借家
その日、一軒の家が建った。
今日からあなたはこの家に住んでください。独り暮らしなのでお好きなように住んでいただいて構いませんが、できるだけ丁寧に住むことをおすすめします。
時々住みにくいと感じられることもあるかもしれません。また、年月が経ってくると柱が歪んできたり、壁が剥がれ落ちてきたりもするでしょう。家の修繕はご自身の責任でお願いいたします。
これはあなたにとってただひとつの家です。住み替えることはできません。また、誰かと同居することもできません。
この家は借家ですから、還すべき時が来たらお還しください。あとはこちらのほうで焼却処分いたしますので。
そういえば、使い終わった家を土に埋めたり、大きな鳥に食べさせたりする地域もあるそうですね……