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元作詞家の恩師たち「Being/学校 ①」
貴重な体験の場
長戸大幸氏
デビュー以降、先述の酒井政利氏にご一緒し、多くの制作関係者をご紹介頂きました。その中でも後に大きな学びに繋がったのが長戸大幸氏との出逢いでした。長戸氏と言えば既に多くの皆さんがご存知の、元制作会社Being代表であり、数多くのアーティストを輩出されたプロデューサーです。B'zやZARDを筆頭に大黒摩季、WANDSなど
挙げればきりのないアーティストたちがヒットを連発しました。
初対面
そんな長戸氏と初めてお会いしたのが、確か六本木交差点に近い喫茶店だったと思います。ちょうど「踊るポンポコリン」がヒットした時期で、予想外の売れ行きに権利関係を軽視していた旨を後悔していると笑っておられました。暫くの間酒井氏と談笑された後、長戸氏がテーブルに4〜5枚のスナップ写真を出されたのです。なんでもその時期にデビューを準備中の女性アーティストとのこと。しかしその写真のどれも当該女性を正面から撮ったものではなく、斜め上からだったり俯いたアングルだったり、綺麗な女性であることは分かりましたが、「もう少ししっかり顔を見たい」と思わせるものばかりでした。私は早速それについて質問をした訳です。長戸氏の解答、彼女はその見え辛い謎めいたイメージで売り出したい、果たして実存するのか疑ってしまいそうな神秘性を探っていると言われました。後にそれがZARDの坂井泉水氏であったことを知るのですが、確かにデビュー直後の彼女と言えばそういったイメージだったかと記憶しています。
時代を見る策士
印象的だったのは、個々全てのプロジェクトにそういう練りに練った作戦、コンセプトを盛り込んでいると話されたこと。アーティストのネーミングから売り方に至るまで伺えばそれは極めて綿密なものでした。
そして何より驚いたのは、氏のバッグの中身です。ドクターバッグの様な黒い鞄だったでしょうか?詰められていたのは全てサビのみの楽曲の資料でしたが、かなりの厚みだった気がします。CMタイアップを狙い撃ちされた上で、その営業用にキャッチーなサビだけを集め持ち歩かれていました。これについても、後にその楽曲の数々をCMで聴くこととなります。その準備には、社のスタジオに多くのミュージシャンが24時間体制で集まり、音作りからレコーディングに臨まれていたそうです。その決め打ちとも呼べる徹底した作戦、「これからは頭を使いなさいよ!」と御助言頂きました。プロの仕事を目の当たりにし、またその〝意識〟を痛感した瞬間です。
開かれた門
これをキッカケに私はBeingに出入りするお許しを頂きました。時間の全くない長戸氏に社内のスタッフの方をご紹介頂き、その後頻繁にお邪魔して数多くの学びを得ることになります。今思い返せば、この学校で得たものが自分にとってどれだけの財産になったことか…校内では更に貴重な師との出逢いを体験しました。
また続きを書きます。