トルストイ「復活」登場人物表①(第二編七まで 新潮文庫版上巻分)
ネフリュードフ公爵(ドミートリイ・イワーノヴィチ・ネフリュードフ) 本編の主人公。かつてカチューシャ・マースロワを誘惑し魔道に堕ちるが回心する。近衛中尉
カチューシャ・マースロワ ネフリュードフ公爵に誘惑されたのが原因となって娼婦に転落し、冤罪のため流刑に処せられる。27歳。瞳の片方はやや斜視気味。二人姉妹の地主屋敷に奉公していた、亭主のいない百姓女の娘として生まれる。三歳のとき母親が病死。
貴族会会長 ネフリュードフ公爵の主な領地のある郡の貴族会会長。自由主義的な人物
マリヤ・ワシーリエヴナ 貴族会会長夫人。ネフリュードフ公爵と不倫関係
「ネフリュードフ公爵の家族親類」
ソフィヤ・イワーノブナ(ソーニャ) 二人姉妹の地主の妹の方。気立てが優しく幼いマースロワに洗礼を授けてやる。甥はネフリュードフ公爵
マリヤ・イワーノブナ(マーシェンカ) 二人姉妹の地主の姉の方。気性が激しい。甥はネフリュードフ公爵
マトリョーナ・パーヴロヴナ カチューシャと共に二人姉妹の地主に使える年老いた小間使い
エレーナ・イワーノブナ公爵夫人 ネフリュードフ公爵の母。故人
アグラフェーナ・ペトローヴナ ネフリュードフの母親の小間使いだった。家政婦としてネフリュードフにも仕える。
リーザンカ アグラフェーナ・ペトローヴナの姪
コルネイ ネフリュードフ公爵の召使
チホン 召使
ポルカン 番犬
シェンボック ネフリュードフ公爵の連隊での親しい同僚
シュゼットカ ソフィヤ・イワーノブナの愛犬。スピッツ。
兄貴 二人姉妹の地主の屋敷の老馬
百姓出の若い画家 19歳当時のネフリュードフ公爵とカチューシャと鬼ごっこをする。がに股で足が短い。
「コルチャーギン公爵家」
ミッシィ(マリヤ・コルチャーギン) コルチャーギン公爵令嬢。一時ネフリュードフ公爵の妻に擬せれている。27歳
ソフィヤ・ワシーリエヴナ公爵夫人 コルチャーギン公爵夫人
コルチャーギン老公爵 地方長官時代には人々をやたら笞刑や絞刑に処していた。
イワン・イワーノヴィチ・コロソフ もと県貴族会長。現在は銀行重役。コルチャーギンの自由思想の同志
ミス・レーデル ミッシィの幼い妹の家庭教師
ミッシィ(マリヤ・コルチャーギン)の幼い妹 4歳
ペーチャ ミッシィの弟。コルチャーギン家の一人息子。中学6年生。
ペーチャの家庭教師の大学生
カテリーナ・アレクセーエヴナ 40歳になる老嬢のスラブ主義者
ミハイル・セルゲーエヴィチ(ミーシャ・テレーギン) ミッシィの従兄
ステパン コルチャーギン家給仕
フィリップ 美男の召使
「裁判関連」
陪審員長 ピョートル・ゲラーシモヴィチの意見と対立する。
ピョートル・バクラショフ 第二階級の商人。ネフリュードフ公爵と共にカチューシャの裁判の陪審員を務める。カチューシャの無罪を主張。
ピョートル・ゲラーシモヴィチ ネフリュードフ公爵の姉の子供たちの家庭教師していた男。ネフリュードフ公爵と共にカチューシャの裁判の陪審員を務める。現在は中学の教師。
ユダヤ人の店員 陪審員の一人。カチューシャが主犯であると主張。
年とった協同組合員 陪審員の一人。被告に憐れみをかけることを主張し、人間が人間を裁くこと自体に否定的な人物。
イー・エム・ニキーフォロフ 裁判の事に詳しい五等官。ネフリュードフ公爵と共にカチューシャの裁判の陪審員を務める。
イワン・セミョーノヴィチ・イワノフ 退役陸軍大佐。ネフリュードフ公爵と共にカチューシャの裁判の陪審員を務める。話がすぐに脱線する。
ミハイル・ペトローヴィチ裁判長 堂々たる体格の俗物。クララ・ワシーリエヴナと不倫関係
クララ・ワシーリエヴナ 裁判長と不倫関係にある赤毛のスイス娘
陰気くさい顔つきの金縁眼鏡の判事 裁判長の俗物性を見抜くことが出来ない俗物。
マトヴェィ・ニキーチッチ 遅刻ばかりしている判事。頬髯が豊かで垂れ目。胃カタルを患っている。
書記 自由主義というよりもむしろ過激な思想の持主
プレヴェ 検事補。保守的なドイツ人。ギリシャ正教を熱心に信奉。立身出世のため自分が扱う事件は是非とも有罪にしなければならないと考えている。
廷吏 正直だが酒癖の悪さで職業が安定しなかったが、3か月前にある伯爵夫人の世話で裁判所の廷吏となる。
老司祭 司祭歴46年。裁判の宣誓こそ極めて重要であると信じている人物
シモン・ペトロフ・カルチンキン 33歳。身分は百姓。職業はホテル「マヴリタニヤ」のサービス係
エフフィミヤ・イワーノブナ・ボチコーワ 43歳。身分はコロメンスコエの町人。職業はホテル「マヴリタニヤ」のサービス係
フェラポント・エメリヤーノヴィチ・スメリコフ シベリア・クルガン州の第二階級商人。ホテル「マヴリタニヤ」にて急死。
チモーヒン フェラポント・エメリヤーノヴィチ・スメリコフの同郷人にして友人。商人。
