2024/5/2 空気に流されるな:失敗の本質が教える組織の教訓

「失敗の本質」をご存じでしょうか?
この本は、大東亜戦争(太平洋戦争)において、なぜ日本軍が敗戦したのか、を探求した学際的研究書です。
6人の執筆者は、軍事戦略ではなく組織論や経営学、軍事史の観点から、
戦争を通じて、現代の組織運営や企画立案に役立つ教訓を引き出そうと試みたものです。

1982年の刊行当時から今日に至るまで、多くのビジネスリーダーや組織の運営者によって読み継がれ、
その内容は今なお学ぶべき点が多いとされています。
本書の中では、失敗の根底にある要因を戦争という極限状態だけでなく、現代のさまざまな組織にも適用可能な形で分析しています。

組織論を組み合わせた研究書ではありますが、社会人なら一度は読んでおくほうがよいでしょう。
実際に、新卒の入社時に、この本を読むように指示する会社もありました。

なかでも、日本の組織の特徴として挙げられているものが、「空気」。
「空気」が支配する環境の問題です。
これは、ある意思決定を行う上で、表面上は論理的な判断が行われているように見えても、
実際は集団の空気に流される「空気的判断」が優先されてた、と指摘しています。

つまり、これは現実の問題から目を逸らしてしまうことを指しています。
本書では、戦艦大和の特攻命令の例を引いて、その悲惨な結果を説明しています。
すでに巨大艦艇は時代遅れになり、確実に米軍の飛行艇に沈没させられることは、実は認識されていた。

ではなぜ、論理的に考えれば、勝機のない戦いに出撃したのか。
それは、無駄なものに投資したことの責任を取りたくないという情緒的な判断があった。
そして、許容された「空気」にあると指摘しています。

これは、現場をよく知らない幹部によって精神論に頼ったずさんな作戦立案が行われ、
現場から再考を求める声が上がっても無視される。むしろ「弱腰」と非難される。
そうなると、作戦遂行の途中で失敗が明らかになっても、誰も「やめよう」とは言い出せない。

結論や責任を曖昧にしてやり過ごすことが、結果的に大きな失敗につながった。
今の言葉でいえば、心理的安全性が全くなかった、とも言えます。

今日の日本のあらゆる組織が似たような問題を抱えています。
あらゆる企業、政治、よく観察してみてください。自分の所属する組織も然り。

組織も時代の変化や現実の状況に応じて変革し続けなければなりません。
そこには、確かに、多くの向き合いたくない現実も立ちはだかることもあります。

私たちは、過去に多大な犠牲を払った先人たちが残してくれた知見を、無駄にすべきではないでしょう。

責任を取りたくないという情緒的な判断に支配されていないか。
指示されたから、命令されたから、というサラリーマン思考に支配されていないか。

自分は関係ない、仕方ないとあきらめずに、素直な声をあげること。
空気に流されて同じ過ちを繰り返し、自らを貶めてはなりません。

なぜこの仕事するのか、自らの原点に立ち戻ることが必要でしょう。

素敵な週末をお過ごしください。

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