明るい夜
きのうのことだ。
日の暮れるころ、3軒先の友人の家に行ったのだが、仕事が長引いていたようでなかなか帰ってこない。
待っている間にすっかり暗くなった。
暗いは暗いのだが、昨日の夜空は不思議な感じ。
絶妙に配置された雲と、満月にはもうちょっとの、ちょい丸な月がでて、雲のはじっこに光の縁どりを作っている。
いい月夜だなあ。
どこか懐かしい。
家に帰って、夜も更けて、もう寝ようかと寝室へ歩き出したとき、夫がぽつんとつぶやいた。
「ああ、これ、雪の日みたいだ。」
ああ、そうだ。それだ!
雪がつもって、暗くなっても雪の白が光を反射して明るい夜。
今日の月の光はまさにそんな感じ。雪の日の静かな夜。
窓から入ってくる光の感じがまさに雪の夜だ。
南の島に来て7年。
あの、白くて明るい夜はずっと遠くなってしまったが、きのうの月は、ちょっとだけ、それを引き寄せてくれた。