カルチンキンとボチコーワに300ルーブルで依頼された弁護士 カルチンキンとボチコーワの無罪を主張し、カチューシャにすべての罪を被せるべく弁論を試みる
カチューシャ・マースロワの官選弁護人である判事補 カチューシャには毒殺の意図はなかったと論陣を張るが、聞いているほうが恥ずかしくなるほどの論舌しかない男
ファナーリン 弁護士
地方警察署長 50才すぎのくせにカチューシャを口説こうとして失敗
ある山林官 奸計を弄してカチューシャを陥落さす
中学六年生 カチューシャに夢中になる
むっちりした、あらわな両の手に、指輪や腕輪をいくつもはめた上品な婦人 作家にカチューシャを世話する
作家 カチューシャを愛人にする
気さくな店員 カチューシャと結婚の約束までするが、姿をくらます
ベルタ カーチュシャの仲間
カチューシャ(マースロワ)の伯母 洗濯店を経営
カチューシャ(マースロワ)の伯母の亭主 製本屋で昔はいい暮らしをしていたが酒で身を持ち崩す
キターエワ 売春宿の女主人
ミハイル・イワーノヴィチ・マースレンニコフ(ミーカ) 副知事。ネフリュードフ公爵の連隊勤務時代には主計士官であった。
アンナ・イグナーチエヴナ(アンネット) マースレンニコフ副知事夫人。
マダム・ベリャーフスカヤ アンナ・イグナーチエヴナ(アンネット)の客
ミハイル・イワーノヴィチ・チェルノフ アンナ・イグナーチエヴナ(アンネット)の客
「囚人たち」
コラブリョーワ 囚人。老婆。斧で亭主を殺したかどで、徒刑宣告。カチューシャのいる監房の牢名主。酒の密売を行う。
フェドーシャ(フェーニチカ) 女囚。色白で、頬がほんのり赤く、子供っぽい明るい空色の瞳をして、まるで少女のように可愛い女で、長い亜麻色の髪を二つに編んで、小さな顔に巻きつけている。カチューシャに尽くすことを自分の務めと心得ている。
赤毛の大女 窃盗罪の刑期をまもなく終える。肉のだぶだぶした女。
別嬪さん おしゃれなため「別嬪さん」とあだ名されている女囚
寺男の娘 自分の産んだ私生児を井戸に投げ込んで殺した罪で収監。
踏切番をしていた女 信号旗を持って出なかったため、列車事故を起こしたかどで、禁固三か月。歌うような声でしゃべる。
メンショーフ婆さん 息子とともに放火の疑いで収監
メンショーフ 母とともに放火の疑いで収監
シチェグロフ 二度も流刑地から逃げ出した男
ワシーリエフ 嫉妬にかられて自分の情婦を殺した男。法律に詳しく囚人の権利を主張する。
マリヤ・パーヴロヴナ・シチェチーニナ 羊のような善良そうな、正直そうな栗色の目の女囚。ある将軍の令嬢だが、革命運動の党に入る。
コーリャ ある政治犯女囚の子供。刑務所で生まれた。
ヴェーラ・エフレーモブナ・ボゴドゥホフスカヤ ネフリュードフ公爵が友人たちと一緒に行ったことのある片田舎の女教師。政治犯として収監されている。
シュストーワ ヴェーラ・エフレーモブナ・ボゴドゥホフスカヤの友達。
コルニーロワ シュストーワの母の妹
グレーヴィチ ペトロパヴロフスク要塞に監禁されている。
刑務所所長 職務と人生全般に疲れ切っている
マルーシャ 刑務所所長の娘。ピアノを猛練習
刑務所副所長 おしゃれな若い士官。きついオーデコロンを使用。
パセク伯爵夫人 囚人の待遇改善に尽力
メディンツェフ ネフリュードフ公爵が刑務所の面会室で会った話好きの男
「ネフリュードフ公爵の領地の人々」
ドイツ人の管理人(ワシーリィ・カルルイチ) ネフリュードフ公爵の主要な領地(クジミンスコエ村)を管理
若い馭者 過去に都会で暮らし小説なども読むが非常に軽薄な男
若い事務員 領地でのネフリュードフ公爵の世話係
ネフリュードフ公爵の主要な領地(クジミンスコエ村)近在三か村の百姓たち 恐怖によって抑圧されているためにネフリュードフ公爵の温情を完全に理解することはできない
キリーモワ 三年前にネフリュードフ公爵をあいびきに誘う
神学校を中退した管理人 ネフリュードフ公爵が叔母たちから譲り受けた領地(パノーヴォ村)の管理人
マトリョーナ・ハーリナ カチューシャの伯母。パノーヴォ村に住み酒の密売を行う。
瘦せた元気のいい老人 パノーヴォ村の惨状をネフリュードフ公爵に訴える
痩せて筋ばった、日焼けのした腕の老婆 百姓の食事内容をネフリュードフ公爵に紹介
マラーニャ カーチュシャの赤子を養育院に連れていく。子供の養育院送りを職業的に行っていたがすでに死去。
アニーシャ パノーヴォ村の乞食
パノーヴォ村の百姓たち 何代にもわたって地主に痛めつけられていた為にネフリュードフ公爵の真情がまったく理解できない
ヘンリー・ジョージ(1839-1897) ネフリュードフ公爵が思想的に傾倒。
ハーバード・スペンサー(1820-1903) ネフリュードフ公爵は若いころスペンサーの熱烈な信奉者だった