人間の幸せ
幸せは、自分で定義する。
例えばそれは
家族で囲む円い食卓
穏やかな午後の微睡み
採れたての自家栽培野菜の瑞々しさ
例えばそれは
秋の朝に見つけた小さな冬の気配
写真の中で微笑む遠き人の匂い
それぞれが定義する
それぞれの幸せ
それは……「わたし」が確かに生きた証
苦しみは定義できない
生きることそのものこそ苦しみ
苦労ということではない
何一つ留まることのない苦しみ
泣き顔も 笑い声も
祈りも 約束も 裏切りも
百年後には総入れ替え
だからこそ
生まれてきたのだ
今を生きているのだ
ひとりひとりが
幸せを自分で定義する権利を持って。
人間として生きる幸せ
誰のものでもない わたしだけの幸せ
誰のものでもない あなただけの幸せ
流されることも
辿り着くこともない
有効期限付きの幸せ