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周ノクチについて

Light Lens Labは中国の投資家であり、レンズマニアの周さんが趣味で始めたプロジェクトである。

周さんは数年前にライカのズミクロン8枚玉というレンズをコピーしたものを発表して、世界中のカメラ好きを興奮させてくれた。

ライカのズミクロン8枚玉を完コピした「周八枚」

「中国」「コピー」と聞くと、なんだ偽物かよ、と思うかもしれない。でも周さんのプロジェクトは違った。完コピしてきたのだ。

周八枚とは

どこから調達してきたのかわからないが、周さんは当時と同じ鉛の入ったガラスを使ってズミクロンを材料から完コピした。すでにパテントも切れているので、レンズの見た目も構造もまったく同じなのだけれど、中身まで完全に同じにすると、オリジナルの修理に部品が流用される恐れがありそれは本意ではない、ということで、レンズのガラス直径をちょっとだけ変えたという話を聞いた。そこにあるのはオリジナルへの愛である。

僕はこの周さんのズミクロン、通称「周八枚」を新品で買って、それからずっと愛用している。いまでは中古品も出回ってきているが、僕は周さんの愛に応える気持ちで新品を買わせてもらった。作家さんに敬意を表するため、新刊を本屋でハードカバーを買うのと同じである。

このレンズにはモノクロが合う気がします
M9との相性もいいと思う
僕はM9の「クラシックモノクローム」という、ちょっとだけセピアっぽい色の設定が好きだったんだけど、以降のカメラからはなくなっちゃいましたね。
古いレンズのコピーとはいえ、絞るとすみずみまでしっかり写ります。
もちろんカラーで撮ってもよく写りますよ

そんな周さんが2023年の年末、新たなるプロジェクトを発表した。これがまさかの初代ノクチルックスの復活だったのだ。

初代ノクチルックスとは

初代ノクチルックスとは、レンズの明るさを各社で競い合っていた60年代に、ライカが意地で出した開放1.2の非球面レンズである。

民生品ではじめての非球面レンズだったようで、当時はしかたなく職人が手磨きでレンズを磨いていたらしい。だから生産期間が短く、現存する数も少なくて、長いあいだ幻のレンズと言われてきた。

↑これは最近ライカが公式に復刻したもの。オリジナルだとこの5倍くらいの値段する。

周さん、今度はこの幻のレンズを完コピしてきた。

しかもレンズの材質や外観の完コピはもちろんのこと、「しかたなく職人が手磨きで」の部分まで再現してきたからおそるべしである。

実際に職人が72時間かけて手磨きしたらしいです。もうこわい

今回の周ノクチルックスは800セット限定の受注生産とのこと。こんなのぜったい割に合わないだろうし、再販する気もおそらくないのだろう(なにせ周さんの趣味だから)。今回も周さんへの敬意を表して新品で買わせてもらった。

意外とコンパクト

さっきも書いたが、こういう酔狂が形になったような商品は欲しい時に買っておかないとなくなってしまうので、気になった人はなんとかして手に入れておくことをおすすめする。僕はこれを買うためにいろんなものを売りました。

写りがまたとんでもなく個性的だったので詳しくは次回以降に
モノクロで撮ると絵みたいになります


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