トーマス・マン「魔の山」登場人物一覧表 第一章から第四章
「カストルプ家・親類縁者」
ハンス・カストルプ 本編の主人公。5歳から7歳の間に両親を失う。国際サナトリウム「ベルクホーフ」で療養中の従兄、ヨーアヒム・チームセンを訪ねる。
ティーナッペル領事 ハンス・カストルプの育ての親。ハンス・カストルプの母方の大叔父
ヨーアヒム・チームセン ハンス・カストルプの従兄。ハンス・カストルプの母の腹違いの姉の息子。ハンスより背が高く、肩幅も広い。士官候補生。国際サナトリウム「ベルクホーフ」で療養中
ハンス・ヘルマン・カストルプ ハンス・カストルプの父。肺炎で死亡
ハンス・ローレンツ・カストルプ ハンス・カストルプの祖父。市参事会員。肺炎で死亡。両親をなくしたハンスをひきとる
ドクトル・ハイデキント カストルプ家の主治医
母 ハンス・カストルプが5歳ごろに死亡
フィーテ老人 ハンス・ローレンツ・カストルプ家の召使
ブーゲンハーゲン牧師 ハンス・カストルプの洗礼を担当。ハンス・ローレンツ・カストルプの追悼演説を担当
ヘゼーキエル老牧師 ハンス・ヘルマン・カストルプの洗礼を担当
ジェイムズ・ティーナペッル ハンス・カストルプの叔父。ティーナッペル領事の子
ペーター・ティーナペッル ハンス・カストルプの叔父。ティーナッペル領事の子
シャレーン ティーナッペル領事家の家政を担当。ハンス・カストルプの母親的存在。
ヴィルムス老人 トゥンダー・アンド・ヴィルムス会社の経営者。ハンス・カストルプに造船を学ばせ己の会社に入るよう画策する
ドクトル・エーベルデイング ティーナッペル家に出入りする軍医大尉
「ベルクホーフ職員」
国際サナトリウム「ベルクホーフ」の門番 膝が悪く膝頭の骨を摘出した
ドクトル・ベーレンス顧問官(ラダマントュス)国際サナトリウム「ベルクホーフ」の院長。ゼテムブリーニによって地獄の裁き手「ラダマントュス」に見立てられている。
クロコフスキー 助手。患者たちの精神分析を行う。35歳くらい、肩幅が広く肥っている
フランス人タイプの小使 ベルクホーフ門衛
白い帽子をかぶって鼻にかけた鼻眼鏡の紐を耳のうしろに垂らした看護婦(ベルタ看護婦、アルフレーダ・シルトクネヒト) あまり職務に忠実でない新教の看護婦
鼻にかかったものの言い方をする愛想のよい娘 レストランの給仕
黒い服に白いエプロンをかけた広間嬢 侏儒
フォン・ミュレンドンク嬢 名はアドリアティカ。婦長さんと呼ばれる。きいきい声。旧貴族出。40代のいじけたような貧弱な体つき。不格好でベルトのついた白いエプロン式の病院服を来ている。
だんまり看護婦 目盛りのない体温計のこと。医者は物差しを当てがって調べて、熱のカーブを記入する
「患者たち」
ロシア人の夫婦 ハンス・カストルプの部屋の左となりの部屋に入院している。亭主は貧弱な体格で、くぼんだ頬が灰色になっている。女房は小柄で華奢。
アメリカの女 ハンスが「ベルクホーフ」に到着する一昨日前に死亡。
イギリスの海軍士官 アメリカの女の婚約者。
オーストリアの貴族 優雅なアマチュア騎手だが、症状が重くなんの喜びも愛情もない咳をする
三十歳くらいの婦人客 人間嫌いで、本をよみながらレストランで食事をしている。小娘のころからサナトリウムにいる
シュテール夫人 カンシュタットの音楽家の細君。かなり重症。非常に無教養
イルティス夫人 とんがり鼻。ふとってそばかすだらけである。
ふたりとも(Tous-les-deux) 「ふたりとも」と呼ばれているメキシコ人の女。長男の看護の為に「ベルクホーフ」にきている。つづいてやってきた次男も発症
うぶ毛の生えたような顔色をして、頬を弱弱しくほてらせた、見栄えのしない女(エンゲルハルト嬢) バタつきの巻きパンとコーヒーのみの朝食をとっている。ハンス・カストルプは彼女の存在に女裁縫師を感じた。本当はケーニヒスベルクの官立高等女学校の先生。
イギリスの未婚婦人(ミス・ロビンソン) 中年で、非常に醜く、骨と皮ばかりのかじかんだような指をしている
