HIGE帽 −ひげハット−
連載中の小説『THEATRE in Classroom』のまとめ
Act.5 国語教師カビ臭くジメついた体育館のせり上がった舞台上、胡座をかいて円座に座る面々に遅れて私達は加わった。古ぼけて軋む板材の上に例の公演の手書きの原稿が広げてあった。 「第三稿が書き上がったので、手空きになった人から回し読んでってください。」 「あんがとね、くどちん♪」 眼鏡をクイッと上げると、そそくさと立ち上がって消えていった男の人は、後から2年の文芸部の先輩だとか聞いた。よくよく見れば原稿の題名の辺りになぐり書きの筆記体でクドウと書いてある。 「さあ、期待
Act.4 高校生鮮烈な衝撃に突き動かされ、入部届を握りしめて職員室へ踏み入った茜。取り次ぎの教師から呼び出され奥から出て来たのは、短髪の女教師だった。 『あら、演劇部に入りたいの?随分と変わってるのね』 すこし皮肉めいた口調で入部届を受理したこの顧問の名は上山というそうだ。受け取ってからも暫く怪訝そうな顔で私を上から下まで見回している。と、唐突に我に返ったかと思えば急ぎ奥へと戻る上山、背中に悪寒を感じ振り返るとそこには篠宮が立っていた。 「柴崎さん、結局演劇部入ること
Act.3 野次馬ども時に人間は優勢に群がり、劣勢を浮き彫りにする 善悪も往々にして私利私欲に曲がる物差しで 私達の日常を歪に、不公平なまでに測り取ってしまう つまり、私達は自分が可愛い生き物なのかもしれない そして、その罪もまた私利私欲で塗り固めた『神』に 許してもらおうというのだろうか 頰を撫ぜるそよ風がほんの少しだけ冷たくて私は朝靄の中でふと我に返る。通学電車の喧騒から抜け出して上の空で歩く通学路はまだ陽光が山際から離れきらず、ほんのりと薄暗い。まだ見慣れぬ道程に、
Act 2 可愛い先輩アントン・チェーホフが書いた小説に 『可愛い女』という作品がある この女は【愛】に生きている故に いつも誰かを愛していたし 愛なしではいられなかった 人は一度何かを愛してしまったら そのものに毒される運命を辿る それが摂理であるかのように 気怠い高校生活の始まりを打ち砕くように 私の心臓が高鳴っている それがなんとも不思議な感覚であった ふとした出会いから、私は入学式翌日に演劇部に入部する事になっていた。私の腑抜けた返事を聞いた部長の壊れんばかりの
Act1 怠惰の園 桜の園を知っていますか ロシアの劇作家、アントン・チェーホフの晩年の戯曲 貴族階級にあったある一家の没落とその人々の苦悩を描いた喜劇 それは、悲劇的だけれど、新時代を目前に迎えた人々の 暗くも前向きな旅立ちを描きたかったのかもしれない 四月 某所。桜は今年の異常な気候のせいでまだ蕾なのかももう葉なのかも判らず仕舞いなまま、私は入学式を迎えた。大して頭もよくなかった私はこの地域で唯一の進学校とやらを受験し、その結果受かった為この湿っぽい体育館に座っている
皆さん、いかがでしょうか。 ひげとハットがチャームポイントのVstreamer HIGE帽です 初めましての方も、ご存じの方もこんひげ〜🎩🐻 今日は小説の前書きのような内容です。 THEATRE in Classroom に至るまで 私は学生の時分に演劇部に所属していた。 入学したての頃は中学までの文化的で怠惰に満ちた部活動を払拭すべく剣道部にでも入る算段だったが、部活見学の最中、強引に先輩に連れられ入った演劇部に私が胸を打たれてしまったが為に、その後の鬱々とした日々と振り
皆さん、どうもこんひげ〜🎩🐻 ぬいぐるみ系VstreamerのHIGE帽こと、ひげハットです。はじめましての方は初めまして、ご存じの方はこんひげ〜ということで、今日もひげちゃんのノートのお時間です。 この春に仕事を辞めた話実はひげちゃんは、押し入れ劇場『ひげ座』以外に脚本、シナリオの他、プロット、構成台本などの依頼を斡旋してくださる機関と提携する形でお仕事をしておりました。 ただ、提携とは別に所属をする形でお仕事をする方も多く実質そちらが正社員のような扱いなので、あくまで