信越五岳トレイルランニングレース100mile/20240914-16
言い訳を書きます。
信越五岳トレイルランニングレースに出場してきました。思えば去年も同じ時期に同じレースに出ていました。
写真からしてほとんど同じなんだけど、これがちょうと一年前の話なのだ。去年はゴール手前で時間切れとなり、悔しくて直後に再戦を誓った覚えがある。
あれから一年。今年こそはと誓って臨んだレースは、63キロ地点でリタイヤという結果に終わった。
吐いた
時間的にはまだ先に進める余裕はあったと思う。それでも進めなかった。明け方、距離にして50キロを超えたあたりから強い吐き気におそわれ、エイドステーションで食べたフルーツゼリーをそのままの形で土に還してしまった。
夜のレースではだいたいいつも気持ち悪くなるのだけれど、吐くほどのことはこれまでなかったように思う。その後はジェルを飲んでもコーラを飲んでも(うえっ)となっていちいちもどしてしまった。
動けるうちに自力で山を下りるのがこの競技のマナーである。次の登りへと誘導するスタッフにリタイヤを告げ、ゼッケンを外した。スタッフの方に見てもらったところ、熱中症と脱水でしょうね、と。そうですね、そうだと思います。
今年の信越は63キロでリタイヤとなりました。
練習しない人間はただのポンコツだ
振り返れば土曜の夕方にスタートして、まだ昼間の熱が残る前半の山を、常に両手の先からぽたぽたと汗の筋を落とし続けながら登ったのだ。
人間は汗をかいて、それが蒸発する時の気化熱で体温を下げる動物である。外気温が高くても、湿度が低かったり風があったりすれば汗が蒸発してくれるのだけれど、今回みたいに湿度が飽和状態だと、当たり前だけど汗は蒸発しない。結果、筋肉から発する熱が体の内部に蓄積されていくことになる。
鳥とか虫とかだってもっと効率的な排熱機構を持っているだろう。湿度が高いと自分の熱で自滅するような生き物なんてポンコツすぎだ。皮膚から水出しときゃ勝手に冷えるでしょ、なんて設計の段階での想定が甘すぎるのである。斑尾山への登りでそんなことを考えていた。
とはいえ、確かにここ数年、夏の暑さは尋常じゃないのだけれど、だからといって時間内にゴールする人はしているし、むしろトップ選手のタイムは年々縮まっているではないか。暑さもポンコツな排熱機構も、練習の積み重ねでクリアできるはずなのだ。
でも僕は、完全に暑さにやられてしまった。練習不足である。
この時期にレースが開催される限り、そして夏が年々暑くなっていく限り、僕にとって信越五岳はもう無理な大会なのかもしれない。
帰りの車では去年みたいな悔しさすら浮かばなかった。むしろようやく終わったな、という安心感というか、解放感みたいな気持ちがあった。一緒にレースに出た友だちと、そんな大人のあきらめを共有した(同乗者全員リタイヤしています)。映画キッズリターンでいうところの「おれたちもう、終わっちゃったのかな」である。
次への練習がはじまった
レースのあと風邪をひいて、それがようやく治ったのでさっき二週間ぶりくらいに近所のトラックを走ってきた。5キロを20分で。僕が夏の間、週二回の頻度で続けてきた練習である。やるたびに毎回吐きそうになるくらいつらかった。よだれをたらしながらしばらく倒れ込むので、いつか救急に運ばれるんじゃないかと思っていた。それでも信越があるからやった。
久しぶりにトラックを走ってみたら、体を十分に休めたからか湿度が低いからか、かなり楽に走れた。人間の排熱機構、よくできている。
ともあれようやく信越を終えて次に向かうための練習を始められた気がした。レースからしばらく経ってようやく悔しさも湧いてきたけど、焦って次のレースを漁るんじゃなく、しっかり速くなってからまたレースに戻ってきたい。
キッズリターンでいうところの「ばかやろう、まだ始まっちゃいねえよ」である。