やったんやと思います。
まぁ、観劇をしているうちに「また俺も舞台に立ちてぇ」という思いが再燃して来ました。周りの人の見事な舞台がなければ俺は舞台に立つセンタクすらしてなかったでしょうな。一例を挙げると「人魚の器官」これは伊藤圭祐の演出が光ってました。カタオモイの「トリオ」完成度の高さに度肝を抜かれました。あと大森がちょっと可愛かった。うもれびの「天使のUSB」三島のたった一人の演技が空間を作っていたのに、息を飲みました。この辺の観劇経験が俺を舞台に引き戻してくれました。俺一人のちからやったら、観劇して感動してなければ演劇からの完全引退をしてたと思います。初っ端から脱線が物凄いんですが、今回の公演で彼等と関われたことは無茶苦茶大きかったです。
話戻って、アイの作戦会議で試しに読んだ台本も非常に心惹かれるものでした。確かあのときは僕がA(アイのおとうさん)でB(アイのおかあさん)は樫山さんやった気がします。とんでもねぇ18歳が出てきたなって、ビビリ倒していました。こりゃオーディション行くの恐えな、と。
そんで、オーディション当日。
参加できませんでした。実家方面で仏事がありそちらの要事で山口へ。あとから聞いた話だとオーディションは大盛りあがりやったそうです。よう俺役者として採用されたな。縁故採用か?とも思うてました。
一応、別日に伊藤、和田、多田ちゃん、田辺さんと面接をしました。この時、身体表現は苦手であることは強調しておきました。身体能力クソなので。ちょっと和田と多田が俺への遠慮が見えたのは面白かった反面、伊藤はめちゃくちゃリラックスしてました。このときはまだ知りませんでした。台本を読んであんなに衝撃を受けるとは。
おいこれ、まだ稽古始まってないのに千文字超えたぞどうしてくれるんだ。
初稽古と台本を読んで
初稽古は天神山文化プラザでした。初稽古に向かうときはワクワク七割、不安に三割。
どんなやつと一緒に稽古することになるのか、稽古メンバー重要ですからね。それによって稽古場に行くのが楽しみになったり、億劫になったりする。まぁ、その点はあんまり心配してませんでした。伊藤圭祐は間違いなく稽古場の空気を悪くしないようなメンバーをね、こうね、伝われ。何なんでしょうね、あの嗅覚。人を見る目がある。この話は十分条件です。わかるよな?わかれよ?
さて、初稽古前に貰った台本ですが、それを読んで衝撃を受けました。おい、伊藤圭祐。お前、これ本当に書いた描いたんか。大丈夫なんか。台本の向こうに伊藤圭祐がが泣きじゃくっている姿を幻視してしまったんですよね。元々、悪夢で二人で飯を食ってる時から少し心配ではありました。それで、お前、この頃からこんな台本買い取ったんか。大丈夫か。詳しいことはここでは言いませんが、本当に心配でした。そんな中で旧友が心を砕いた台本を、オーディションに参加もしてないのにキャストとして選ばれた以上全力を尽くそうと決意しました。
これは、今言ってもしょうがないんですけどね。俺は、千穐楽で何もできなかった。
初稽古で一番最初に合ったのは、小郷龍彦でした。ひと目見て、お!年上がいる!と思ったんですけどね、十個下でした。就実大学の新しい演劇部のフレッシュな面々は集合時間よりも早めに出てて、高感度高かったです。橋本瞬祐はスクワットしてました。社会人1年目と言う話を聞いたので、めっちゃ力んでんな〜と思いました。こいつ力み過ぎてすっ転んだりしねぇかなとかも思ってました。杞憂だったんですけどね。彼のノート見ると杞憂でもなくけっこう大変だったみたいですが。年上として明確な力になれんかったのは申し訳なく思ってますね。
ズームでのリモート稽古と役者決定
ここまで書いてきて思ったけど、よくこんな脱線ばかりして話全然進まねぇな。
開始後しばらくは週一リモート稽古でした。土曜日は対面でしたけど。リモートでの本読みは緊張感がありました。夏の頃は、役者決定まではなんとも言えない感じでしたね。自分がどの役を演じるかも分からんわけですから。実際のところ、多分パパンやろなとは思ってましたけど。やりたかった役は、Nでした。どう考えてもAになりそうな気がしたので、伊藤圭祐に食い下がりました。やりたい役者の希望を伝える機会をくれと言ってみました。言うてみると、他のキャストも思うところあったみたいです。島根ではそんなこともなかったらしいというのは大変、意外でした。役者決定までは本当に落ち着かなかったですね。ていうか、おとんの訳になった場合、やり切れるんか?本当に不安でした。
で、キャスト決定の日。
稽古が中止になったりもして伊藤も悩んだようでした。でも多分ありゃあ、俺については大して悩んでないな。すぐ決めたじゃろ。おとんでした。
頑張って台本読むんですけどね、わからんのですね。どう演じたらいいか。演技プランが経たない9月ごろ、10月ごろはこれで悩んでました。
またもや、脱線しますが高感度を上げたくて、夏の初め頃の稽古でアイスキャンデーを差し入れしました。そしたら、木内が食ってたやつが溶けてました。ごめんね。
初通しから若者の成長は早いという話
初通しは、台本だけは年上として覚えていこうと思って行きました。でも、ヘンに力んでたせいか、覚えてたはずのセリフが出てこねぇとか、平気でありました。つらたん。
で、ここから伊藤圭祐の稽古特有の毎週通しです。若い子がグングン伸びてくる。怖い怖い。最初っからうまいやつおるし。ずっと不安でした。置いてけぼりにされるんじゃないか、力量のない役者として本荘で悪目立ちするんじゃないかって。最初にすごかったのは、笹野さんとはがさんでした。最初っからイイモン持ってました。
伸びを見せたのは小郷と持田でした。みんな通しの稽古のたんびに成長を見せてくれる。ワクワクする反面、自分の能力が本当に不安でした。俺にとって土曜日は楽しみな反面怖い日になってました。そして一週間じぶんの役に向き合った成果を確認する場になってました。若い子の伸びが本当にやばいの。
正月に高熱だしてコンディション崩した県
見出し通りです。絶望的でしたね。正月にダンスのブラッシュアップする予定でしたが、体がだるくて持ち上がらない!1月4日の最終稽古も熱出して自宅待機!んで本荘期間。ゲネのあとぶっ倒れるとかして、本荘できるか不安でした。超不安。んで、第一回公演、記憶がはっきりしません。根性だけで駆け抜けていた気がします。
大団円の千穐楽、一方俺は
千穐楽は大団円でした。澤山くんは絶大な成長を見せてくれました。みんなものすごかったです。夢の中にいるようでした。でも僕は、体だるいし腹痛いし、体思うように動かないし。デバフ効きまくってる状態でした演技はどうだったんでしょうね。旧友の伊藤のために、あいつが心を砕いて書いた本を、いい形で立体化するんだって、思ってたのに一番足を引っ張ってたのは俺でした。
一番最初にやろうと思ってたことが、できんかったのは俺だったんです。悲しいですね。だから今回の千穐楽、みんなものすごかった分、俺はちょっと見たくありません。絶対に足引っぱてんだもん。いやぁ、その意味で大きな後悔を残しました。信じてくれたのにな、何にもできんくてごめんな伊藤。
これにて終演となりました。みんな明るいノート書いてる中で暗いノート書いてすまんな。