薄いくちひげを生やして、何か味の悪いものでも口にふくんでいるような顔つきをした若い男(ドクトル・ブルーメンコール) 完全に黙りこくって食事している
異常に痩せたうすいブロンドの若い娘 ヨーグルトのみの朝食
ヘルミーネ・クレーフェルト 気胸でひゅうという音を出す女。「片肺クラブ」の誇り
レーヴィ―嬢 「片肺クラブ」メンバー。象牙色の顔をしている。
唇の厚いずんぐりした青年 「片肺クラブ」メンバー
バルバーラ・フユス カトリックの少女
ゼテムブリーニ 髪の褐色な垢抜けしたイタリア人の紳士。黒く美しい口ひげ。年齢は30歳から40歳。ハンス・カストルプはこの人物から異国の旅音楽師を連想する。文学者・人文主義者であり、ドイツの新聞にカルドゥチの追悼文を書いた。ゼテムブリーニは偉大な詩人で自由思想家のカルドゥチの弟子であることを自認している
小柄な快活な老婦人 ロシア語を話す。異常に痩せたうすいブロンドの若い娘の大叔母。
マルシャ 顔色はつやつやしく、胸は豊かに盛り上がり、栗色の髪に見事なウェーブをつけ、子供のような丸いとび色の眼をして、美しい手に小粒のルビーをはめている。ロシア語を話す
ザーロモン夫人 アムステルダムからきた肉付きの豊満な女。
ミクロージヒ大尉 ブカレストからきた
ヴルムブラント総領事夫人 ヴィーンからきた。ミクロージヒ大尉とできている疑い。
フランツ青年 気胸の手術に失敗した
パラヴァント検事 ドルムントからきた
袖の短すぎる服を着て厚い丸い玉の眼鏡をかけた小学生くらいの少年 よく食べる
マダム・ショーシャ ロシア人。戸をガチャンと閉める。中くらいの背格好。赤みがかったブロンドの髪を編んで無造作に頭の周りに巻きつけている。名はクラウディア。キルギス人のような眼は、ハンス・カストルプが少年の頃に出会ったヒッペの眼と同じものであった。
アルビンさん ブロンドの青年。ひょろ長い青二才で、子供のようなバラ色の顔をして、耳の横に小さい頬ひげを生やしている。ご婦人たちに大人気。
オティーリエ・クナイファー 非常に良家の出で、ある高級官吏のお嬢さん
マグヌス ゼテムブリーニの食卓仲間。ビール醸造業者。乾草の束みたいな鼻ひげを生やしており、文学に興味がないのでゼテムブリーニの軽蔑の対象になっている。
マグヌスの細君 ゼテムブリーニの食卓仲間。マグヌスの席の差し向かいに座っている。
フリッツ・ロートバイン コーブルク人形工場主の息子。病気が腸にまで飛び火してしまっている
ラスムッセン 灰色がかったブロンドの青年
「真夏の夜の夢」を一部ひける髪の薄い背高男 「真夏の夜の夢」を一部ひける髪の薄い背高男
髪の毛の赤いギリシアの少女 髪の毛の赤いギリシアの少女
獏のような顔をした素性の知れない少女 獏のような顔をした素性の知れない少女
小指の爪を伸ばした15,6歳くらいの少年 片眼鏡をかけた明らかな第一級の馬鹿者
額の髪をカールさせて金の耳輪をつるした小柄な優雅な婦人 額の髪をカールさせて金の耳輪をつるした小柄な優雅な婦人
ジーベンビュルゲンの老嬢 頬に不吉な赤みのさした気の毒な人物。「義兄」について語る。
アントン・シュネールマン少年 16歳で「ベルクホーフ」に一年半いて、6ヶ月追加されるところを不行状のため母親に連れ帰された
マダム・カパスーリアス ミュティレーヌからきており子犬を連れている。
ドュストムント判事 フリードリヒスハーゲンのドュストムント判事
「その他」
ヒッペ 姓はヒッペ。名はプリビスラフ。ハンス・カストルプの13歳の時の高等中学校時代の1学級上の生徒。ハンス・カストルプとは年齢は同じ。マダム・ショーシャと同じキルギス人の眼をもっている。
ヂュゼペ・ゼテムブリーニ ゼテムブリーニの祖父。ミラノの弁護士。熱烈な愛国者。政治的煽動家。
ブルネットー 1250年頃フローレンス市の書記をしていて、美徳と悪徳に関する一書を著した。ゼテムブリーニの話の中に登場