94 鮫島有美子 ☆ 花の街
児童養護施設に勤務していたとき、職員旅行で倉敷に行きました。定番のIVYスクエアに泊まって大原美術館や美観地区を回ったあと、少し離れた竹久夢二さん関連の記念館のようなところに向かって住宅地を歩いていたら、先を行っていた保育士さんたちが「あれ~そっくり~」と叫んで私を振り向きました。町内掲示板に貼ってあった指名手配のポスターが、私そっくりだったのです。(笑)
「え~、いつ悪いことしたんですか~」と大爆笑になったのですが、それから私はいつお巡りさんに捕まるかと気が気ではなくなってしまいました。
目的地に到着してグッズを買ったりしているときに流れていたのが、鮫島有美子さんの「花の街」です。いわゆる大正ロマンを感じさせる曲として、竹久夢二さんと重ね合わせてあったのだと思いますが、私にとっては、得も言えない不安がダブって、一瞬大杉栄のような気分になりました。
鮫島有美子さんの歌は、炬燵に足を突っ込んで蜜柑でも食べながら聞くと、“和”の情緒が満ち満ちてくるような気がします。「早春賦」「荒城の月」「埴生の宿」「故郷」「椰子の実」「里の秋」「ローレライ」「からたちの花」等々、透きとおった歌声には遠く故郷を思うような、母的なものを感じさせるような空気感があります。おそらく、そういう気分になるのは、かなり高齢の人だけなのだとは思いますけれど。
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